「準備完了しました。システム、いつでも使用できます」
「よ〜し。それじゃ、始めてくれ」
機械音がして、地面が光り出す。
その中央に立っていた浩平は不思議な感覚と共に闇に落ちていった。
「おにいちゃ〜ん・・・」
呼び声が聞こえる。
「おにいちゃ〜んっ・・・」
一体、誰の声だろう
「おにいちゃ〜ん・・・」
そうだ、これはみさおの奴だ。
「おにいちゃ〜ん・・・何処に行っちゃったのぉ〜っ」
少女の声は涙混じりになっている。
「おにいちゃ〜んっ」
まったく、しょうがない奴だな。
ぼくは、やれやれといった感じでため息をつくと、
「みさお〜っ。」
大きな声でみさおの奴を呼んでやった。
全く、みさおの奴は僕の姿が見えなくなるとすぐに泣き出すんだからな。
「あっ、おにいちゃんっ」
僕のそう言う考えはみさおは判ってくれなかったみたいだ。
嬉しそうに駆け寄ると、すぐに抱きついてくる。
「なんで私を置いて行っちゃったのぉ」
頬を膨らませるみさお。
我が妹ながら、そんな表情も可愛いなと思いながら、僕は妹の機嫌を取り戻させるために謝る。
「ごめんごめん。もう一人にしないからさ」
「本当に?本当に一人にしない?」
「ああ、本当だ」
本当のところ、ずっと一緒にいたかったのは僕の方だ。
ただ、いい加減「兄離れ」って奴をしないとみさおにとって良くないかなと思ったりしていた。
なぜなら、僕はみさおにとっての良い兄であり続けないといけなかったからだ。
でも、其れは違った。
そっと物陰に隠れた僕の姿がないことに気付いたみさおは、僕の名を呼び続けた。
一人で家に帰ることをするわけでもなく、僕を捜し、僕の名をずっと呼んでいたんだ。
「本当の本当に?」
「本当の本当だ」
「本当の本当の本当?」
本当、みさおに好かれているように思う。
そして、それと同じぐらい、僕はみさおのことが好きだった。
だから、しつこく聞き続ける妹に僕は言ったやったんだ。
「永遠に一緒にいてやるよ」
「えいえん?」
「ずっと一緒ってことさ」
ずっと一緒って言葉に無邪気に喜ぶみさお。
僕はそんなみさおをみて、本当にずっと一緒にいたいと感じていたんだ。
視界が、みさおの顔がまばゆい光に包まれる。
光量は際限なく増し、そしてすべてが見えなくなった
気がつくと僕は泣いていた。
何でこんなに僕は悲しいんだろう。
そんなことも判らなくなるぐらい、僕は泣いていた。
ただ、泣いてさえいれば何も考えなくてもかったから、僕は泣き続けた。
「何で泣いているの?」
彼女は僕にそう聴いた。
見たことのない女の子だった。
「ねぇ、何で泣いてるの?」
何でって?
そんなこと、決まっているじゃないか。
「悲しいことがあったんだ」
「悲しいこと?」
何で、この女の子は僕に話しかけて来るんだろう。
僕は、泣きながらそんなことを考えていた。
でも、会話をしていると、少しだけ悲しいことを忘れられた。
本当に、本当に少しだけど。
そんな時だった。
彼女が言ったのは。
「じゃあ、私が一緒にいてあげるよ」
そう言った彼女と、僕の唇が鳥の挨拶のようにちょんっとぶつかった。
永遠はあるよ
ここにあるよ
そう、僕は彼女に永遠をもらったんだ。
揺らぐことのない、永遠の時間を。
「規定の値をオーバーしかけています」
「そろそろ頃合いだな・・・。脳波レベル、思考パターン解析を開始しろ」
まさきの指示が飛ぶ。
その指示に従って職員達はあわただしく動き出した。
「まなみ。それと他の能力者達」
まさきの呼びかけに応じて数人の能力者達が準備を開始する。
「精神への負荷をもっと増やせ。無意識下での自己防衛を促進させるんだ」
彼女らはうなずき、力を解放させる。
彼の、浩平の精神が壊れない程度に様々な刺激を与えているのだ。
「おにいちゃんっ・・・苦しいっ、苦しいようっ・・・」
突然浩平の前にみさおが現れる。
これは、この苦しみ方は操がしに直前に示した物だ。
「みさおっ!」
俺は駆け寄ると、みさおの手を握りしめる。
「大丈夫だ・・・俺はここにいるからな」
一瞬、みさおの顔が安堵に包まれるが、次の瞬間にはまた苦しみだした。
「みさおっ!しっかりしろっ!みさおっ!!」
最後にもう一度、大きな悲鳴を上げた後、みさおの手からは俺の手を握る力がなくなっていった。
それは、みさおが二度と手を握ってくれないと言うことを意味している。
「・・・みさお・・・」
俺は・・・泣いた。
何も考えなくて良いように、ただ、泣き続けた。
こんな・・・こんな思いをするのはもう厭だ。
こんなに心が痛いのはもう厭だった。
愛する人を、大事な物を失うのはもう厭だった。
「完全にメーターを振り切りました」
職員がまさきに報告する。
まさきはそれを聴くと全体に指示をとばした。
「そろそろ変化が起こるはずだ・・・しっかりとデータを取っておけ」
「了解しました」
俺は、泣いていた。
この年になって、こんなに泣くとは思わなかった。
悲しかった。
どうしようもないくらい、悲しかった。
「何故、泣いているの?」
何故って?
そんなこと、決まっているじゃないか
「悲しいことがあったんだよ」
「悲しいこと?」
いつかは終わってしまう幸せ。
幸せになる旅に、こんなつらさを体験するんだったらもう幸せなんていらない。
いつかは終わってしまう物なんて、もうたくさんなんだ。
「刹那的な物なんて、もう厭だ」
一言つぶやいた俺に対し、彼女は言う。
「それなら・・・私が永遠をあげる。
キミを、この残酷な世界から守ってあげるよ」
そして、俺は再び永遠を感じた。
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
なんかもう、駄目駄目って感じ?
大体のあらすじしか考えず、即興で書いてるとこう言うことになるんだなぁ・・・
さーって・・・どうするよ?
補足説明:
浩平に使っているのはミンメスとエウロパ(だっけ?)を併せたような物です。
浩平は、すでに連れられてFARGOに来てます(そのシーンはカット。)
職員は永遠の世界を形成するときの脳の働きデータ化しようとしているのです。
幼いときは僕。現在は俺。