innocent world  【episode Y】 投稿者: PELSONA
晴香がやられた。
彼女はFARGOに攻撃され、そこで手に入れた石のような物を取られたらしい。
つまり、敵の狙いはその石のような物と言うことだ。
しかし・・・それは一体、何を意味する物なのだろう。
何か、意味があるのか。
だが、郁未はそれを知る由もない。
知るための手段もない。
虎の子を得ようとするには虎の住む穴蔵へ進入するしか術はない。
FARGOの狙いを知るためには――


「晴香、私は直接FARGOに行くわ」


郁未はすぐ側のベッドで寝息をたてている晴香に言う。
急所を逸れたとはいえ、大量の出血の中、戻ってきた彼女には休息が必要だろう。
そして、戦力としての期待もできない。
晴香が聴いたらなんと言うだろうか。
まあ、なんと言われようと、罵られようと構わない。
結果的に言うと、私は晴香を利用したのだから。


「でも――約束通り、お兄さんの敵は討ってきてあげる」


直接私が乗り込んでいくとして、どうなるだろう。
力を使える物の一人や二人なら倒す自信はある。
だがあの男――氷上とか言う男はどうだかわからない。
彼の実力は未知数なのだ。
私の力で攻撃できるかすら危うい。
だが、行くしか道がないと言うのが事実だ。


そう、私には、前に進む道しか用意されていない。


そして扉のノブに手をかける。
ノブを捻り、外の光が射し込んだその時――


「ずいぶんと自分勝手ね」


――晴香の声が聞こえた。


「・・・起きてたの?」
「つい、さっきね」


晴香はゆっくりを身を起こすと此方を向いた。
やはり、置いていこうとしたのが不満だったのだろう。
それが目から、表情から読みとれる。


「私を誘って置いて、ずいぶん勝手じゃない?」
「――そうね」
「自分から言いだしておいて、役に立たないと思ったら捨てるわけ?」
「――そう思ってもらっても構わないわ」


そう、なんと思われようと、なんと言われようと。
ただ、これ以上晴香に迷惑はかけたくはなかった。


「兎に角、行くわ」


私はそう言うと晴香に背を向ける。
そしてそのまま振り返らずに扉を開け、歩き出した。


「――私が勝手に行く分には、構わないでしょ?」


私の後を追いかけるように聞こえてきた晴香の声。
その言葉と、語調に呼ばれるようにして私は振り向く。


晴香は、微笑んでいた。


「何でも自分一人で背負い込むの、良くないと思うわよ」


そして、その言葉を聞いた私もつられるように微笑んだ。
もしかしたら、最後に浮かべる笑顔かもしれない。
そして――


「貴方も随分と我が儘ね。素直に寝ていればいいのに」
「郁未ほどじゃないわよ」


最後になるかもしれない、冗談を言い合って――



私たちは、FARGOに乗り込んだ。


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PELSONA:今回は短いです〜。そしてつまらないです〜。
どっぺる詩子:これでやっと最終決戦に向かうって事だね。
PELSONA:神凪さん、約束は(ちょっと遅くなったけど)果たしましたよ〜
どっぺる詩子:で、神具の役割とかも判るの?
PELSONA:朝はSA・YO・NA・RA書いてたんだよ。順番的にね。
どっぺる詩子:ちゃんと考えてるの?ねぇったら〜
PELSONA:それと雀バルさん、「永遠の世界が具現化した理由、司バージョン」ちゃんと考えてありますよ。物語に組み込めるかは判らないけど。
どっぺる詩子:ちゃんと返事せんかいっ!!
PELSONA:ソーリィ、マアム

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