布教活動 投稿者: PELSONA
今日も、雨。
しとしと降り注ぐ雨の中、俺はいつもの空き地へと向かう。
そこに立っていたのは、長い金色の髪を持つ一人の女性だった。


「よお・・・何やってんだ、こんな所で」


彼女は。

彼女は深い悲しみを称えた眼差しで俺を見つめる。
そして、無愛想に口を開いた――


「あなたは、FARGOを信じますか?」

「・・・・・はい?」

FARGOって、何?

「貴方、何かで悩んでいますね?
 いえ、言わなくても判ります」

何かを言おうと口を開く俺を手で制し、彼女は進める。

「悩んでいるのでしょう?」

いや、たった今、悩みができたんですけど・・・

「でも、大丈夫です。」

何が?

「FARGOに入信すれば、そんな悩みもなくなります」

・・・・・

「入信したくなりましたよね?」

春・・・だからなぁ

「そうに決まっています。
 それでは、早速ですが行きましょう」


と、思ったよりも強い力で引っ張っていく彼女。
手を握られて、ちょっと幸せだったり。


「・・・まってください」


そんなとき、後ろから声が聞こえる。
振り向くと、そこに茜がいた。


「葉子さん、浩平を連れていかせるわけには行きません」


茜が言う。
どうやら、この女のヒトは葉子さんと言うらしい。


「茜さん・・・」
「彼は、『世界アルジー教』に入るのです。」


と、何処からともなく巨大ハムスターを出して言う。


「ご神体です」

・・・そうですか

「ハムスターはすべての生物の原点であり、頂点に立つ物です。
 ハムスターを可愛がり、ハムスターと一体化することが真の幸せにつながるのです」

「それは違います。
 FARGOに入りさえすれば毎日精錬でうはうはです。
 殿方にはそっちの方が幸せに決まっています」


・・・よく判らないが。


「浩平は・・・ハムスターですよね?」

にこっ

「精錬で・・・酒池肉林ですよね?」

くすっ


そこで俺は――


「それじゃ、学校に遅刻するからっ」


その場から逃げた。


だって・・・ねぇ?


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


さて、キミならどっちを選ぶ?