SA・YO・NA・RA 投稿者: PELSONA
――一日目

 茜は、腕によりをかけて作った料理をテーブルに並べると時計を見た。7時五分前。浩平が来るのは7時だから、ちょうど良い時間帯だろう。尤も、浩平が遅刻をしなければの話だが。テーブルクロスの裾をなおしてみたり、細々とした雑事をこなしている。すると玄関のチャイムが鳴り響いた。
 浩平だ。そう確信すると、時計を見る。7時2分。少し遅れたが、いつものことだ。そう思うと浩平を迎えるため、玄関へと向かった。
 「すまん、遅れた」
 謝る浩平に「いえ、いつものことですから」と答え部屋に招き入れる。
 「すごいな。コレ、全部一人で作ったのか?」
 浩平は茜の作った料理を見ると感心した様子で一つ、つまみ食いをする。
 「つまみ食いはだめです」
 「いや、あんまり旨そうだったんでな。」
 「それより、冷める前に食べましょう」
 料理を誉められ、うれしくなった茜は早速食べるために取り皿などを準備する。そして一通り準備が終わるとそれぞれ、テーブルについた。
 「では、食べましょうか」
 茜がそう促すと、浩平は早速箸を持つ。が、その動作を途中で辞めると鞄の中から長方形の箱を取り出した。 
 「そのまえに、誕生日おめでとう」
 はい、という言葉と同時にその箱を茜に手渡す。そう、今日は茜の誕生日なのだ。豪勢な食事の理由は浩平が言いだした誕生日パーティにあった。参加者は二人だけだが。
 「・・・なに?」
 「良いから、開けてみなって」
 そういわれるままに包みを破き、箱を開ける。蒼い箱を開けると、中にはシルバーのネックレスが入っていた。そう派手でもなければ、地味でもない。
 「ありがとうございます」
 何かくれるかもしれないとは期待していたが、浩平にアクセサリーの類の物をもらったのは初めてだった。今までもらった物と言えば巨大なぬいぐるみ程度だ。
 「まぁ、婚約指輪はまだまだ先だけどな」
 素直に喜ぶ茜に照れたのか、浩平が言う。茜はもらったネックレスを胸元につけると口を開いた。
 「でも、もうすぐです」
 「まだまだ先・・・じゃないのか?」
 「そんなことありません」
 今、二人は結婚を前提に・・・ということで同棲をしている。といっても茜が浩平の家に住むようになっただけだが。このような関係になったのは3ヶ月前のことだ。突然の浩平の言葉に最初は驚いた物の、茜はすぐに承諾した。それなら・・・ということで浩平は茜の両親に挨拶に行き、結婚を前提としているということで許可をもらったのだ。
 勿論、浩平の親代わりの由起子さんも一緒に生活しているわけだし、詩子はよく遊びに来る。だから甘い同棲生活・・・とは言えないのが現状だ。
 「ま、それはそうとして食べようぜ。こんな旨そうな料理を前にして食べるなって言うのは拷問だ」
 「そうですね。では食べましょうか」
 茜もせっかくの料理が冷めてしまうのはもったいない。そう思うと会話は後回しにして料理を楽しむことにした



――二日目

 翌日。昨日の料理の残りを平らげると浩平は仕事に行ってしまった。つまり、今この家には茜しか居ないと言うことになる。
 高校卒業後、茜は短大へ行ったが、留年をしてしまった浩平は高校卒業後すぐに就職をしてしまった。由起子の紹介で入った会社の営業の仕事が浩平には合うらしく、すぐに退社をするといったこともないまま2年がたった。浩平が働いているからこそ、茜の分の生活費の心配をすることもなく同棲をしているのだが。
 その分、家の家事全般は茜に一任されている。由起子も仕事に集中できるといって茜がいることを歓迎してくれている。そんな日々を茜は幸せに感じていた。
 と、家中にチャイムの音が響きわたる。この時間にヒトが訪ねてくることは珍しい。詩子でも遊びに来たのか。そう思いながら茜が玄関へ向かい、扉を開ける。
 「えーっと、里村茜さん・・・はいらっしゃいますか?」
 「私ですけど・・・」
 茜はそう答えながらも来客主の手に目がいってしまう。男が抱えていたのは花束。白いチューリップだ。
 「よかったぁ。表札に折原って書いてあったでしょ?注文ミスかと思いましたよ」
 男はミスじゃなかったことに安心してか、愛想のいい笑顔を浮かべるとその手に持っている花束を渡した。
 「それじゃ、確かに渡しましたよ」
 そういい、表に止めてある車へと歩いていく。誰からだろう・・・そう思い、一緒に渡されたカードを見ると綺麗な字で「ハッピー・バースディ」と書いて合った。差出人の名前はない。
 いったい誰からだろう?そう思いながら家の中へと入る。すると点滅している赤い光が目に入った。応対をしている間に誰かから電話があったのだろう。茜は電話に近づくと再生と書かれたボタンを押す。赤い光は緑の光へと代わり、テープが回り始めた。
 「茜、誕生日おめでとう。大きくなったら僕のお嫁さんになってくれるって言う約束、覚えてる?今はちょっと迎えにいってあげられないけど・・・もうすぐだから待っててね」
 再生が終了しました。無機質な声で機械が告げる。その声を聴いて茜は我に返った。
 いったい、今の声は誰だったのだろう。聴いたことのないはず男の声。だが何故か妙にその声が頭に残った。また、茜の誕生日を知っているところ、浩平の家に住んでいることを知っていると言うことも気にかかる。今、茜がここに住んでいると言うことを知っている人間はごく少数のはずだ。茜の知っている範囲では詩子や澪ぐらいしか思い当たらない。浩平も同棲をしていることぐらい話すかもしれないが、それでも誕生日など判るはずもないだろう。
 そこまで考えて、茜は違和感を感じた。一瞬躊躇するが、テープを巻き戻すと再び再生する。
「茜、誕生日おめでとう。大きくなったら僕のお嫁さんになってくれるって言う約束、覚えてる?今はちょっと迎えにいってあげられないけど・・・もうすぐだから待っていてね」
 再生をして、再び全部聴く。そこで違和感の正体に気がついた。『大きくなったら僕のお嫁さんになってくれるという約束』声の主はそういっていた。ということは小さいときにした約束が鍵になっているのだろうか。私は、小さいときに誰とそんな約束をしていたのだろう?そんな約束をするような男の友達がいただろうか?
 約束という名の棘が茜の心にちくりと刺さった。

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

PELSONA:イノセントワールドが思いつかないため、こんなの書いてしまった・・・
どっぺる詩子:・・・ねぇ?また何も考えずに書いたんでしょ
PELSONA:まぁ、そういえないこともなきにしもあらずかもしれない
どっぺる詩子:結局、どっちなわけ?
PELSONA:選挙活動がウザイなぁ〜。誰になっても腐った社会は変わらない・・・そうは思わないかい?
どっぺる詩子:話をそらそうったって無駄よ
PELSONA:選挙カーに手でも振りにいってこよ〜っと
どっぺる詩子:逃げるなぁっ!!!

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