カウベルが鳴り響き、客の来訪を告げる。 席を案内しようとするウェイトレスを手で制し、辺りを見渡す人影に私は手を挙げて合図をした。 合図に気付いた彼女は、笑みを浮かべながら私の元へとやってくる。 「久しぶりね、郁未。急にどうしたの?」 再会の挨拶を済ませた私たちはコーヒーを口に運ぶと呼び出した目的を話し出した。 「ちょっと厄介なことが起こっているみたいなの」 「厄介なこと?」 訝しげに問う晴香に向かって頷くと、私は話を続ける。 「私の中にいる彼。つまり不可視の力を生み出している物が感じ取ったんだけど、 彼らの同族が何かをしているみたいなの」 「・・・・・」 不可視の力の話を切りだした途端に、晴香の表情が曇る。 それはそうだろう。彼女は無理矢理この力を植え付けられたのだから。 「それがなにを意味しているのかは解らない。 でも、FARGOがまた動き出したって事は間違いないと思うわ」 「それで?私になにをどうしろというの?」 不快そうな表情。 それでも、ある程度私の言うことに予想はついているのだろう。 ため息混じりに口を開く。 「私も、何かが起こっているってのは感づいていたわ。 でもそれでなにをやれというの?」 「それは・・・」 「FARGOの入信者を減らすための演説?不可視の力の危険性を訴える? どのみち、信じる人なんて居ないだろうし、私はそんなボランティアする気はないわ」 言い放つ晴香。 「・・・違う」 「なにが違うって言うの? 貴方はそんな偽善的な行為をして、自己満足をしようとしてるだけだわ」 私の話を聞こうともせずにまくし立てる晴香。 私は彼女の言葉に耳も貸さずにコーヒーを口に入れる。 「私は無関係でいたいの。もうあんな思いをするのはたくさん。 普通に日常を過ごしていきたいのよ」 感情をすべて吐き出して落ち着いたのか、晴香はそこで口を噤む。 それを見計らい、私は口を開いた。 「私がしたいのはそんな偽善的な行為ではないわ。 復讐よ」 「復讐?」 思っても見ない言葉だったのか、鸚鵡返しをする晴香に私は説明する。 「そう、復讐。私は最愛の母と少年を奪われ、あなたは兄を奪われたわ。 あのときは逃げ出すことぐらいしかできなかったけど、今は違う。 それに、何らかの活動を始めたFARGOに今、手を出したとする。 何らかの事件が起こったとしてもメディアはそれに対する内部の反逆行為として処理をするでしょうね」 そこで一端言葉を切る。 そして私の次の言葉を待っている晴香に向かっていった。 「私と一緒に、FARGOをつぶしましょう。 あのころ奴らに抱いた憎しみを、兄を奪われた悲しみを忘れてはいないでしょう?」 そこまで話すと私は晴香の言葉を待った。 もう私に言うことはないと言う意志表示。 そして最後までコーヒーを飲み干したとき、晴香の返事が返ってきた。 「勝算はあるの?」 勝算を聴いたと言うことは、あるという言葉を聞いて安心したいと言うことの証拠。 つまり、協力する気になったと言うことだろう。 そして次の私の言葉で、晴香は協力することを約束するはずだ。 私は駄目押しの言葉を口にするため、口を開いた。 「勿論あるわ。」 晴香の返事は予想通り、OKだった。 だが、ああは言った物のFARGOが何をしようとしているのか全くの見当もつかない。 やはり、直接本部をたたくべきか。 そう思案している時、私の前に知らない男が立ちはだかった。 「初めまして、天沢郁未さん」 「誰?」 「僕は氷上。氷上シュンといいます」 不思議な雰囲気を持った男だった。 そう、FARGO出会ったあの少年のようにつかみ所がない。 「私に何か用?」 「FARGOの目的についてお話ししようと思って」 FARGOという言葉を聞いた瞬間、私は身構える。 最悪の場合、不可視の力を使わなければならないからだ。 「そう警戒しないでください。僕は純粋に、貴方の役に立ちたいんですよ」 苦笑混じりに言うと彼は両手をあげ、武器を持っていないと言うことを知らせる。 それを確認した私は、多少警戒した面もちで訪ねた。 「何故貴方が私の目的を知っているのかは知らないけど、 FARGOの関係者であることは間違いないようね」 未だ警戒している私に彼は苦笑しながらも話しかける。 「まあ、一応は関係者ですね。そんなことより本題に入りましょう。 彼らのねらいは十種の神宝を集めることです」 「十種の神宝?」 「ま、何かのキーになるアイテムなんでしょう。 それで何をするのか詳しいことは解りませんが、在処ならお教えできます」 この男、いったい何者なのだろう。 FARGOと敵対しているのか、私を罠にはめようとしているのか。 迷いはしたが、私が聴く以外にFARGOの狙いに近づく術はないと思い口を開く。 「それで、それはどこにあるの?」 「ほとんどはFARGOの本部に集まってますが、まだ未発見のがあるはずです」 「それは何処に?」 「さあ?」 この男は私を馬鹿にしているのだろうか。 ほとんどFARGOの本部にあるのなら言う必要がないではないか。 そうは思ったが口を開かずに非難の視線だけ浴びせる。 「おっと、馬鹿にしているわけではありませんよ。 不可視の力を持っている貴方なら感じ取れるはずですから。 では、僕は用事があるのでこれで失礼します」 厭に丁寧な態度で礼をすると背を向けて歩き出した。 不可視の力といい、FARGOの狙いといい、こいつは何者なのだろう。 「ちょっと、待ちなさい」 私の制する声も聴かず、彼は歩き続ける。 もう一度強く呼びかけるが相変わらず歩みを止める様子はない。 ・・・吹き飛びなさい 私は少しだけ彼を解放すると、氷上とか言う少年に向かって力を放つ。 無理矢理にでも彼を止め、もっと話を聞く必要があると思ったからだ。 だが、彼は吹き飛ぶことはなかった。 相変わらずの速度で歩き、角を曲がり、姿を消した。 ・・・砕けろ 何故、不可視の力が使えなかったのかと思った私は、近くのブロックに向かって力を放つ。 力を放った瞬間、ブロックは粉々に粉砕され、元の形を失う。 力の使い方はあっている。 なら何故、あの男は吹き飛ばなかったのだろう? そして何故、彼はFARGOの情報を握っていたのだろう。 数々の疑問は残ったが、やがて一つの結論にたどり着く。 神宝とかいう物を探す以外に、FARGOの狙いを知る宛はないということに。 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 PELSONA:うーん。つかれたなぁ どっぺる詩子:お疲れさま。 PELSONA:最近また書く気がなくなって困ったね。 何とか書き上げたけど、元の作品と展開が全然違うことになったし^^; どっぺる詩子:だよねぇ。それにしても不可視の力の描写が下手だよね。他の人はもっとうまいよ? PELSONA:戦闘シーンとかは苦手なのっ。だから下手でも気にしないことっ どっぺる詩子:えらそうに・・・ PELSONA:それと、次回はONEサイドの話になるからよろしく。 っていっても、前のと似たような感じだけど。 どっぺる詩子:手抜きって事だね PELSONA:人聞きの悪いこといわないの。全体のストーリーは50%増量してるんだから どっぺる詩子:ま、それなら許してあげます(^^) PELSONA:うい。では次回作で会いませう♪ どっぺる詩子:あと、ホームページもよろしくね♪http://www.grn.mmtr.or.jp/~pelsona/