すとろべりーしぇいく! そのご 投稿者: PELSONA
「だからさぁ、あきらめた方がいいって」
俺は目の前に座っている女性――柚木さんに向かってそう言った。
ここは山葉堂。
俺はまた、いつも通り柚木さんと一緒にいるって訳だ。
そして俺は柚木さんを何とかあきらめさせようとしている。
学校で話していたときもそうだったし、折原にはそんな気がないみたいだからだ。
と、言うより、女性としてみられていないんじゃないか?
「なんで住井君なんかにいわれなきゃならないのよぉ」
反抗的に言う彼女。
まあ、それは当然の反応なんだけど。
「だってさ、これ以上傷つく必要がないって言うか・・・」
何とかあきらめさせようとするが、なんと言えばいいのか、言葉が上手く出てこない。
俺もこんなのになれていないからなあ・・・
「あっ、もしかして、私に惚れたな?」
冗談めいて言う柚木さん。
いきなり言われただけに驚いた。
「あ〜っ。赤くなっちゃってぇ」
そしてますますからかわれる俺。
「ばっ、馬鹿言うなっ!俺は長森さんがだなぁ」
少しムキになってそう言う。
そう、俺は長森さんが好きなんだ。
柚木さんにつきあってるのは、脅迫されているからだ。
何故か、心の中で自分に言い訳する。
と、その時。
カウベルが鳴り響き、客の来訪を告げる。

誰だ?
そして俺は入り口の方に目を滑らせる。
こんな変な癖、直さなきゃな。
そう思いながら。
入ってきたのは折原と――里村さん!?
なんか、意外な組み合わせだった。
俺たちがいるのに気付いた折原たちも、こっちに向かってくる。
「よう、住井。やっぱりいたな」
いつもと代わらないように挨拶をする折原。
だが、その言葉にも照れが入っているように思える。
「ここに来るんだったら私も誘ってくれれば良かったのにぃ〜」
里村さんに文句を言ってる柚木さん。
だが、その言葉を遮って折原が言う。
「あー、柚木。おまえには言っておこうと思うんだがー」
やけに変なリアクションで話そうとする折原。
そして、?な顔をしている柚木さん。
そんな折原の口から紡ぎ出された言葉は
「俺たち、つきあうことになったんだ」
という物だった。
隣では里村さんが頬を赤く染めている。
オレタチツキアウコトニナッタンダ
つき合うことになった?
ってことは、柚木さんは完全に振られたって事か?
しかも、親友の里村さんが彼女?
俺は柚木さんの表情を伺う。
もしかしたら昨日みたいに、泣いてしまうかもしれない。
そう、思ったからだ。
「そ、そうなんだ・・・・茜、おめでとう」
だが、そんな心配とは裏腹に口を出たのは祝福の言葉。
「茜を泣かせたらただじゃおかないからね」
と、付け加えたりしている。
あれ?
なんか、普段通りだぞ?
「ああ。勿論だ」
答える折原。
そして、そのまま少しぎくしゃくした会話が続く。
まあ、突然のことにとまどったから仕方がないけどな。
話の途中、俺はちらちらと柚木さんの方を見てみるが相変わらず笑顔を浮かべている。
何故か、俺にはそんな彼女の笑顔が酷く悲しげに見えた。

そして、会話も終わり、帰り道。
これから折原の家に行くという里村さんと別れた俺たちはふたりっきりになった。
「・・・やっぱり、辛い?」
昨日みたいにならないとも限らない。
ちょっと控えめに聞いてみる。
「えっ?ま、まあ相手が茜じゃあね〜。仕方ないでしょ。」
いつもの調子で話す彼女。
「それにさ、いい加減あきらめようと思ってたし?これも潮時かな〜なんて」
でも、何かいつもとは違う気がした。
「あっ、折原君が茜とつき合うんだったら長森さん。フリーじゃない。良かったわね」
無理に明るく振る舞ってるって言うか・・・
「それじゃ、手紙は返すね。それじゃ、ばいばい」
言いたいことだけ言って立ち去ろうとする彼女。
でも、俺が何か言う前に、柚木さんは走りだしてしまった。
「おい!まてよ」
俺もすぐに後を追う。
しばらくの間、走って彼女を追っていたが体力のさもあってすぐに追いつく。
追いつくと同時に彼女の手首を持って無理矢理止まらせた。
「なによ!離してよ!!」
手を振りほどうとする彼女。
そんな彼女を制し、ハンカチを出しながら俺は言った。
「また一人で泣くつもりだったのかよ」
程なく、柚木さんはハンカチを奪い取ると涙を拭き始めた。

公園のベンチに座っている影が二つ。
一人は俺で、もう一人は柚木さんだ。
もう、何も話もしないまま、30分が経過しようとしている。
こういう時、なんて言えば良いんだ?
何も考えずに追いかけたは良いが、その後のことをなんにも考えてなかった。
それに、このシュチュエーション。
沈黙が重すぎる。
その、沈黙を破ったのが柚木さんだった。
「ありがと」
ぽつり、と。
素っ気なく彼女に対し、俺はただ「ああ」とだけ答えた。
何故か、今はあんまり離さない方がよく思えたからだ。
「私、決めた」
そう言って立ち上がる柚木さん。
決めたって、何を?
とまどう俺に対し、言葉を続ける。
「私、告白する」
・・・・・コクハクスル?
って、もう里村さんって彼女がいるのに?
「うじうじするのって私らしくないし、こんな気分のままなのっていやだもん」
そう言って俺の方に向き直る。
「だから、住井君もしようよ。告白」
立ち直ったからなのか、笑顔を見せる柚木さん。
「お、俺も?」
なんだか分からないうちに、俺も告白することになったらしい。
何でそう言う方向に考えが行くかは分からないけど彼女の迫力に押されてそうなってしまった。
でも、最後の方は泣いてなかったから良いか。
俺は流されるままに、ぼんやりとそう考えていた。

そして翌日の放課後。
昨日の告白の結果をお互いに言い合うことになっている。
俺が席に着き、しばらくしてから柚木さんがやってくる。
「で、どうだった?」
何かを言われる前に聞く俺。
彼女は少しの沈黙の後、言った。
「・・・言えるわけないじゃない」
初めに、小さく。
そして次はもう少し大きい声で言った。
「今更告白したってぎくしゃくするだけじゃない!」
自分に言い訳をするように言ってる。
まあ、そんなところじゃないかとは思っていたけど。
そんな俺に対し、彼女が聞いてくる。
「で、住井君の方はどうだった?」
「二人で遊びに行こうって誘ったらOK貰った。」
俺は即答する。
そう、信じられないけどOKされたのだ。
「よかったじゃない。」
少しの驚きを交えて彼女が言う。
まあ、確かに嬉しかったんだけど。
「でも、やっぱりいいって言って断った」
「なんでっ!?」
あ、やっぱり驚いてる。
まあ、一番信じられないのは俺なんだけど。
せっかく貰ったOKを断るんだからなぁ・・・
「すいませーん。注文いいですか?」
理由を問いつめる彼女を無視し、店員を呼ぶ。
「ストロベリーシェイクと、ストロベリーワッフルのセットを」
そして注文。
「ちょ、ちょっと、それって」
とまどっている柚木さんを横目に注文する。
俺もどうかしちゃったのかもな。
長森さんより、柚木さんの方をかわいいって思うなんて。
「何?手紙でも書いた方が良かった?」
そう、柚木さんに言う。
きっと今、俺の顔は赤くなってるだろうな。
そんなことを思いながらも柚木さんを見る。
今まで見た表情の中で一番、驚いている顔かもな。
何故か、そんなことを思う。
「あのー、お客様?ご注文の方は・・・」
まだ注文してない柚木さんに注文を確認する店員。
柚木さんは俺に何か言いたいような目で見つめていたが、やがて口を開いた。
「私にも、同じ物を」


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

PELSONA:やっっっっと終わったぁ〜。
どっぺる詩子:おつかれさま〜。
PELSONA:ああ、マジで疲れた。長編終わらせたのはじめてだからな。
どっぺる詩子:最後に書き始めたのが最初に終わる乗って、変。
PELSONA:・・・・・いいぢゃん。俺だって色々あるんだよ。
どっぺる詩子:ま、今回だけは許して上げましょう。
PELSONA:何で話の主導権握ってるんだ!?
どっぺる詩子:それはそうと、早いとこ感想言ってね。
PELSONA:はいはい。えっと、少女漫画を目指したけど自分的には結構満足してます。
どっぺる詩子:変な部分があったけどね。強引な展開とか。
PELSONA:その辺は目をつぶって貰うと言うことで。ではこの辺でさよならしたいと。
どっぺる詩子:他の長編もあるしね
PELSONA:・・・ああ。今は考えたくないけどな
PEL&D詩子:それでは、さよぉならぁ〜

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