すとろべりーしぇいく! そのに 投稿者: PELSONA
あれから毎日、俺はここに足を運んでいる。
ここって言うのは山葉堂内にある喫茶店だ。
持ち帰りではなく、ここで食べていく客のための場所だからそう広くない店内。
そこの橋の席に俺と、彼女がいる。
「なあ、いったいいつまでこんな事やらせるんだよ?」
目の前でにこにこしている彼女に聞いてみる。
「別に住井君には関係ないでしょ?それより早く注文したら?」
そう言って話をはぐらかす柚木さん。
はぐらかすって言うより初めから俺の話なんて聞いていないみたいだけど・・・
「わかったよ。決めれば良いんだろ?決めれば」
そう言って手元のメニューに目を落とす。
元々がワッフルを食べるための所なのでメニューはそんなに多くない。
いろんな種類の飲み物と、ワッフル。
その程度。
「じゃ、この店長おすすめのワッフルセットってのにしておくよ」
俺は最も一般的なメニューを選ぶ。
「ドリンクとワッフルは何にするの?」
「そうだな・・・ストロベリーシェイクとストロベリーでいいや」
とりあえずストロベリーに決めた俺は彼女にメニューを返す。
「えっ?もっと他の物頼まない?」
彼女は頭をぽりぽり掻くと言う。
「ジンクスがあるのよ」
「ジンクス?」
いきなり彼女の口から出たジンクスと言う言葉。
それが何を意味するか分からない俺はそのまま聞き返す。
「そう。ジンクス。あなたストロベリーシェイクとストロベリーワッフルにしたでしょ?」
「えっ・・・あ、ああ」
言いたいことがわからない俺は曖昧に返事をする。
「それを頼むと、一緒にいた人と両思いになれるってジンクスがあるのよ」
と、真剣な表情で言う。
だから他のを進めたってワケだ。
女の子らしいと言うか、馬鹿っぽいと言うか・・・
でも一応、他のメミューにしておく。
「わかった。俺も柚木さんなんかと両思いになったら厭だから他のにするよ」
俺はそう言って他のをウェイトレスの子に頼んだ。
「ちょっとぉ、それ、どういう意味?」
少しむくれて彼女が言う。
「別に。言葉通りだけど?」
ちょっとからかった感じで俺は言う。
今までさんざんおもちゃにされた分を仕返ししようと思ったからだ。
「むーーー」
そう言われた柚木さんはふてくされてジュースを飲んでいる。
黙ってるとかわいい・・・なんて思ってしまった。
でもなんで俺を毎日ここに誘ってるんだろ。
ひょっとして、俺に気があるんじゃぁ?
だいたい、放課後つきあうって言っても毎日ここでお茶してるだけだし。
そう考えるとすべてつじつまが合う。
そう思った俺はどきどきしながらも思い切って聞いてみた。
「なあ、もしかして俺のこと好きなの?」
自分で言いながらも赤面してしまう。
「住井君って時々変なこと言うね」
にっこりと微笑みながら返してくる彼女。
いくら何でもその言葉は酷すぎる。
「そう言うのを自意識過剰って言うのかな」
そして追い打ち。
やっぱり、可愛くない女だ。
「それならさ、何で毎日俺を誘うわけ?」
そう、彼女につきあいだしてもう一週間だ。
俺にだって知る権利ぐらいはあると思う。
「えっ?・・・とぉ」
彼女の反応は予想外の物だった。
少し顔を赤らめてストローの袋をいじってる。
「別にイイじゃない・・・」
消え入りそうな声で答えを返してくる。
うーん・・・柚木さんにこんな一面があったとは知らなかった。
俺が知ってる彼女の顔なんてほんの一部なんだなって思う。
それでも理由を聞かないことにはこの行動に納得できるはずもなく・・・
「でもさ、理由ぐらい聞かせてくれてもイイじゃん。毎日つきあってるわけだし」
結局聞いてしまう。
彼女は下を向いてストローをぐるぐる回していたが、まもなく顔を上げて言った。
「ヤキモチ焼かせたいのよ」
ヤキモチを焼かせたい。
確かにそう言った。
そう言った彼女の頬はうっすらと紅色に染まっている。
こんな表情で言うって事はウソであるはずもなく・・・
「・・・マジ?」
でも一応聞いてしまう。
やっぱり、普段の彼女とはイメージが違いすぎるから。
「・・・こんなの冗談で言わないわよ・・・」
消え入りそうな言葉で返事をする柚木さん。
しおらしくしている彼女は、やっぱり可愛いと思った。
「折原君っているでしょ?。住井君と同じクラスの。」
そして彼女は観念したように話し出した。
相変わらず、頬を紅く染めたままで。
「あ・・・ああ。里村さんと3人で仲良くしてるんじゃないの?」
そう。確かに折原と里村さんと柚木さんが一緒にいるところをよく見かける。
でも、折原の名前を出したって事は?
やっぱり、そう言う意味なのかな。と思う。
「なんか、私のこと女の子として意識してない見たいなんだよね。」
そこでいったん言葉を切って残ったケーキを一口食べる。
「あくまでも、『茜の親友』って見られてるみたいでさ。」
ふう。とため息をつく柚木さん。
柚木さんは、やっぱり折原のことが好きらしい。
「だからっ、他の男の子といるとこを見たらちょっとはヤキモチを焼いてくれんじゃないかって思ったの」
そう言うことなのか。
やっと納得がいった。
彼女は自分を女の子としてみて欲しいから、俺を利用しているらしい。
「でもさ、それならここじゃなくても学校とかで良いんじゃない?俺も協力するし」
ちょっとした疑問を投げかけてみる。
そう、そんなことならわざわざここに足を運ぶこともないからだ。
「学校は茜がいるからなんか嫌なの。それに・・・」
「それに?」
語尾を繰り返して続きを促す。
「折原君って甘い物が好きでよくここにも来るらしいから。
 それに男の子といるんだったらこういうところの方が自然でしょ。」
と、彼女の説明は終わったみたいだった。
それにしても相当意外だった。
彼女は折原のことが好きで、ヤキモチを焼かせたいから俺を利用している。
やっぱり女の子なんだよな・・・って思った。
「分かった。じゃ、協力するからさ手紙返してよ」
彼女の気持ちは少しは俺にも理解できたから、協力する気になった。
でも、あの手紙だけは返して貰わないとマズイ。
彼女の女の子らしいとこも分かったから、協力するって言ったら返してくれるだろう。
はい、って感じに手のひらを出す。
当然、手紙を渡せっていうジェスチャーだ。
「なんで?」
でも彼女は訳が分からないって風に聞き返す。
「あのね、俺は手伝うって言ってるだろ?」
「うん」
当然って感じで頷く彼女。
「じゃあさ、弱みを握る必要ないでしょ。だから、手紙返して」
俺はにっこりと微笑みながら手を差し伸べる。
「嫌」
微笑んで否定する柚木さん。
「何でっ!協力するんだからいいだろっ!!」
強めに言う俺に対して、彼女は微笑みを絶やさないままでこういった。
「弱みは握っておいた方が得でしょ」
にっこりと。
詩子ちゃんスマイルを浮かべてやがる。
前言撤回。やっぱりコイツは悪魔だ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

PELSONA:少しは調子が戻った・・・かな?
どっぺる詩子:久しぶりだもんね
PELSONA:うん。ずっと何も書けなかったしね。これに3日ぐらいかかったし。
どっぺる詩子:他の長編も仕上げなきゃいけないし、早く調子戻ると良いよね。
PELSONA:・・・なんか優しすぎて不気味。
どっぺる詩子:私のどっぺるがヒロインだしねっ。早く続き書こうねっ。
PELSONA:・・・前向きに善処いたします

http://www.grn.mmtr.or.jp/~pelsona/