アイ フォー ユー 投稿者: PELSONA
「茜っ!お願いっ!チョコの作り方教えてっ!」

茜はそう言った私にかなり驚いたみたい。
そりゃそうよね。
私だって自分で言ってて驚いてるんだから。
だってねぇ。私は詩子さんだよ?
そんな、特定の個人に対してわざわざ作ってまでチョコをあげる・・・なんてねぇ。
どっちかというと「はいこれっ」なんて言いながら義理チョコ渡すのが似合うと思うし。
でも、私は自分で作って、あげようと思った。
これは真実。
そして私の素直な気持ち。
だから別にいいんだけどね。周りの目なんて。

「・・・分かりました。詩子がそんなこと言うなんてよっぽどのことなんですね」
茜は私に作り方を教えてくれることを了解してくれた。
こんな時、幼なじみっていいなって思う。
昔からお互いのことを知ってるから本音を言うことが出来るしね。
茜が同思っているのかは知らないけど私は茜のことを親友だと思っている。
こんなのは相手がどう思うかってのより、自分がどう思っているかが大切だと思うんだ。
「ありがとね」
そんな茜に私は精一杯の感謝を込めてお礼を言う。
「それでどのように教えれば良いんですか?一緒に作りましょうか?」
茜は優しいから、私が一緒につくってっていったら一緒に作ってくれると思う。
でも、今回は自分一人の力で作ってみたいんだ。
たとえそれが難しいことでもね。
だから私は
「なら詳しい作り方をメモしてくれるかな?」
って頼んだ。
もちろん、なるべく細かくって言うのも忘れずにね。

私は茜に書いて貰ってメモを見ながらキッチンに立っていた。
しっかり見て気がついたんだけどこれって難しくない?
茜はあんなにすらすらと書いてたのに・・・
年期の違いって奴かな?
「じゃ、はりきってつくってみますか」
声に出すことで気持ちを切り替える。
アイツのために精一杯おいしいチョコが作れるように・・・ね。

「えっと、まずはチョコを刻めばいいのね」
メモの内容を口に出して言いながら包丁を手に取る。
包丁で刻んで良いのかな?
なんて思ったけどすぐに後で洗えばいいかって思い直してきざみ始める。
チョコって結構堅いんだよね。
なんて思いながらもきざみ終える。
で、次は何をしたらいいんだっけ?
私はきざんだチョコをボウルに入れると次の欄を見る。
  砕いたチョコレートをビニールの袋に入れる
「ふむふむ。袋に入れってっと」
きざんだチョコレートをビニール袋に入れると、念のために二重にしておく。
「で、次は・・・」
  チョコレートを流し込む型をボール紙で作る
「ボール紙ね」
あらかじめ茜がくれたボール紙を取り出すと、そこで止まってしまう。
・・・どんな型にしたらいいんだろう?
困った。すっっっっごく困った。
ハートが立ってのもアレだし、星形とかは難しそうだし。
・・・アイツの顔なんて無理だしね。
2,30分迷った末に私が決めたのはハート型。
やっぱり基本は大事でしょうって事で。
それに、女の子らしいとこも見せておきたいしね。
ハートの形の型を作ると、鍋のお湯は完全に沸騰していた。
あらら。ちょっと時間掛けすぎちゃったかなあ。
少しだけ火を弱めるとメモの続きを確認する。
  袋を手に持ったまま沸騰した鍋に入れる
「袋を・・・鍋にいれる?」
私の記憶では確か”湯煎”ってのをやるはずだけど・・・
自分の記憶と違うことに疑問を抱く私。
でもすぐに茜なりの考えがあるんだろうって思い直してメモの通りにする。
「すごいっ。ちゃん溶けてくっ」
冷静に考えてみれば当たり前のことなんだけど私はすごくうれしくなってしまう。
自分でやったのも初めてだしね。
「で、後は冷蔵庫に入れれば出来上がりねっ」
溶けたチョコを型に直すとチョコを冷凍庫に入れる。
このほうが早く固まりそうだしね。
自分なりのアレンジをくわえたことで気分の良くなった私は片づけをすると部屋に戻った。
もちろん。茜にお礼の電話を入れるためにね。

そして次の日。
バレンタインデー当日。
私が冷凍庫からチョコを取り出すとチョコはでこぼこになっていた。
それに型からもはずれない。
「なんでっ!?」
思わず叫んでしまう。
茜の言ったとおりにしたはずなのにいっ!!
私はすぐに茜に電話する。
朝早いとか、そんな迷惑なこと考えてもいなかった。
「ちゃんとメモの通りにしましたか?」
茜が聞いてくる。
「もちろんっ!ちゃんとメモの通りに――」
話しながらメモを見ていた私は間違いに気付いた。
「あ・・・冷めるまで外においてなかった・・・」
「・・・それでは表面が平らにならないのは当たり前です」
ふう・・・と。ため息をついて茜が言う。
「じゃ、じゃあ早く固まるように冷凍庫に入れるって言うのは?」
「もってのほかです」
う゛ーーーーっ
「ど、どうしよ〜っ!こんなんじゃ渡せないよぉ〜っ!!」
思いっきり焦りながら私は茜に泣きついた。
ホント、私って馬鹿。
ちゃんと茜の言うとおりにしてたらこんな失敗はしなかったのに。
私はそんな自分が悔しくて半泣きになってしまった。
「・・・詩子」
すごく優しい声で茜が言ってくれる。
「浩平はそんなことで文句を言ったりしません」
「・・・・・えっ?」
思わず声を出す私。
「・・・ばれてたの?」
「詩子の考えてることぐらい分かります」
一言もそんなこと口に出したことは無いのに。
思わず両頬が紅くなる。
「そ・・・そうだよね。折原君はそんな事じゃ文句は言ったりしないよね・・・」
茜に言われて気付いた。
そんなところにも引かれたんだって事に。
「・・・はい」
相変わらず穏やかに言う茜。
「じゃ、私渡してくるねっ!!」
そう言ってお礼を言うと私は受話器を置こうとする。
「詩子」
微かに聞こえる声。
私はあわてて受話器を持ち直す。
「喜んでくれると良いですね」
「うんっ!ありがとうっ!」
大好きな幼なじみにお礼を言って、私は家を出た。

私は走る。大好きな人の家に向かって。
彼の家に行くのはこれで2回目。
一回目はみんなで遊びに行ったんだけど、今回は違う。
私の思いを伝えに行くから。
彼の家の前に立って、インターホンを押す。
と、玄関が開き、現れる彼。
「よう茜。どうしたんだ?こんなに朝早く」
「うん。ちょっとだけ用があってね」
「ま、こんな所で立ち話も何だからあがるか?」
「うん。じゃあそうさせて貰おうかな」
「柚木・・・もうちょっとおもしろい反応をしろよ」
彼のおきまりの冗談を受け流し、私はリビングへと通される。
「で、今日は何のようなんだ?」
そんな風に。ぶっきらぼうに言う折原君に向かって私はほほえむ。
「あのね・・・・・・」

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

PELSONA:はいっ。おつきあいありがとうございました。5個目です♪
どっぺる詩子:ホントに書き上げたんだ・・・オツカレサマ。
PELSONA:マジで疲れた。で、ネタのストックもなくなった・・・と
どっぺる詩子:5作品連続投稿なんて迷惑も良いところだよね〜
PELSONA:おまえがやれといったんだろうがぁぁっ!
どっぺる詩子:そ、そんなに怒らなくても・・・
PELSONA:・・・パトラッシュ・・・僕はもう疲れたよ・・・
どっぺる詩子:現実逃避してるし・・・。タイトルについて言わなくて良いの?
PELSONA:を。良いこと言うねぇ〜偉いねぇ〜。
どっぺる詩子:誰の真似よ・・・
PELSONA:秘密。しかしDIO様で80HITしかできないのは悔しいな・・・かきょでも70だし・・・
どっぺる詩子:そんなことよりっ!た・い・と・るっ!
PELSONA:アイ=I=LOVEです。以上。しかしだっさいタイトルだなぁ・・・
どっぺる詩子:思いつきでタイトル決めるあなたが悪い(びしぃっ!!)
PELSONA:ちなみに。作品中の作り方でチョコは作れたはず。記憶だから違うかも。
どっぺる詩子:も、もしかして実際に作ったことあるの?
PELSONA:いや、ない。クッキー、クレープ、ケーキぐらいだな。
どっぺる詩子:そ、そう・・・そんなこといって良いの?
PELSONA:いいの(甘みあっさり)。では引っ越しの準備があるのでまた来週ぐらいにお会いしましょう〜
どっぺる詩子:読んでくれた人アリガトね〜っ♪

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