このお話は、北一色さんの「乙女の秋」をもとに、その続編とし て書いております。 なお、この話の掲載を許可してくださった北一色さんに、この場 をお借りして感謝を申し上げます。ありがとうございますm(__)m いろいろと「言い訳」がありますが、それはまた後ほど。 ☆★☆★ 乙女の秋。 「究極の乙女」を目指す七瀬留美。彼女は、その「乙女の秋」の実 践のため、浩平を巻き込んであれこれと挑戦してみた。「いつもど おり」失敗の連続だったわけだが。 そう言えば、5つ目の秋として彼女が口にした言葉。その一つだ けが、まだ実践されていなかった。 はたして、彼女の真意はどこにあるのか…。 --- 日曜日。遊園地の入り口。 浩平は、そこに立っていた。 「結局、『乙女の秋』とか言って、結局は自分が遊びたかっただけ じゃないのか?」 そうやって、悪態をつきながら…。 浩平が来てから10分ほどして、背中から声がかかった。 「折原、待った?」 「待ったぞ。10分以上な。オレを待たせるとは良い度胸…」 そう言いながら浩平は振り返り、そこにいた留美を見て、言葉を 失った。 かわいいピンクのワンピースに、その服にお揃いの帽子。雰囲気 が、まさに「かわいい女の子」であった。 「どうしたのよ。似合わない、これ?」 「いや、まあ…良いと思うぞ」 浩平は、ある種の違和感を覚えた。確かに、目の前にいるのは、 いつもじゃれあっているあの留美である。しかし、目の前の女の子 は、そのいつもの雰囲気とははるかに違っていた。かわいい女の子 と二人で遊園地…これって、はっきり言えば、「デート」じゃない か! 「と、とりあえず、中に入るぞ」 急に気恥ずかしくなった浩平は、そう言って、半ば照れ隠しに 留美の手を引っ張り、遊園地の中へと急いだ。 「あっ…」 引っ張られながら、頬を染める留美。浩平と手をつないで、引っ 張られている。なんだかうれしい気分になる自分に、留美は気付い ていた。 --- 「くそっ、なんで折原ばかりが…」 「そうだそうだ。あいつには、長森さんがいるじゃないか!」 「まあまあ、そんなこと言わずに、二人の仲を見守ってあげましょ うよ」 トレンチコートやらサングラスやらで「変装」をしている3人組 の姿が、そこにあった。 浩平が待っている直前あたりから、その遊園地の入り口で張り込 んでいた3人の人物。同じクラスの、広瀬・南森・中崎の3人であっ た。留美に対して恋心を持つ南森と中崎は、浩平と留美の「デー ト」の情報を極秘ルートでつかみ、彼らを監視、あわよくば妨害さ えしてやろうと考えていた。それを知った広瀬は、彼らの暴走を阻 止すること、そして浩平・留美の様子に対する興味から(どちらか というと、ほとんど後者の割合が大きいが)、ここについてきたの である。 「あ、あいつら、中に入っていくぜ」 「ああっ、七瀬さんと手をつなぎやがってぇ!」 「折原君も、結構やるわね。って、私たちも、中に入るのよっ!」 「「へいっ!」」 こうして、3人組は、カップルの後を追っていった。 --- ぜぇっ、ぜぇっ。 息を切らしながら二人がたどり着いたのは、ジェットコースター の前であった。 「はぁっ、はぁっ、なんで私たち、全力疾走しなきゃならないわ け?」 「聞くな、七瀬。世の中には、知らない方が幸せなことだってある んだ」 「はぁっ、まあ良いわ。で、どうするの、これから?」 「とりあえず、一番最初はジェットコースターだろう。まさに遊園 地の定番! 都合良く、目の前にあることだし」 「良いわね。それじゃ、乗りましょう!」 というわけで、二人は、ジェットコースターの入り口へと向かっ た。 --- 「私たちも乗るのよっ!」 あの二人の様子を見て、そう提案したのは、広瀬であった。 「「ええ〜っ、ジェットコースターに乗るんですかぁ!?」」 南森・中崎の二人は、声をそろえて文句を言った。 「何よ。あの二人の監視をするんでしょ? ついて行かなきゃ、無 意味じゃない!」 「で、でも、ボクは、その…」 「オレは、医者に心臓に悪いモノは控えるように言われていて…」 「なぁ〜に情けないことを言っているよっ!せっかくフリーパスも 持っているんだから、こういうところで使わないともったいない じゃない!」 ちなみに、広瀬のフリーパス等は、南森・中崎の二人が折半して 出したのだ。 「さあさあ、行こっ!」 「「ひえぇ〜っ、お助けぇ!」」 男二人は、広瀬に引きずられるようにして、ジェットコースター に向かった。 --- 「あ〜っ、楽しかったわねぇ」 留美が、そう言った。 その横で、ジェットコースターでの留美を思い出す浩平。 隣でキャーキャー言いながら喜んでいる留美。浩平はその様子に 対して思った。 (なんか、こういうところって、女の子っぽくてかわいいよな…) 「どうしたの?楽しくなかった?」 少し心配そうな表情の留美。 「そんなこと無いぞ。とても良かった」 ほほえみながらそう答える浩平。その笑顔に、留美はどきっとし た。折原ってこういう笑顔をするんだ、そう思いながら。 「さて、そろそろ昼だな。何か食うか」 「そ、そうね。そうしましょ」 浩平の提案に留美も賛成し、二人は、カフェテリアの方へと向 かった。 --- 「目が回る〜」 「ぐぉ〜っ、ぎぼぢわ゛る゛い゛〜っ!」 「なぁ〜に情けないことを言っているのよ! あ、あの二人、カ フェテリアの方に向かうわね」 ジェットコースターにノックアウトされた二人と、元気いっぱい にはしゃいでいる広瀬。何とも対称的な感じである。 「そうね、私もお腹がすいたわ。さ、行くわよ!」 「う〜、もう少し休ませて…」 「右に同じ」 「何言ってんのよ。あの二人を監視するんでしょ!ほら!」 またも、広瀬が他の二人を引きずるようにして、今度はカフェテ リアを目指した。 ☆★☆★ え〜と、言い訳。 はっきり言って、もとの設定はもちろん、北一色さんの設定など さえも、思いっきり無視してしまっているかも知れません。本当に ごめんなさいm(__)m 完全に、私の趣味だけで書いてしまったかも(^^; それから、もう一つお詫び。今、過去ログを見ていたら、「乙女 の秋」には「中編」ってのがあったのですね。これ、「前編」の続 きのつもりで書いてしまいました(^^; (完全に、「中編」の存在を失念していた) まあ、続けようとしたら「中編」から続けるのも不可能じゃない かも知れないというあたりで、冒頭に少し付け加えて、中身はその ままにしてます。