エターナル6・第3話 投稿者: Percomboy
 永遠戦隊・エターナル6
 心も体も傷ついたあたしたち。でも、みさきちゃんの心が、あた
したちを癒やしてくれた。
 そして、みさきちゃんは、あの戦いを再確認するために、司令室
にいる。

・第3話「記録」

 司令室の、長官席に座っているみさき。頭には、ヘルメットのよ
うな感じのバイザーを。これにより、脳に直接映像を投影すること
で、目が見えないみさきも、戦いの様子を「見る」ことができるの
だ。
 静かに、記録の再生を指示する。そして、先の戦いの様子が、彼
女の脳内に、再現されるのであった…。
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 海より近づいてくる、謎の怪獣。それを迎え撃つ永遠戦隊の戦力
たち。
 エターナルファイター、エターナルタンクは戦闘不能に、そして
エターナルバトラー1号をかばったエターナルバトラー2号は、バト
ラー1号の前で串刺しということになった。
 バトラー2号のコックピット。中は、パイロットの浩平の血で、
一面の赤であった。体の右側は、破壊された機械類で挟まれて、手
足はすでに動かしようがなかった。衝撃で内蔵にもダメージがいっ
たのか、口からも血を吐いている。
 わずかに生き残っている通信用モニターに、七瀬・長森・茜・み
さきからの通信が入る。画面はノイズがひどくて見づらいが、4分
割されて、各人の表情が映っている。
「お…折原、折原ぁ!」
「浩平!だいじょうぶ?しっかりして!」
「浩平…」
「浩平君!」
 浩平は、モニターの、七瀬が映っている部分に向かって、呼びか
ける。
「な…七瀬…無事だったようだな…」
 モニターから、さらに七瀬と長森の声が流れてくる。
「折原の方が、無事じゃないじゃないっ!」
「浩平!こうへい!」
 浩平が、七瀬に向かって続ける。
「目の前で仲間が串刺しってのは、良い気がしないからな…」
「だからって、折原が…」
「浩平、しっかりして!こうへ〜い!!!」
 浩平の目の前が暗くなる。もうダメか、そんな感覚にとらわれ
る。
 最後の力で、モニターの4人に向かって、浩平は言った。
「仇を…頼むぞ…」
 その直後、最後の一撃で、バトラー2号は倒れた。
 次に、バトラー1号に攻撃が加えられ、バトラー1号も倒れた。
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 ファイターのコックピット。メインパイロットシートに長森。後
部座席の繭は、目を回して、気を失っている。
 長森が、モニターに向かって叫んでいる。
「浩平!七瀬さん!」
 目の前で倒れていく、バトラー1号と2号。
 不意に、長森の中の「何か」が切れ、彼女は気を失った。
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 ファイターのコックピットのあたりから、光が漏れ出す。
 コックピットを破って、光の球体のようなものが、空中に浮かび
上がってくる。
 怪獣の目の前で、その光が止まる。よく見ると、その光の中央に
女の子が見える。白いワンピース姿の、長森をちょうど小さく
・幼くした感じの女の子である。
 怪獣が、一瞬ひるむ。
 女の子はうつむいていたが、やがて顔を上げる。手のひらを胸の
あたりで、空間を作って合わせる。そして、その空間には、周りの
光よりもさらに強い光が輝き出す。

 司令室でその様子を確認したみさきは、あわてて、指示を出す。
「現場の各員は、至急、対音波防御をしてっ! 音声通信は、しば	
らく中断するよっ!!」
 そして、みさきは、かなりあわてた様子で、通信装置の音声回線
を閉じる。
 茜も、その指示を受けて、耳栓を付ける。
 すでに気を失っている澪と繭には、必要は無さそうだった。

 その直後、光の中の女の子が、怪獣の方を見据え、ゆっくりと口
を開く。
「えいえんはあるよ」
 怪獣が、恐怖におびえたように、あわてて腕を振り上げる。
 しかし、その腕が女の子をたたきつける前に、彼女は、次の言葉
を放ったのだった。
「ここにあるよ」
 ギャアアアアァァァァァァァァッッッ!
 怪獣は、断末魔の悲鳴だけを残して、いずことも無く消え去った
のだった。

 怪獣が消えた直後、女の子の手の中に、まだ光の球体があった。
 だが、そこで、彼女は気を失い、地上へとゆっくり落ちていっ
た。途中で、手の中の、光の球体は消滅してしまったが。

 その様子を見て、みさきは、音声回線を接続し、現場に指示を与
える。
「各機と各要員、それから瑞佳ちゃんを回収して!」
 ファイターと中にいた繭、タンクと茜・澪、バトラー1号と七瀬
そして大破したバトラー2号を回収。
 それから、先の女の子が落ちていったところに作業員が到着する
と、そこには、長森が倒れていた。
 そうして、みんなは、防衛隊基地へと戻っていったのであった。
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 改めて先の戦いを見て、みさきはつぶやいた。
「瑞佳ちゃんの能力(ちから)を、ナメていた感じね…」
 あの能力があれば、およそほとんどの敵を倒すことができるであ
ろう。ただし、長森は、あの戦闘の後、3日間昏睡状態が続いたと
いう。能力自体も、かなり危険なものでもあった。一歩間違えば、
味方もろとも消滅させるという。あまり、あの能力に頼っての戦い
は、考えたくはなかった。
 また、怪獣迎撃用に作った機体も、思ったような戦果は挙げられ
なかった。それに、たった一度の戦闘で、各員がかなりのダメージ
を被る結果にもなった。彼らを守るためにも、以前より進めていた
計画を、なんとしても完成させなければならない、みさきは、一人
だけの司令室で、そう思うのであった。
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次回予告!
 傷も癒え、ようやく退院した浩平と七瀬。彼らに、短い安らぎの
時が訪れる。
 優しい時の中で、青春を謳歌する彼ら。その中で、計画は確実に
進行していた。
 次回、第4話「休息」
 永遠の果てには、希望か、絶望か。