エターナル6・番外その1 投稿者: Percomboy
永遠戦隊・エターナル6
 茜です。
 初めての戦いで、浩平が大怪我をして入院してしまいました。
 そこで、澪さん、繭さんと3人で、お見舞いに行くことにしまし
た。

・番外その1・初めてのお見舞い

 浩平のお見舞いに行くついでに、七瀬さんのお見舞いにも行こう
と思ったのですが、病室のドアには、「面会謝絶」の札がかかって
います。
 いったい、どうしたのでしょうか? 七瀬さんの怪我は、そこま
でひどいものじゃなかったと思ったのですが。

 浩平の病室の前です。澪さんと繭さんがはしゃいでいます。おと
なしくしておいた方が良いと思うのですが。

 病室に入り、浩平に挨拶をします。
「浩平、お見舞いに来ました」
「茜か」
 続けて、繭さんが。
「みゅ〜!」
「繭もいるのか」
『澪もいるの』と、澪さんが、スケッチブックに書いて掲げていま
す。
 浩平が、訊いてきました。
「そう言えば、澪はどうしている? まだ、お見舞いに来てくれて
ないんだが」
 澪さんが、怒って、浩平さんのもとに近寄り、スケッチブックで
浩平をたたいています。
「痛い痛い! 澪もいたのか。すまん、見えないんだ」
 さすがに、澪さんもいることに気が付いたようです。
 澪さんは、思いっきりふくれっ面になってます。
「これで、あとお見舞いに来てくれてないのは、七瀬だけか」
 何となく寂しそうに、浩平がそう言いました。
 私は、先ほど見たものを思い出しました。
「七瀬さんの病室のドアに、面会謝絶の札が出ていました」
「七瀬は、そんなにひどい怪我をしたのか?」
 浩平が、驚いた様子で訊いてきました。
「浩平がかばったおかげで、あの戦いでは、そこまでひどい怪我は
していなかったと思ったのですが…」
 私は、そう応えたのでした。
 浩平が続けます。
「う〜ん、七瀬のことだから、怪我をしているのに歩き回って、階
段から落ちて重傷、なんてのもあるかもな」
「まさか、そんなことはないでしょう」
 いくら何でもそこまでまぬけな人じゃないでしょう、と、私はそ
う思いながら言いました。

 澪と繭は、私の後ろの方で遊んでいるようです。
 ふと、私は、持ってきたもののことを思い出しました。
「浩平に、差し入れを持ってきました」
「ん?何だ?」
「私が落ち込んだりしたときは、これを食べると、元気になれるん
です。浩平にも食べて欲しくて、持ってきました。これを食べて、
早く良くなって下さい。」
「ありがたいな。何だろう」
 私は、持ってきた紙袋を出しました。いつも行きつけの、「ワッ
フルショップ・雪ちゃん」の紙袋です。
「私が一番好きな、ワッフルです。浩平も、きっと喜んでくれま
す」
「茜、自分では食べることが出来ないんだ。食べさせてくれ」
「わかりました。口を開けて下さい。あ〜ん」
「あ〜ん」
 私は、浩平の口の中に、ワッフルを入れてあげました。
「もぐもぐ…うぐっ! な、何だこれは? むちゃくちゃ甘いぞ」
「『雪ちゃん』の、スペシャルワッフルです。おいしいでしょう」
 それは、私が『雪ちゃん』の店長さんに頼み込んで製品化しても
らった、私好みに味付けのしてある特製ワッフルなのです。
「まだあります。もっと食べてください」
「ちょ、ちょっと勘弁してくれ。うあ、ぐっ…!」
 私は、浩平にもっと食べて欲しくて、持ってきた4つのスペシャ
ルワッフルを、浩平の口につっこみました。
「うぐ、ぐ…」
 がくっと頭を横にして、浩平は、そのまま動かなくなってしまい
ました。おなかがいっぱいになって、寝てしまったのでしょう。
 澪さんが近づいてきて、スケッチブックを掲げました。『ちゃん
と来た証拠に、包帯の上に落書きをするの』と書いてあります。繭
さんも、一緒にやるようです。面白そうなので、私も参加してみよ
うと思います。
 ---
「それでは、私たちはこれで帰ります」
 落書きで、包帯の白い部分がほとんどなくなった浩平に、私はそ
う言いました。浩平は、まだ眠ったままです。浩平を起こさないよ
うにと、静かに、病室をあとにしました。
 ---
 あとで聞いた話ですが、私たちが帰った直後、浩平は、集中治療
室に運ばれたそうです。何があったのでしょうか?