エターナル6・第1話 投稿者: Percomboy
永遠戦隊・エターナル6(シックス)
・第1話「初陣」

 巨大ロボットのコックピット内。けたたましい警報音。
 ここは、とある海岸の近く。周りには、森林と、それを取り巻く
海岸道路と、わずかな民家。民家の住民は、すでに避難を完了して
いる模様。
 海岸の砂浜に、その高さ10mほどの大きさのロボットが、2体
立っている。上空には飛行機が1機、地上には、2体のロボット以外
には、戦闘車両が1台、森林と海岸道路の境のあたりに位置してい
る。
 遠くの海から、何物かが波しぶきを立てて近づいてくる。

 コックピット内のモニターに、通信が入る。画面に、彼らの司
令官が映る。

川名司令「目標が、イエローゾーンに侵入してくるよっ!」

 それぞれの機体のコックピット。計6名の隊員たちに、緊張が走
る。これが、彼らにとっての、初めての戦闘なのであった。
 波しぶきは、だんだん大きくなる。

 海岸近くで、その近づいた水しぶきの中から、巨大な人型のモノ
が飛び出す。頭と手足が付いている感じなので、一応は人型なのだ
が…形容すれば、黒い全身タイツに包まれている、そういう感じで
もある。
 その直後、上空の飛行機…エターナルファイター(以下、ファイ
ター)…から、レーザー砲による攻撃が加えられる。その敵である
「怪獣」の体に命中した!
 しかし、少しはひるんだモノの、すぐに体勢を立て直す。そして
右腕をファイターに向ける。腕の先が赤く光ったと思うと弾を撃ち
だした! 直撃はしなかったモノの、一部がかすったらしく、姿勢
を崩して、近くの森の中へと墜ちていった…。

七瀬「瑞佳!繭!」

 ロボットの片方…エターナルバトラー1号(以下、バトラー1号)…
のコックピットから、通信機で少女が呼びかける。
 直後、モニターに、ファイターのコックピットが映し出される。

長森「だ、大丈夫だよ〜」
繭「みゅ〜」

 とりあえずは、無事だったようだ。繭は目を回してのびているよ
うではあるが…。ファイターは、何とか地表近くで持ち直して、不
時着することには成功したようである。

 戦闘車両…エターナルタンク(以下、タンク)…が、上部にレー
ザー砲の砲塔を出して、「怪獣」に向けて撃った。攻撃は命中!
 しかし、またも先ほどと同じような反撃を受けて、タンクは横転
してしまった…。

七瀬「里村さん!上月さん!」
茜「…まだ、生きてます。澪は、気を失っているようですが。」

 七瀬が安堵のため息を付いているところに、モニターに、バト
ラー2号からの通信が入り、パイロットの少年が映し出される。

浩平「七瀬、来るぞ!」
七瀬「わかったわ…こうなったら、あたしがけりをつけてやるわっ!」

 バトラー1号が、前進をはじめる…手首のあたりから、ビーム
ソードを取り出し、刃の部分であるビームを展開する。

七瀬「乙女の名にかけて、死んでもらうわっ!」

 そう叫ぶと、バトラー1号は、ビームソードを振り上げ、突進を
開始した。

七瀬「でええぇぇぇぇぃっ!」

 ソードを振り下ろ…したはずのバトラー1号。七瀬は、そのつも
りであった。しかし、実際は、ソードを振り上げた腕はそのままに
怪獣の方へ急接近しているのであった…。

七瀬「しまった! 腕のレバーと移動用レバーを間違えた!!!」

 十分接近したところで、バトラー1号の両腕は怪獣の右腕に止め
られ、瞬時に尖らせた怪獣の左腕が、バトラー1号の胸のあたりを
めがけて迫ってくる…そこは、ちょうどコックピットの部分でも
あった…。

七瀬「ダメ、やられるっ!」

 七瀬の体が、恐怖で硬直する。思わず目を閉じた…。

 がんっ!

 七瀬のからだに、衝撃が走る。確かに、怪獣からの一撃は、バト
ラー1号にヒットした。目の前のメインモニターが破壊され、怪獣
の左腕と思われるモノが、メインモニターのほぼ真ん中から突き出
ている。
 しかし、メインモニターのかろうじて生きている箇所に映し出さ
れた外の光景は、ある意味信じられないものでもあった。
 それは、バトラー1号の目の前で、右脇のあたりを怪獣の左腕が
貫通した、バトラー2号の姿であった。

七瀬「お…折原、折原ぁ!」

 通信用モニターに、ノイズだらけの状態で浩平が映る。しかし、
コックピット内は血塗れ、という様子がわかる。

浩平「な…七瀬…無事だったようだな…」

 かすかに笑みを浮かべながら、浩平はそう答えた。

七瀬「折原の方が、無事じゃないじゃないっ!」

 後半は、半分涙声になっていた。

浩平「目の前で仲間が串刺しってのは、良い気がしないからな…」

 息も絶え絶えに、浩平はそう答えた。

七瀬「だからって、折原が…」
浩平「仇を…頼むぞ…」

 そう、浩平が答えた時、怪獣の左腕がバトラー1号・2号から引き
抜かれ、右腕の殴打によるトドメの一撃が、バトラー2号の頭部に
加えられた。
 七瀬の手元の、通信用モニターから映像が消える。

七瀬「おりはらぁぁぁぁ〜っ!」

 その光景を見て、泣き叫ぶ七瀬。
 次の瞬間、バトラー1号の頭部に、怪獣からの右腕の一撃が、き
れいに決まった。
 その衝撃で、七瀬は気を失った。


 天井が見える。
 周りを見渡すと、どうやら病室のようである。
 七瀬が意識を取り戻したとき、彼女は、病室のベッドの上であっ
た。体の各所に包帯が巻かれてあり、左腕は固定されていた。

(続く)