閑話休題 投稿者: Mr.C-Man
その日、オレが部室の前まで来ると中から楽器の音が聞こえてきた。
怪訝に思いながらドアを開ける。
すると、誰もいないと思っていたその教室の隅に、ひとりの見知らぬ男子生徒がバイオリンを持って佇んでいた。
「やぁ」
肌が女のように白く、そして髪の毛もそれに合わせて淡い。
まるで少女漫画の中から飛び出してきたような端正な野郎だった。
「よぉ」
取り敢えず挨拶を返しておく。
この場にいるのだから、おそらく軽音楽部の部員だとは思うが…
顔に覚えが無い。
そもそもなんでバイオリンなんだ?軽音部なのに…。
「やらないのかい?」
「なにを?」
「練習さ」
何を寝ぼけたことを言っているんだ、こいつは。
「見ての通りだ。練習もなにも、顧問さえいやしない」
「顧問なんか必要ないさ。
ひとりでさえなかったら、合わせられると思うよ」
だからバイオリンとどう合わせろと言うのだ?
「キミだってそのために来たんじゃないのかい、折原浩平くん」
「え…?よく知ってるな、オレの名前…」
「知らない者はないさ。君は失礼だがもう少し自分の事を知っておくべきだと思うよ。
それに初対面じゃないんだよ、僕らは」
「どっかであってたっけ…?」
「最初にこういうべきだったかな。やぁ、久しぶり、とね」
何にしても回りくどい喋り方をする奴だ…。
「覚えてないのかい」
「ああ。覚えてない」
「僕は覚えているよ、キミのことは。
だって、キミは僕と同じ目をしていたからね」
「同じ目…?」
「僕はシュン。氷上シュン。
キミと同じ幻想に生きる少年、盟約を待つ者さ。
そんなに時間はないかもしれないけど、よろしく」
「ああ、よろしく」
幻想、か。こいつには似合いそうな言葉だ。
しかし、その後に続いた言葉が気にかかる。
盟約…。時間…。何を指して言っているのか、意味深な気がした。
「転校でもするのか?」
「いや、あくまでも予感だよ、それは。
キミが僕と同じ目をしているとは言ってるけど、根拠なんかない。
そんな気がするだけさ」
「はぁ…なんだかおまえと話していると、疲れるよ」
「そうかい。なら今日はもう話すのはよしておくかい」
「今日はって、今日まで一度も会わなかったんだ。
これから話す機会なんてのも、もうこないかもしれない」
「僕はここにいるさ。話しがしたくなったらきてくれよ」
「もともとこんな部に用なんてない。きっともうこないよ」
「それは早計だな。
それに僕は君の奏でる音も聞いてみたい。相性がわかるのは、そのときじゃないかな」
「オレは音を奏でないし、気色の悪い男との相性なんて知りたくもない」
「ふぅん…」
「じゃあな」
開けっ放しだったドアから、オレは廊下にでる。
「キミとはまた会えると思うよ」
最後にそんな奴の声が聞こえた。

次の日…。
オレは期待していたのだろうか。あるいは、そいつが 居ることを確信していた…。
「やぁ、やっぱりまた会えたねぇ」
言って、にっこりと微笑むのは氷上と名乗る野郎だ。
「凡庸な繰り返しに飽きたかい?」
相変わらずこいつとは、話しが噛み合わない気がする。
「いわばキミと僕との邂逅は変則的なものだろうからね」
オレには邂逅なんて言葉の意味がわからない。
「さて、今日は話の続きができるかな?」
「そうだな…少しだけならな」
「それは良かった。きっと、僕と話すことはキミにとっても有意義なことだと思うよ」
「変則的な邂逅でもか?」
適当に言ってみた。
「つまりは、好奇心を煽るってことだね。
必要はないけど、好奇心を煽る。
たとえば、キミの友達ふたりが殴り合いのケンカをしている。
理由を知りたいかい?」
「知りたい」
「つまりはそういうことだよ」
「………」
やっぱりこいつの喋ることは理解できない。
わざと混乱させようとしているのだろうか…?
「そんなこと知ったって意味はない。でも、好奇心を煽られるだろう?」
「わかった。そうかもしれないな」
とりあえずは、先を急がせよう。
「さて……まずはキミの悩み事を言ってごらんよ」
急かせたつもりが、これだ…。
まあ、いい。訊かれている以上、答えれば話は進むはずだ。
で、なんだっけ?悩みごとだっけか…。
そう言われてもなぁ…。オレは一体、何を悩んでいるんだ…?
「友人関係かな」
「へえ、それはまた意外だね。でも、それは嘘だね」
「嘘…?どうしてそんなことがおまえにわかる」
「嘘じゃなかったら、僕はキミに助言を贈るよ」
「なんて」
「キミは恋人を求めるべきなんだよ」
「恋人…?」
「そう。人は人を想う事で世界に留まっていられる。人は独りでは生きられないからね。
そして人と人との絆は奇跡さえ起こす事ができる。
だから目を瞑ってみて思い浮かべてみればいい。
今、キミが一番好きな人を」
……誰だ?
オレが一番、好きな人…?
……。
バカバカしい。どうしてそんなものを言われた通りに思い浮かべなくちゃいけないんだ。
「恥ずかしいんだね。
キミの心は本当は見かけよりもずっとシャイなんだ。
好意に値するよ」
「……?」
「好きって事さ」


??「ってやめんか〜〜〜いぃっ!!この変態っ!!」
Mr.C-Man改めいいんちょ「ぐはぁっ!!!むぅ、いいパンチだ」
七瀬改「はぁっはぁっはぁっ。まったくこれじゃただの○ヴァのパクリじゃない。
前回のSSがちょっとだけ好評だったからって調子に乗るんじゃないわよっ」
いいんちょ「いいじゃんよぉ。一回書いてみたかったかんだから」
七瀬改「はぁっ。だからっていきなりこんなのに…。
それにあたしの話はどうなったのよ?」
いいんちょ「あったっけ、そんな話?」
七瀬改「某所であんた『七瀬の乙女チック路線でまたSS書く』って言ってたじゃない」
いいんちょ「某所ってどこだ?」
七瀬改「う…。そ、それは『乙女の秘密』よ」
いいんちょ「まあいいか。そんなに書いて欲しいなら書いてやろう」


目の奥を貫くような光にあたしは目が覚めた。
頭の奥に鈍痛がある。
思わず頭に手をやろうとしたができなかった。
あたしの四肢は拘束されていた。
「どういうこと?」
自問しながら視線を巡らす。
あたしを照らしているライトから更に横へスライドした視界に見知った顔があった。
「おはよう、七瀬さん」
「み、瑞佳?」
微笑みながら挨拶をしてきた瑞佳はその手に金ノコや木槌を握っている。
「え…?」
あたしが疑問を口にするより早く、瑞佳が言ってきた。
「だめだよ〜七瀬さん。動こうとしても動けないもん。
浩平にちょっかい出すからいけないんだよ〜」
その言葉が終わるや否や甲高い音がこだまする。
チュイイィィィィ〜〜〜〜ン。
ガリガリガリガリ。
「ちょ、瑞佳。なにやってるのよ!!」
しかし瑞佳は何の反応も示さず作業を続ける。
キュキュキュキュ〜〜〜〜。
「やめてよ瑞佳。やめてったら。やめてくれないと怒るわよっ!!!」
しかしあたしの声は激しい騒音に掻き消される。
キュイィィィィ〜〜〜ン。
バリバリバリバリ。
「きゃ〜〜〜〜」
ナレーション:『七瀬改は改造人間である。
乙女を夢見る女子高生七瀬留美は女流マッドサイエンティスト長森瑞佳によって対米陸戦兵器として生まれ変わったのだ。
その能力はシュトロハイムを遥かに上回ると言う。
行けっ七瀬改!
戦えっ七瀬改!…』

七瀬改「ってどこが乙女チック路線じゃ〜〜〜〜」
いいんちょ「ぐはぁっ!げふぅっ!!」
七瀬改「『改』ってのが気になってたけどこういう事だったのねっ!」
マッド瑞佳「わたしあんなことしないもん。それにわたしマッドじゃないもん」
いいんちょ「ま、まて。はやまるな。それに七瀬改にはいろんな機能があるんだぞ」
七瀬改「どんなよ」
マッド瑞佳「マッドって消してよ〜〜〜」
いいんちょ「(無視)よし、いま設計図を読み上げよう」

七瀬ブレイン:サイログ社のZ80搭載で乙女と猫の定番率を計算するくらい朝飯前だ。
ちなみに日本語仕様なのでメリケン人の命乞いには耳も貸さないぞ。

七瀬アイ:その鋭い眼光は熊をもショック死させるぞ!!
さらにゲージが溜まると浩平の目の奥を貫くビームが放てるぞ!!!

七瀬アーム:戦車の装甲すら突き破るパンチに加え、胸のボタンを押さなくてもロケットパンチが放てるようになったぞ。
そのパワーにディオもたじたじだ!!

七瀬ヘア:普通のおさげに見えるが実は高感度センサーなのだ。
数万キロ離れたところに隠れたクリントンだって感知できるぞ!
しかも繭に引っ張られてもサボテンが防いでくれる優れものだ!!

漢回路:七瀬の漢らしさを倍増する回路だ。
これを搭載する事によって漢らしさが数倍にアップしたぞ(当社比)
ちなみに心臓に毛の生えた形をしているらしいぞ。

七瀬レッグ:浩平に勝るとも劣らない脚力とビルをも蹴り飛ばす破壊力を備える脚だ。
膝には長時間立っていても疲れないようにロック機構が付いてるぞ。
既に浩平で試しているから安全性もバッチリだ。

備考:燃料はキムチラーメンだ。汁を一滴も残さず2杯はいけるぞっ!


七瀬改「………」
マッド瑞佳「……」
いいんちょ「どうだ、すごいだろ」
七瀬改「……言い残す事は?」
いいんちょ「うっ…。ま、まず感想を頂いた皆さんありがとうございました。
えっと……。皆様のSSの感想書きたかったんですが、続き物が多いですね。
続き物は最初から読まないと駄目なのでちょっと書けません」
七瀬改「甲斐性なし…」
いいちょ「ほっとけ。
で、他の方の感想ですが……」
マッド瑞佳「ブ〜〜〜。タイムオーバーだよっ」
いいんちょ「そんな…」
七瀬改「ま、ちゃんと感想書く甲斐性があるならあたしのSS書いたときにするのね」
いいんちょ「じゃあ次は第一話『怪人異次元イブクロン現わる』だな」
七瀬改「書くな〜〜〜〜〜」
ドゲシィィィィッ!!ヒュ〜〜〜ン。
きら〜〜〜ん☆
七瀬改&マッド瑞佳「きれいなお星様♪」

おしまい