温泉に行こう−2− 投稿者: KOH

 今日はみんなに会える。
 優しい瑞佳おねえちゃん。
 やっぱり優しい浩平おにいちゃん。
 それにみゅー。じゃない。七瀬おねえちゃん。
 温泉に行くんだよって言ってた。
 大きなお風呂。楽しみ。
 おかあさんと一緒に瑞佳おねえちゃんとの待ち合わせ場所に行く。
「ほえ〜」
 人が一杯。大きな駅。
 あ、瑞佳おねえちゃん。
 私に気付いた瑞佳おねえちゃんはぶんぶんと手を振ってくれた。
「繭ー、こっちだよー」
「みゅー!」
 瑞佳お姉ちゃんのところに走った。
 後ろからおかあさんが歩いてくる。
「長森さん、いつも繭がすいません」
「あ、いえ。そんな。私も繭と一緒だと楽しいですし」
 瑞佳おねえちゃんがおかあさんと楽しそうにお話ししている。
 そうしながら駅の中に入る切符を買って改札口のまえ。
「…それでは繭のことお願いします」
「はい。じゃ、行ってきます。ほら、繭、おかあさんに行ってきますしなきゃ」
「みゅ?行って、きます」

 駅のホーム。
 綺麗な電車が止まっている。
 電車のそばに浩平おにいちゃん。それから知らない人。それから。
「みゅー!」
「ぎゃー!痛い痛い痛い」
「みゅー!みゅー!みゅー!」
 みゅー!
 瑞佳おねえちゃんが、みゅー。じゃない。七瀬おねえちゃんの髪をわたしの手から取った。
「もう、繭。あんまり七瀬さんの髪、引っ張ったら駄目よ」
「あんまりじゃなくて絶対駄目!」
 七瀬おねえちゃん怒ってる…ううん。怒ったふり。七瀬おねえちゃんもとっても優しい。
「久しぶりだな、椎名」
「みゅー!」
 浩平おにいちゃん。
「へー、この娘が噂の繭ちゃんね。可愛ー」
 知らないおねえちゃん。でも優しい。頭を撫でてくれた。
「こら、柚木、椎名が嫌がってるぞ」
「そんな事ないよね」
「うん!」
 とっても気持ちいいよ。
「ほら」
 ぎゅって抱きしめてくれる。ちょっと苦しい。でもやっぱり気持ちいい。
「ふいふい」
 おねえちゃんにぎゅってする。柔らかくっていい匂い。
「…浩平、やきもちですか?」
「ああ、そうか!じゃあ、しいこさんがいーこいーこしたげる」
「いらんわ!」
 気持ちいいのに…。
「えーと、繭ちゃんよろしくね。私は詩子。柚木 詩子だよ」
 元気で優しいおねえちゃん。詩子おねえちゃん。
「…私は茜です」
 とっても綺麗で、ちょっと寂しそうなおねえちゃん。茜おねえちゃん。
『澪(みお)だよ』
 ?。澪おねえちゃん。
「みゅー?」
「ああ、澪はしゃべれないんだ。でも話す事が大好きだからああやってスケッチブックに字を書いて言葉を伝えるんだ」
「ほえ〜」
 元気で、喋れないおねえちゃん。澪おねえちゃん。
「私は、みさきだよ」
 白い杖持ってる…えーと、あれは。
「みさき先輩は目が見えないんだ」
 目の見えない綺麗なおねえちゃん。みさきおねえちゃん。
「私は深山よ」
「雪ちゃんは私のお友達なの」
 みさきおねえちゃんが教えてくれた。
 綺麗でちょっと怖そうなおねえちゃん。深山おねえちゃん。
「オレは覚えてるか?」
「女の子が大好きな住井おにいちゃん」
「お、おう。良く覚えててくれたな」
 あれ?住井おにいちゃん。お顔が引きつってるよ?
「さ、繭も自己紹介しなきゃ」
 瑞佳おねえちゃんがわたしの背中を押す。
「みゅー…椎名…繭」
 お辞儀をする。詩子おねえちゃんが私の頭を撫でてくれた。
「よろしくね。繭ちゃん」
「さ、そろそろ電車に乗るぞ」
 浩平おにいちゃんが荷物を持ってそう言った。
 あれ?みさきおねえちゃんが深山おねえちゃんに何か内緒話してる。
 そんで深山おねえちゃんがおでこ押さえてる。どうしたんだろ?

 電車に乗った。
 お菓子をみんなに貰って食べた。
 とってもおいしかった。
 ばば抜きをして遊んだ。
 とても楽しかった。
 でも、一番楽しかったのはみさきおねえちゃん。
 目が見えない綺麗で駅弁を十個も食べるおねえちゃん。

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ども、KOHです。
今回、繭が主人公(?)です。
サブタイトルを付けるなら『ピュアな瞳』〜その純粋な瞳は誰も誤魔化せない!〜
なんか、サスペンス劇場ののりですね(^_^)
恐らく一番素直に見たものを見たままに表現してくれるんじゃないかと思っての繭視点なんですが…結局、繭から見た各キャラの紹介になってしまいました…今更ですよねぇ
次回は詩子さん視点で進みます。


以下、感想です。

@いちごうさん
日常の中のにちじょう (その2)
 そ、それは聞いてはいけないお約束では(^_^;
 あう、繭ママの分は券がないです…

@だよだよ星人さん
「新世界だよもん教!」
 続かないんですか?
 緊迫感と言い、スピード感と言い、素晴らしい出来じゃないですか。うーん、続きが気になります…って続かないんですよね。残念(^_^)

@偽善者Zさん
浩平犯科帳 第一部 第五話
 七瀬の攻撃的な起こし方がなんとも…しかも空想じゃないし。
 しかし、詩子さんの運命や如何に?
吾が輩はハムスターである3
 そうなんですよね。ハムはすぐに脱走するんですよね。
 昔飼っていた白いのは朝になるとなぜか靴の中にいる事が多かったです。大きくなると鍵も開けるようになるし、困ったもんです(^_^;
 しかし、大きな……やっぱりあれですか?

@ここにあるよ?さん
七瀬の秘密…完全版
 …おかわり禁止?
 んーと、じゃあ、大盛りの大盛りの大盛り。も一つ大盛り、そんでもって大盛り…
 駄目?(^_^)