自虐的劇場〜瑞佳の場合2 投稿者: OVER−Q
 瑞佳「私だってちゃんと歌えるもん」
 瑞佳を「童謡しか歌えない」と、レパートリーの低さをバカにしたのがまずかったのか、瑞佳のおかげで住井達まで誘ってカラオケボックスに繰り出すハメになってしまった。
 悠矢「ホントかよって、住井、お前つめろよ。狭いって」
 瑞佳「悠矢に貸してもらった曲、一生懸命覚えたんだよ」
 住井「さすが長森さん。いやーっ。楽しみだなぁ。無茶言うなよ」
 悠矢「一緒に赤トンボ唱うのか?」
 住井「バカ。あれはあれでいいんだよ。童心に帰るっていうの、あれ、大事だぞ?」
 悠矢「お前は年中無休で童心だろう」
 俺達のことなんかお構いなしで瑞佳のリクエストした曲のイントロが始まった。
 
 瑞佳「かわいい顔してあの子、わりと独善者ねと言われ続けたあの頃、生きるのが辛かった♪」
 
 住井「…これ、お前が創ったパロだろ?例のあのアニメの」
 悠矢「あれ、マトモに唱う奴がいるとは思わなかった」
 俺と住井は呆然として聴くしかなかったが、
 
 七瀬「うまいうまい!」
 みさき「ホント。上手よ」
 茜「たいしたものです」

 と、女性陣には大好評らしい。

 瑞佳も、まんざらではない。という顔で照れている。
 俺達も、七瀬以外、みんな聞き役に徹してしまう。こと、茜はその最たるもので、
 
 茜「嫌です」
 
 の一言を突破できる者はいなかった。
 自然、男共を除けば、瑞佳がマイクを握ることが多くなる。
 そこで気付いたのは、瑞佳が童謡からアニソンへと進歩したということ、そしてもう一つ、その歌をある意味で実にリアルに歌えるということだ。
 だから、
 
 医者「何か、強烈なショックを受けたようです」
 髭 「はあ。ショック…ですか」
 医者「まぁ。二三日もすれば、全員回復するでしょう」
 髭「だが、茜君、なぜ君だけ大丈夫だったんだ?」
 茜「…私には、これがありますから」
 茜はじっと髭を見つめると、一言
 
 茜「嫌です」
 
 翌日、茜の「絶対拒否障壁」の犠牲として散華した髭の葬式がたったというが、俺達は幸か不幸か参加できなかった。
 
 瑞佳「失礼だよ。人が一生懸命、気持ちよく唱ってるのに、気絶するんだもん」
 あの時、カラオケボックスにいた客全員が病院にかつぎ込まれるという珍事は、新聞にも載ったから記憶に新しいと思う。
 俺も七瀬も、みさき先輩も、みんな病院送り。瑞佳と茜は、何故か無事だった。
 
 悠矢「住井は?」
 瑞佳「住井君が一番失礼だもん。発狂して精神病院送りだもん」
 悠矢「…無理もない」
 …だめだ。まだ耳そこで響くあの瑞佳のなりきりの一曲。
 あの地獄のボックスから生きて生還できただけでもメッケモンとしよう。
 俺はそう思い、病院のベットに横たわったまま、目を閉じた。
 暗闇の中、耳の奥から聞こえてくる一曲。
 それは、調子に乗りすぎた瑞佳が役になりきって唱った曲
 
 瑞佳「俺はジャイ○ン、ガキ大将♪」
 

 あとがきという名のお詫び
 またもやオチのない…というか、バカげたものを書いてしまいました。でも、瑞佳とか、この作品のキャラって、声優は誰がしっくり来るかな。とかって、考えたことありません?僕は声優って、あくまり知らないんですけど。
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