「ほらぁ!とっとと起きてよ!」
今日は瑞佳に起こされた。…いや。今日も、か。
「何だ瑞佳か…」
「何だとは何よ!それがいつもいつも起こしに来てあげてる幼なじみに対する感謝の言葉ァ!?」うるさい奴だ。
「ああ。ありがと。だからもう少し、寝かせて…」
俺はそういい残して布団にくるまった。この快感を瑞佳風情に邪魔されたくはない。
「なに甘えてんの!ほらっ!さっさと起きなさいよ!」
瑞佳が吠えた瞬間、身体が軽く、そして、メチャ寒くなる。
まぁた。あいつ、人の布団をはぎやがったな。
沈黙
……おや?
沈黙
……へんだな?いつもなら、もう何かあっていいはずだが。
ここで黙られては反応のしようがないぞ。
「にゃぁぁぁぁぁっ!」
瑞佳の絶叫が部屋、いや、家中にこだまする。…にしても、あいつ、昨日、猫でも食ったのか?猫好きが高じて思わず食べちゃったとか。んで、とりつかれた?
んなアホな。
「なんだよ瑞佳、どうしたんだ?」
鬱陶しいけど仕方ない。ベッドから起きあがる。
「やっ。やだぁ!」
何故か知らないが、瑞佳はベッドの反対側の壁にへばりつくようにしておびえていた。どうやら原因は俺らしい。
「何がだよ」
「バカぁ!こっち来ないでぇ!」ほとんどパニック状態の瑞佳。見てておもしろいけど。
「俺のこと、見ず知らずの変態とでもいうつもりか?どうしたんだよ!」
「ちっ。違うよぉ…」真っ赤になった顔を覆う両手の指の間から言葉が漏れる。
「なっ。何で悠矢、ハダカなんだよぉ…」
「へっ?」
視線をしたにずらせてみると、そこには元気な○○×が…。
おや?
「みっ。瑞佳、お前…」
「ちっ。違うよぉ!」
瑞佳は涙声で何かを訴えようとするが、それは言葉になっていなかった。
「そっ。そうじゃなくてなぁ…あっ」
そうか。思い出したぞ。昨日の晩、瑞佳を驚かせてやろうって、素っ裸で寝たんだった。
これはまずい。このままでは瑞佳に「ヘンタイ星人」の称号をもらってしまう。
「いっ。いや瑞佳、これはだな」
何とか説明しようと、俺が瑞佳のそばに一歩を踏み出した瞬間、
「来るなっていってんだよぉ!」
半泣きになった瑞佳は床に散乱している雑誌を手当たり次第に投げつけてきた。
そして、そのうちの一冊(しかもカド)が、俺の元気な○○×を直撃して…。
俺の意識はブラックアウトした。
「もうっ!悠矢がバカなことするからだよ!」
学校までの道のり、俺から事情を知らされた瑞佳は、怒りか恥ずかしさか(両方だろう)わからないが、顔を真っ赤にして怒鳴りっぱなしだった。
「だからってお前…」
俺は内股前屈み気味に抗議した。ううっ。いい加減、歩きにくいぞ。このカッコ。
「はやくしないと遅刻だよ。悠矢のせいだもん!」
「俺か?俺が悪いのか?」
俺が○○×に一撃喰らってノびたのは、どう考えても瑞佳のせいじゃないか。
「朝っぱらからあんなフケツなもの見せられればね。誰だって不機嫌になるよ」
「あんなに恥ずかしがっていたのに、しっかり見てたのか?」
「見えちゃったんだもん!」
「見たんだろ?」
「今日の朝御飯、ソーセージだったんだよぉ…」
おえーっという顔で抗議する瑞佳。
「ソーセージとは失礼な。せめてフランクフルトにしろ。ガーリック並なんだぞ」
「おなじだよ」
「大きさが違う大きさが!」
「しらないよそんなこと!」
「昔一緒に風呂に入っていた頃と格段に違ったろうが!」
「見たことないよ!」
「ウソつけ。『私もこれほしい!』っていってたの、あれ、瑞佳じゃないか」
「いってないもん!」
「それで俺が『ダメだ』っていったらさ。瑞佳、いきなり噛みついたんだ。証拠に歯形がまだ残っているんだからな」
「うそうそうそうそぉ!」真っ赤になって絶叫する瑞佳。
「うそだよぉ!」
「いーや。ホントだ。さぁ。学校に着いたぞ」
「悠矢ぁ!ウソだといってぇ!」
俺がこんなバカを後悔したのは、昼のことだった。
「悠矢君、食べないの?」
学食で相変わらずの食べっぷりを披露するみさき先輩が不思議そうに小首を傾げた。
「いっ。いや…」
冷や汗とも脂汗ともわからない汗を流して、テーブルの上の料理とにらめっこする俺。
「もらっちゃうよ?」
「いや…」だめだ。朝の会話が頭の中でライダンス踊ってる。
今日の日替わりメニュー
『ソーセージのトマト煮込み』
あーいうことは、いうもんじゃない。
あとがきという名のお詫び
ごめんなさい。初めてSSを書いたOVER−Qという粗忽者です。オチもストーリーもへったくれもない作品、周囲の方の面汚し。ああ。なんて自虐的な僕(笑)
もし目にされた気の毒な方は速やかに周囲のハイレベル作品に逃げてください。このSSは劇薬です(笑)
僕は瑞佳が一番のお気に入りなので、どうにも瑞佳でSSを作ってみたかったんです。また作るかもしれませんが、その時はごめんなさい。