「想い出のパズル」 投稿者: OZ【DTK会長】
あの日、私と浩平の想い出は風に飛ばされたパズルのように
バラバラに飛び散った・・・。


・・・そして、
私は季節を重ねる度に、パズルを元の形に戻してゆく・・・。

「浩平、早くしないと学校遅刻しちゃうよ!!」
・・・ありふれた日常。

「ねっ? 一緒に屋上でご飯食べよ!?」
・・・何でもなかった時間。

「だめだよ、七瀬さんいじめたりしちゃ。」
・・・だけど・・・

「あーっ!! 今私のクレープ食べたでしょ!?」
・・・かけがえのなかった・・・

「繭っ。ちゃんと学校に行くんだよ?」
・・・私と、

「ねっ? ハァーってしてよ!?」
・・・浩平との

「私も浩平じゃなきゃだめなんだよ・・・」
・・・想い出・・・。


・・でも、
パズルは完成しない。あと1ピースが見つからない・・・。


季節は巡り、やがて春が訪れた・・。

卒業を控えた私たちの教室。穏やかな陽気に包まれた放課後。
日誌にコメントを書き込む私。私の机の前に現れた・・彼・・・。

「・・こほん。」

「!?」

やっと見つかった・・・。最後の1ピース。
ずっと浩平の事だけを想い続けていた、私の1年間。
私ひとりだけの、私と浩平との想い出・・・。

そして、完成された想い出のパズルはセピア色に色を変えた・・・。

・・そう、

私は、ゆっくりと流れ始めた時間の中で、
浩平と二人、虹色に輝く新しいパズルを探してゆくのだ・・・。

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【あとがき】
瑞佳のSSが書きたくて、こういったネタで書いてしまいました。
うわぁー。何か、作者を反映して、思いっきり散文的。(^^;;

1年の歳月、その辛い想い出すらも瑞佳にとっては、彼との
想い出に昇華させてしまいそうな、そんなイメージの中から
生み出したSSです。