澪の秘密 投稿者: GOMIMUSI
「澪ちゃんて、頭いいんだってね」
 突然、みさき先輩からそんな話を振られた。
「そうなのか?」
「うん。記憶力が異常にいいんだって」
「たとえば?」
「アメリカの州の名前、全部書けるって」
「……」
 そういえば、言おうとしてたな。冗談のつもりだったのだが。

「分かった」
 下校途中、突然声をあげたオレを、瑞佳はびっくりしたように振り返った。
「何が?」
「澪の役割だ」
「澪ちゃん?」
「ああ。このゲームに登場するキャラクターを見ていたら分かると思うが、決定的に欠けているものがある。それはなんだ?」
「…言ってることが意味不明だよ」
「つまりだ、頭のいい優等生タイプの女の子が存在しない」
 そういえば眼鏡っ娘もいないな。というか、このメーカーのゲームにそんなキャラが登場したことがなかった。
「…それで?」
「たぶん、最初は澪はそういう路線で売り出すつもりだったのだ。だが、口がきけないという因子が加わったために、必要以上にインパクトのある存在となったので、その企画が流れたのだな」
 はあっ…。瑞佳はため息をついた。
「そんなの、ゲームに出演しているキャラが考えることじゃないよ」
「…やっぱりおまえ、現実的だよな」
「そうかな?」
 しかし、後にオレは、この考えが間違っていたことを知る。

 その日、オレと澪は演劇部の練習のため、学食にいた。
 シナリオを夢中で読んでいる澪を見ているうちに、ふといたずら心が頭をもたげてきた。
 …あのリボンを引っ張ってみたい。
 誘惑に抗しきれず、オレは手を伸ばした。「……!」
 澪はびっくりして、ぱっと俺から離れようとした。弾みでリボンが勢いよくほどかれる。
 瞬間、かあっと澪の頬が赤く染まった。ぷしゅーーーっ、と蒸気のもれるような音があたりに響く。え?
 ぱたん。澪は気を失って倒れた。
「お、おい、嘘だろ、これくらいで…」
 慌てて澪を抱き起こすと、くてっとなった澪の頭が横を向いて、後頭部が見えた。
 …なんだ、これは。ちょうど、増設メモリボードをむき出しにしたような……。
「って、おまえまさか、マ○チの同類…?」
 そうか、そういうことだったのか。道理でリボンをさわられるのを嫌がるわけだ。

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 絶対、澪は頭がいいと思うんですけど。主人公との初対面の日、あれだけ画数の多い自分の名前を漢字で書いていたし。
 口がきけないのも、たぶんそっちにメモリをまわすとオーバーフローを起こすから、とか。…そんなわけねえって。
あと、感想くれた方々、ありがとうございます。

>さすらいの虚無僧E様
本編、待ってます。

>雫様
澪に、なんてことを…。
「…殺します」

>アルル様
なんといったらいいのか…(汗)。押し倒されたちび瑞佳の「?」がいい味出してますね。しかも、さくらですか。

>WIL YOU様
白い境界線のほう、純一と奈美がちゃんとくっついてよかった。でも、好みとしては潤子のほうかな。恋人にはしたくないが。

>11番目の猫様
 みさき先輩の心が、痛すぎます。すべては幻想だったのでしょうか。

書き切れませんが、とにかくみんないいです。