戦う乙女たち!! 〜 2 〜 投稿者: いちごう
 ONE女子プロレス‥‥‥そこでは日本の選りすぐりのレスラーたちが、日夜熱い戦いを
繰り広げていた。

 そして今日、ここ東京ドームでは、多団体による熱い対抗戦が行われようとしていた!!

 『女子プロレスファンのみなさま、お待たせしました! いよいよ待ちに待った東京ドームでの
多団体対抗試合のメインイベントが、今まさに始まろうとしていますっ!! え〜、実況はオレ、
住井護。そして解説はお馴染み、折原浩平さん。そしてスペシャルゲスト解説もお馴染み、
元WWWWWF王者の柚木詩子さんでお伝えしていきたいと思います!』
 「だからWが一つ多いんだってばっ!」
 いいかげんにしろという表情を浮かべつつ柚木はつっこむ。
 『まあまあ押さえて柚木さん。 ‥‥‥メインイベントのカードですが、まずONEからは里村 茜、
川名みさき、そして現WWWWFチャンピオンのゴンザレス七瀬(旧アニマル七瀬)が選抜。そして
MOON.からは巳間晴香、名倉由依、鹿沼葉子が選抜されています。そして天沢選手はセコンド
についてます!』
 「MOON.の団体名の最後のピリオド、アレって一体何なのかしらね?」
 「‥‥‥さあ?」
 『‥‥‥さあ?』
 柚木の強烈なつっこみには、住井も折原も答える術がなかった‥‥‥。

 各選手、広瀬レフェリーのボディーチェックを終え、いったんコーナーに下がり先発の打ち合わせ
をする。

 「里村さん! あんたいつもタッチしないから、今日は先発よっ!!」
 「‥‥‥わかりました、ゴンザレスさん」
 「七瀬って呼んでっ!」
 ゴンザレスは凄まじい形相で里村に食ってかかった。
 「あんたもよっ! ナレーションっ!!」
 す、すいませんっ!七瀬さん(汗)

 『さあ、すでにMOON.チームの方は鹿沼選手がリングに出て待機しています! そしてONE
チームの方からも里村選手が出てきましたっ!』

 「ファイトッ!」
 カァーーーーーーーーーーーーーン!!
 広瀬レフェリーの試合開始の合図と同時に、ゴングの音が軽快に鳴り響いた。

 「‥‥‥」
 「‥‥‥」
 両者は対峙したまま動かない。
 「‥‥‥」
 「‥‥‥」
 対峙してるというよりは、ただ立っているといった感じだ。
 「ファイトッ!」
 広瀬レフェリーがたまらず戦うよう両選手を促す。
 「‥‥‥」
 「‥‥‥」
 「ファイトッ!」
 一向に動く気配はない‥‥‥。
 「‥‥‥」
 「‥‥‥」
 「ファイトッ!」
 広瀬レフェリーが盛んに試合を促す。その表情はどことなく疲れている感じを受ける。
 「‥‥‥」
 「‥‥‥」
 ‥‥‥動かない。
 「里村さん、ちょっと‥‥‥」
 「鹿沼さん、来て!」
 両チームが、里村と鹿沼をそれぞれコーナーに呼び戻した。両チームのコーナーにいた選手も、
どことなく疲れている表情をしていた。

 「茜ちゃんタッチ、わたしがでるよ」
 ONEからは川名。
 「葉子さんっ、タッチですっ!わたしがでますぅ〜」
 MOON.からは名倉がそれぞれ交代してきた。

 「あ、よろしくお願いしますっ! わたし名倉由依っていいますっ!」
 名倉がぺこっと頭を下げる。
 「よろしくね由依ちゃん。わたしは川名みさき、みさきでいいよ」
 川名が微笑んで返す。
 「あのっ、みさきさんってお強いんですかっ?」
 名倉が手を胸の前で組んで尋ねた。
 「う〜ん、強くないんじゃないかな、‥‥‥何となくだけどね」
 「ファイトッ!!」
 悠長に会話を楽しんでいる二人に対し、いいかげん我慢できなくなった広瀬レフェリーが試合を
促した。
 「それを聞いて安心しました。それじゃあ遠慮なくいきますよぉ〜〜〜〜っ!」
 「う〜ん、なんだかよく分からないけど嫌だって言っておくよ」
 いままさに名倉が躍り出たその時!‥‥‥
  
 ピピピピッ! ピピピピッ! ピピピピッ! ピピピピッ!
 突然リング内に電子音が鳴り響いた。
 名倉選手が一瞬ビクッとなり立ち止まる。そして懐から携帯電話を取り出した。

 「ちょっとレフェリー!‥‥‥あれ凶器じゃないの?」
 「七瀬さん、ナイスボケ!!」
 七瀬の抗議に対し、広瀬レフェリーが返す。
 「ボケちゃうわっ!!」

 名倉が携帯電話の通話ボタンを押す。
 「はい、もしもし? ‥‥‥うん、‥‥‥うん、もう乗り込んだよ、‥‥‥」
 「う〜、寂しいよ〜」
 川名が少し拗ねた顔でつぶやいた。
 「‥‥‥うん、‥‥‥うん、あ、うん、大丈夫だよ、絶対に勝って帰るからっ! うん、わかった、
じゃあもう切るね!」
 名倉は再び携帯電話の通話ボタンを押し、懐にそれをしまった。
 「お話しは終わったのかしら?」
 いつのまにか川名とタッチしたゴンザレス‥‥‥いや、七瀬が仁王立ちで待ち構えていた。
 「えっ?あのっ、あのっ‥‥‥」
 名倉はきびすを返して自軍コーナーへ逃げ込み、すかさず巳間とタッチした。

 「ふふふ、ゴンザレスさんとは一度相見えたかったのよ」
 「ゴンザレスいうなっ!」
 七瀬の顔は半分泣きそうな顔にになっている。
 「いくわよっ!ゴンザレスさんっ!!」
 「ちょっと待ったあああぁぁぁーーーーーっ!!」
 巳間が踊りかかろうとした瞬間、七瀬がいきなり片手を挙げてストップをかけた。
 「な、何よ?突然」
 「‥‥‥あんた、臭うわよ」
 七瀬のその言葉を聞いた瞬間、巳間の顔が怒りで引きつった。
 「も、もう臭くないわよっ!」
 巳間は額に血管を浮かべながら、ぎこちない笑みを七瀬に向けた。明らかに怒りを抑えている
感じだ。
 「完璧な乙女を目指すあたしに臭いが移ったら大変だわっ!」
 (作者: 完璧な乙女を目指すならプロレスやるなっ!!(笑))
 七瀬はロープ際まで身を引いた。
 「だからもう臭くないんだって!」
 巳間は明らかに怒りを現し言い放つと、七瀬にドカドカと近づいていった。
 「い、いやあぁぁーーーーーっ! 来ないでぇぇぇーーーーっ!!」

 七瀬と巳間は、ちびくろサンボよろしくリング内をぐるぐると駆け回った。
 「う〜ん、楽しそうだね。何となくだけどね」
 川名は羨ましそうな面持ちでつぶやいた。

 ‥‥‥60分フルタイム引き分け。


                                 お し ま い

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 はは、プロレス第2弾です。
 もう続きはないと思われます‥‥‥。 たぶん。
 今回は浩平なんにもしゃべってないです。
 葉子さんもしゃべってないです。
 郁未に至っては行動描写すらないです(笑)
 あと、ものすごい事に、今回の試合はお互いの選手が指一本たりとも触れ合っていません(笑)
 いやぁ、すごい試合です(笑)

 次回こそはシリアスをやると思います(苦笑)
 
 実はあとひとつ秘密の企画があるんですが‥‥‥。 ふふふ。
 実現するかはわかりませんけど‥‥‥。

 感想はまたまとめて書きます!!

 ではまた〜♪