「日常ものがたり」 第1話「暮らしイキイキ!」 投稿者: 渡部いちごう
 「ほら、起きなさいよーっ」
 うーむ・・・そうか、あさか・・・。だからまぶしかったのか・・・。

   1. 素直に起きる
   2. ねばる

 て、なんで選択肢が出てくるんだ? ・・・・・しょうがねえ、とりあえず2番だ!
本来なら眠ってはいけない、そのぎりぎりのところでうつらうつらと浅い眠りに
身を置くのが、最も意識できる気持ちいい眠りというものではないのだろうか、
なんてことを思う。 ぐーっ・・・
 ガバァッ!今度は、吸い込まれるような風圧とともに、体が軽くなる。軽い、
というか、寒い・・・。 というか・・・布団がない・・・。
 「ほらぁーっ」

   1. いい加減起きる
   2. まだまだねばる

 ・・・・・・・・またかよ! いい加減にしろよな! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・わかったよ、2番、2番。
 「あ、そう。ふ〜ん、・・・わかった」
 と、その直後オレの部屋に、ウィーーーーーン・・・!! ギ・・・ギギギギギギギギ
ギィーーーッ!!と、金ノコやら、木槌やらの、けたたましい音が鳴り響いた。
 「ぎゃ、ぎゃあああーーーーーーーーーーーっ!!」
 「よっし、完成〜」
 ・・・・・・・・・・・・あっという間の出来事だった。オレの足にはものの見事に
膝ロックシステムが追加されている。
 「ちょっとまて長森! このイベントは8日先の事だろ! しかもあれはオレの
想像じゃないかっ!」
 「もぉーっ、そんな細かい事はいいから、早くしないと遅刻しちゃうよーっ」
 「細かい事かーーっ? これが細かい事かーーっ?」
 て、いつの間にか外に連れ出されてるしっ! いいのか?これでいいのかーーーっ!?
 「いいんじゃないの?だって今日は長〜〜い全校朝礼があるんだよ。足がロック
できるから、貧血が起きてもだいじょうぶだよ」
 「あのな〜、上半身がバランス崩せば、足だけロックされてても倒れちまうだろ!」
 「・・・・・・・・そっか、あはは」
 「あははじゃ、ねーーーーーーーーっ!!」
 ・・・・・・・て、いつの間にか昼休みじゃないか! 全校朝礼は? なんか時間
の進むスピードが速くないか? わかったよ、もう何が起こっても驚かないよ。現に
今この教室に椎名がいるしな・・・・・。しまいにはオレがこの世界から消えてなくなる、
なんて事が起こるんじゃないか? ・・・・・な〜んてな。
 「よーし、椎名」
 「みゅ?」
 「ちゃんと一人で学食行けるよな?」
 「うん♪」
 「よし! じゃあ・・・・」

   1. ハンバーガーは3つまでにしておけよ
   2. プレステ1つ買ってこい!

 ・・・・・・・でたよ、選択肢・・・・・・。これは当然1番だろう。2番なんか選んだら
某葉っぱゲーになっちまうからな。
 「じゃあ椎名、ついでにプレステ1つ買ってきてくれ!」
 て、あわわわわわわわわわわわっ!あわ、あわわ、あわ!
 「うん♪」
 元気よく返事をした椎名は、そのままパタパタと慌ただしく廊下に飛び出していった。
 「ちょっと浩平!なにを椎名に頼んでるのよーっ、あれじゃ、また泣いちゃうと思う
よー」
 「いや、こ、これは・・・違うんだ!」
 「なに訳の分からないリアクションしてんのよ?」
 七瀬までつっこんできた。ええい、こうなったら開き直るしかない!
 「こ、これはだなっ、つ、つまり、大人に一歩近づくための修行だ! 試練だ!」
 「わたしはどうなっても知らないわよ、まぁ、どっちみち関係ないケド」
 「ふん、どーとでもなるわい!」
 というみんなの心配をよそに、椎名はすぐに戻ってきた。小さい青い箱の上に
ハンバーガーを6個とジュースをのせて、こちらにやって来た。
 「なんだよ、また6個も買ってきたのか、どうせ2つと一口しか食べられないくせに」
 「食べれるもん」
 ふと、オレは、椎名の持っている青い箱に目をやり、仰天した!!
 「ぶはっ!! お、・・・・・し、し、椎名っ! それっ、プレ、プレ、プレッ、」
 「はえ?」
 「プレステぇーーーっ!」
 「うん♪」
 「しかも、開発用の青バージョンだぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」
 「みゅ♪」
                          お し ま い

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 ※一度削除してからの再掲載で、みなさまにご迷惑をおかけして大変申し訳ないです。
  「いえっ、ですからぜんぜん迷惑じゃありませんから!」って、瑞佳がフォローして
  くれないかなぁ・・・。 というわけで、あとがきは以前収録時のまま掲載して
  おきます。
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 え〜、このコーナーではお初になります渡部いちごうです。よろしくお願いします。
 SSはちょくちょく読ませていただいているのですが、皆さんの作品とっても
パワフルで、しかも本番に耐えうるようなものばかり! 完全に脱帽です。
 てな事で、ぼくは自分なりの持ち味をだせるものをと思い、精神世界のテーマを
一切排除した、お気楽極楽ヘンテコお間抜けなものを書いてみました。
 繭のシナリオをプレイしている最中から、このネタが頭を過ぎっていたもので・・・・・。
無事デビューの運びとなりました。
 が、これはちょっとふざけ過ぎかなぁ?と、自分では思っていてるのですが・・・・・。
「何ふざけたの書いてんだーーーっ!!」と思った方は、ばしばしと遠慮なく叱り
つけてください。 どきどきっ
 平穏無事にすむのなら、また何か書こうと思いますので。   それではっ!