2つの手 投稿者: よねぴん
2つの手


ねぇ、浩平君。憶えてる?あの日のことを・・・
私を街に連れて行ってくれたあの日のこと・・・
私はつい不安になって聞いちゃったよね。

私と一緒で・・楽しいかな?って・・・

あなたの自由を束縛しているような気がしてた。
あなたの隣にいるのが私でいいのか疑問に思ってたの。

あなたは私の頬を叩いたんだよ。

「そんなこと言うなよ!」って言ってね。

その時はっきりとわかったの。

あぁ、この人は本気で怒っている。
私を必要としてくれているんだ。
そして、この頬の痛み以上の辛さを感じているんだ・・って。

涙が溢れてきて、ただ謝ることしかできなかった。
謝り続けてる私の髪を優しく撫でて、言ってくれたね。

「なぁ、先輩。俺はこう思ってるんだ。
 あの事故がなければ、先輩に出会うこともなかった。
 先輩があの夕日のあたる屋上にいることもなかったんじゃないかってね。」

私はさっきとは別の涙が溢れて止まらなかったの。

そんな私の手をぎゅっと握ってくれた。
最初はびっくりしたけど・・・とっても温かくて、もう離したくないって思った。
そうしたら、あなたは

「この手は離さないからさ!」・・・だって。
 
心を見透かされたみたいだった。
嬉しさと恥ずかしさが一緒になって、不安がどこかへ行っちゃったよ。


不思議だね・・あなたの手は。

私の不安や恐怖を消してくれる。
心まで届く温もりを与えてくれる。

魔法の手みたいだね・・・


もう離さないでね?


もう離さないから・・・


ぎゅっと握っていてね?


ぎゅっと握り返すから・・・



いつまでも・・・ね・・・・








−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

前回のものに感想いただけて、非常に嬉しく思います。
感想を書く時間が無かったもので、後ほど投稿しようと思います。
感想を下さった方々、ありがとうございました。
今回はこれにて・・・。