伝えたいこと epilogue 投稿者: 吉田樹
 おだやかに流れる時間。
 努力せずに与えられる幸せ。自分が幸せの中にいるって事も気付かないような、幸せ。
 それが壊れてしまう時、オレはどうする事も出来ないんだ。多分、これからもきっと。そんな時は泣いてるだけなんだろう。
 でも、
 それが永遠に続くものじゃ無くて。失ってしまうかもしれないものだから、だからこそ。全ての瞬間を大切に生きよう。一生懸命に生きよう、って。そう思えるんだ。
 それに気付かせてくれたのは、多分…
 目の前で、特大のパフェを一生懸命食べているこいつだな。何事にも一生懸命で…ただ、パフェは逃げるわけじゃないんだから。もう少し落ち着いて食え、とは思うけどな。
「なあ、澪」
 自分の顔より大きなパフェと格闘していた澪が、口の周りにクリームをつけたまま顔を上げる。
「高校で初めて会った時、すぐにオレだって気付いたのか?」
 慌ててスケッチブックを開こうとする澪に、身振りを加えながらオレは苦笑して言った。
「いや、食ってからでいいぞ」
 消えるなら消えるで、それはそれでいいと。未練は無いと、そう思って行動していたはずだった。先輩の気持ち、長森の気持ち。気付いていながら踏み躙ってきたのは。消えてしまうオレは、その気持ちに応えてやれないから。
 それでも澪を見守る事にしたのは…
「だからって、慌てて食うな」
 きーん、ときたらしい。顔をしかめて頭を抑える澪に、苦笑しながらオレは言っていた。本当、澪の事はいつも見ていないと心配だよ。って、な。まあ、何より見てて楽しいからだが。
『あのね』
 結局、食べるのを後回しにしたらしい。スケッチブック数枚に何かを書いた澪が、ちょっと照れながら続けて開く。
『高校を選んだ理由なの』
 は?
 今の二つに脈絡が見つからないのは…もしかしてオレだけか? あ、いや。ページを飛ばしていたらしい。それに気付いた澪が、間のページを開こうとして。改めて見て、顔を真っ赤にしてやめる。それから、別のページにこう書いて開いた。
『内緒なの』
 ま、いいけどな。
 オレのそんな態度がお気に召さなかったのか、澪はかなり迷った挙句。飛ばした中の、一つのページを開いた。
『ありがとう』
 春の日差しが差し込んでくる喫茶店の片隅で、澪の笑顔を見ながら。オレはちょっと苦笑していた。また先を越されちまって、格好悪いな、って。
 今日。
 由起子さんは今年は休みが取れたそうで、今頃は積もる話でもしてるんだろう。オレも一緒に行きたいと言ったのだが、由起子さんは澪を持ち出して笑っていた。「私も結構、嫉妬深い性格だったのよ」などと言って。
 鼻の頭にクリームをつけた澪にハンカチを渡してやると、恥じらいがちに受け取って拭う。そして。またパフェを食べ始める澪の鼻の頭に、すぐにクリームがついた。
 …ったく。

fin

参考文献:よもすえさん

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みさお「ってわけでしたっ」
 はい(^^; しっかし…本当、どうなんだろう(^^; そのうち、よもすえさんとこにUPされる予定の「参考文献よもすえ」を読んだ人が。この話、それを参考にして書いたと言っても…信じてくれるかどうか(^^;
みさお「長々とおつきあい下さり、誠にありがとうございますっ」
 感想を頂いた皆様、読んで下さった皆さんありがとうございます。結局…意味不明になってます(^^; 遊び過ぎたなあ(^^;
 神凪 了さんはじめまして〜♪ 他の新しい方への挨拶? 済んでます♪(謎)
 ではでは

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