【114】 SWEET LIFE VOL.08
 投稿者: 丸作 <dtsunoda@apricot.ocn.ne.jp> ( 男 ) 2000/4/9(日)22:43
ONE 輝く季節へ ショートストーリー

SWEET LIFE


第8話「今夜はフィーバーナイト(後編)」



<あらすじ>

 由起子さんが残した置手紙…それが波乱を呼んだ(汗)
 地下室の闇の中、またまた女の戦いが勃発する!!
 戦いが一応の終息を見せたのも束の間、目の前には天蓋付き特大ベッドが…
浩平「俺の平和な日常を返せぇぇぇっ!!」


 折原邸地下室…
 俺達は目の前の巨大ベッドを前に、ただ呆然と立ち尽くしていた。
 いや…もうこれは、ベッドという概念を飛び越えているのかもしれない…
繭「みゅ〜っ♪」
 ぼふっ!!
 早速繭が、はしゃぎながらベッドに飛びこんだ。
 結構柔らかいベッドらしく、繭の体が白い布団の海に沈む。
七瀬「で…」
 唐突に七瀬が口を開く。
 そして、再び抗争が再燃しそうな一言をのたまってくれた。
七瀬「折原の側には誰と誰が寝るの?」

 ドギャァァァァァァァンッ!!

 6人のバックに稲妻が見えたような気がした。
 顔が一様に劇画調に変わる。まるで○ョ○ョや北○の拳のように…
 そして、バトル再開と思いきや、何故かみんなは一言も発しない。
 …みんなの目が異様な光を放っていることは言うまでもないが。
長森(浩平の隣はわたしだもん!!そして、みんなが寝てる間に…<以下自主規制>)
茜(あっ…浩平、大胆です…)
七瀬(夜這いは日本の文化よね…)
みさき(浩平くんと夜食だよ〜♪そして…)
繭(ふみゅ〜…がんばるもぅん!!)
澪(折原先輩〜!!やってやるの!!)
 …何となく、全員の考えていることが分かってしまった。
 6人の周りに怪しげなオーラが巻き起こる。
 バッ!!
 その時、一斉に6人が振りかえった。
一同『「「「「「じゃーんけーん!!」」」」」』
 …ジャンケンか。
一同『「「「「「ポンっ!!」」」」」なの』
 6つの手が、空手家の正拳を思わせるスピードで繰り出される!!
 たまたま近くを飛んでいた蛾が、その風圧でバラバラに引き裂かれた。
 暫くの沈黙…
 6つの手のうち、グーが4つ…パーが2つ…
 そのパーの主は…
七瀬「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
みさき「え?どうなったの?わかんないよ〜」
 勝利の雄叫びを上げる七瀬と、目が見えないので、自分が勝ったのに気づかない先輩。
 この2人が勝利者…それ以外は敗者というわけだ。
長森「うう…無念だよ〜…」
茜「私はあきらめません…」
繭「みゅ〜…」
澪『まだまだ好機はあるの』
 しかし敗者達は落ち込むでもなく、更に闘志を燃え上がらせている。
 俺…明日の朝日を拝むことができるんだろうか?
 最終的にみんなの配置は、右側は俺に近い順から七瀬、繭、長森、
 左側はみさき先輩、茜、澪の順になった。

浩平「じ…じゃあ、お休み…」
 震える声で言いながら、俺はリモコンで照明を消した。
 再び闇が部屋を支配すると共に、奇妙なプレッシャーもまた部屋を支配する。
 ここは寝ちまった方が賢明だ…
 ちょっと惜しいような気がしないでもないが、流石に命が懸かっているからな。
 と、そこに…
七瀬「折原っ…(はぁと」
 ぴとっ
 右側の七瀬が珍しく甘えた声で囁き、俺の腕に抱きついてきた。
 さっき風呂に入ったせいか、体中が熱くてたまらない。
 シャンプーのいい匂いが鼻腔をくすぐり、嫌が応にも心臓の心拍数を跳ね上がらせる。
繭「みゅっ!!(怒)」
 がしっ
七瀬「ぐぁっ…」
 七瀬は更に俺に圧し掛かろうとしたが、隣の繭に感づかれてお下げを引っ張られたようだ。
 ふ〜
浩平「…おぉぅっ!?」
 その時、いきなり左耳をくすぐる風の流れ…
 不覚にもあられもない声を上げてしまった。
 そして、今度は左腕に柔らかい感触…
みさき「浩平くん…大好きだよっ…」
 耳元でみさき先輩が囁く。
 いつものみさき先輩とは違う、どこか艶のある声だ。
 流石最年長…威力が違うぜ…
 と、今度は…
茜「先輩…ワッフルいかがですか?」
 そう言って、茜が布団の中で何やらもぞもぞやりだした。
 暫くすると、部屋に甘い匂いが漂ってきた。
 …ホントに出したのか!?
みさき「わ〜い♪ありがと〜♪」
 色気より食い気…先輩は嬉しそうな声で礼を言って、茜からワッフルを受け取った。
 虫歯になるぞ先輩…
 ぱくっ
 先輩は躊躇いもなくワッフルを食べた。そして…
みさき「く〜…」
 そのまま幸せそうな顔で、静かに寝息を立て始めた。
 川名みさき、脱落!!
茜「まずは1名脱落ですね…」
 茜…一服盛ったな…
 俺はそうツッコミを入れようとしたが、後がコワそうなんでやめておいた。
 …もう寝よう(汗)
 俺は布団を被りながら、静かに目を閉じた。
 精神的に疲れていたのか、目を閉じるとすぐに眠気が襲ってきて…

 <主人公が現実逃避して寝てしまったため、ここからは三人称でお楽しみ下さい>

 戦闘開始から1時間…浩平争奪戦は膠着状態に陥っていた。
 かち…かち…かち…かち…
 静寂の中、目覚し時計の秒針の音がやけに大きく聞こえる。
浩平「…ぐぅ」
みさき「く〜…おなかいっぱいだよ〜…」
 茜の策により、既にみさきは戦線から脱落。
 プレッシャーに耐えかねた浩平もまた、さっさと眠りの世界に堕ちていた。
 浩平のすぐ隣には、繭にお下げを掴まれた七瀬と、寝ているみさきがいる。
 浩平の所に行くには、みさきか七瀬を越えなければならないのだ。
長森(う〜ん…繭と七瀬さんは何とかできそうなんだけど…)
七瀬(くっ…あと少しのところで…)
茜(催眠ガスとガスマスクを用意しておくべきでしたね…)
澪(よい子はもう寝る時間なの!!)
繭(みゅ〜♪)
 重苦しい沈黙の中、ただ時間だけが刻々と流れていく。
 先に寝た者が負けの、文字通りの持久戦…
 静寂のバトルロイヤル…
 更に3時間経過…
 かち…かち…かち…かち…
 まるで時限爆弾のタイマーの如く、秒針の音が5人の心をじりじりと焦らせる。
 もっとも、爆発しようとしているのは少女達の妄想という爆弾だが。
長森(ふぁ…寝る前にホットミルク飲むんじゃなかったよ〜…)
繭(ふみゅ〜…う〜…)
七瀬(くっ!!繭!!さっさと寝なさいっ!!寝不足はお肌に悪いのよっ!!)
茜(こうなったら我慢比べです)
澪(負けないの!!最後に笑うのは澪なの!!)
 長森、七瀬、茜、澪はやる気マンマンだが、繭の瞼は大分下に下がってきている。
 繭の瞼が完全に下がった時、戦いは新たな局面を迎える!!
長森「繭、眠いの?」
 長森が優しい声でそう言うが、下心が見え見えだ。
 繭は大きく欠伸をし、眠そうに目を擦る。
繭「みゅ〜…うん…」
 椎名繭、脱落!!
 繭が寝たのを確認し、七瀬が繭の手からお下げを抜いた。
茜「皆さんもそろそろ寝たらどうです?」
 茜がみんなに言うが…
長森「愚問だよ…」
七瀬「乙女をナメないでよね…」
澪『もう後には退けないの』
 3人はそれぞれの反応を返す。
 茜はやれやれといった調子で、ふぅと小さくため息を漏らした。
 こうして、浩平の貞操を巡る第2次戦争がここに勃発したのだった…

 夢…
 それは懐かしい夢…
 そこに出てきたのは、もう会うことのできない少女…
 「……ちゃん…」
 少女がぼくを呼んだ。
 白い世界の中…少女はぼくに言った…
 「おにいちゃん…わたしのゆめはね、おにいちゃんとずっといっしょにいることなんだよ」
 病院のベッドの上…みさおは微笑いながら呟く。
 ぼくは少し照れくさかったけど、ぼくはみさおが笑っているのは好きだった。
 だから、みさおがこう言ってくれるのは嬉しかった。
 「おにいちゃんとけっこんできたら、ずっといっしょにいられるのにね」
 「ばかっ、兄弟じゃけっこんできないぞ」
 みさおはそうだよね…と、少し寂しげに呟いた。
 でも、みさおはすぐにいつもの笑顔に戻って言った。
 「でも、ずっといっしょにいてくれるよね?」
 「ああ」
 ぼくがそう答えると、みさおの顔は一層輝いた。
 「で、おにいちゃんのゆめは?」
 いきなりそう聞かれて、ぼくは一瞬戸惑った。
 「そうだな…ぼくの夢は、ぼくを大事に想ってくれている人達と、ずっと幸せに暮らすことかな」
 そう…これがぼくの夢だった…
 「もちろん、みさおも一緒だ」
 「えっ…ほんとう?」
 みさおの顔が、驚きと喜びの入り混じった微妙な表情に変わる。
 ぼくは無言でうなずくと、みさおは笑った…
 「うれしいよっ、おにいちゃん」
 今まで以上に嬉しそうな笑みを浮かべて…みさおは笑った…
 ぼくはみさおの笑顔が、一番大好きだから…
 だから、ずっと微笑っていてほしい…
 ずっと、ぼくのそばで…

============あとがき================
 ども、丸作です〜。
 前半と後半のギャップ、激しすぎですね(汗)
だよもん団長「最後の辺り、いつもの丸作じゃないよね…」
 大きなお世話だっ!!
 でわでわ感想いくぞ!!

感想

から丸&からすさん>
 ご感想どうもです〜♪
 由起子さん…我ながら謎人物になってしまいました(汗)
だよもん団長「『了承』の人みたいだよね…」
 戦闘シーンの描写、毎回感服しております。
 俺も見習いたいっす。

PELSONAさん>
 ご感想どうもです〜♪
 小悪魔チックな澪のつもりだったのに〜(笑)
だよもん団長「そうは見えないよっ」
 必読と言って頂けて、SS作家冥利に尽きるっす(号泣)
 茜の不安感を、手を繋いで消してやる浩平が格好よかったです。

ひささん>
 ご感想どうもです〜♪
 第七話のアレ…わざとです(爆)
 浩平…そのうちSS作家の皆さんに殺られるかも(汗)
だよもん団長「浩平をいぢめていいのは、わたしだけだよっ(ニヤリ)」
住井「おおっ!!同志よっ!!我らとともに折原に天誅をっ!!(爆)」

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我がHPっす。
最近ONEばっか書いてるような…ま、好きだからいいかっ♪
お暇だったら、是非いらしてください〜♪
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Domino/8142