ONE 輝く季節へ ショートストーリー
SWEET LIFE
第5話「予兆」
<あらすじ>
ONEヒロインズによる浩平争奪戦は、場所を中庭に移して更に白熱!!
繭の「間接キス」、澪の「ふ〜ふ〜」、長森の「口移し(未遂)」…
浪漫な大技が、昼の中庭に次々と繰り広げられる。
一方住井軍団は、着々と折原浩平天誅計画を実行に移しつつあった…
夢…
夢を見ている…
それはどこか懐かしい夢…
不確かな予感に似たもの…
遠ざかる声…
薄靄の中に没していく笑顔…
儚い淡雪のような面影…
夢が…白く染まっていく…
全てが白く染まるその瞬間まで、少女は微笑ってくれていた…
その笑顔は…誰のものだっただろう?
思い出せないまま…俺の夢は覚めていった…
「…い…うへい…」
誰かの呼び声が聞こえる…
「こうへい…浩平…」
今度はもっとはっきりと、誰かが俺を呼ぶ声だ。
長森「もうっ…浩平!!もう放課後だよっ」
浩平「んあ…」
そう…これは長森の声…
そっと目を開け、ゆっくりと伸びをする。
何故か長森は困った顔をして、手に箒とちりとりを持っていた。
長森「今日は浩平とわたしが掃除当番の日だよ」
そう言って、手の箒とちりとりを差し出してくる。
茜「終わったら一緒に帰りましょう…」
七瀬「恋人と一緒に下校…乙女にしか為せない技よね…」
繭「みゅ〜っ!!いっしょにかえるぅ…」
顔を赤らめて、何時の間にか俺の席を包囲していた3人が言った。
この調子だと、じきにみさき先輩や澪も来るな…
周りを見渡せば、クラス中の男子の痛い視線が集中していた。
しかし、その急先鋒たる住井軍団は不気味な沈黙を守っていた。
…何故か、昼から沢口の姿が見えないが。
長森「ほらっ、浩平早く♪」
嬉しそうな顔で、なおも箒とちりとりを差し出してくる長森。
はっきり言ってタルい…
何とかこの状況を打開するために、俺の頭脳はフル回転を始めた。
そして、4つの結論を導き出すに至った。
1:「あっ!!UFOだ!!」と言って隙を作り、その隙に脱出
欠点:追いつかれて捕獲される危険性あり
2:窓を突き破って脱出
欠点:七瀬並の生命力がないかぎり、生還の可能性薄し
3:ワープする
欠点:不可能
4:4人を仲間割れさせる
我ながらしょーもないことばっか思いつくもんだ。
浩平「……4」
少しゲンナリしながらも、一応一つ選んでおく。
浩平「…で、帰りにどこか寄っていくか?」
唐突に切り出してみる。
すると…
長森「パタポ屋がいいもん」
茜「山葉堂でワッフル道楽がいいです…」
繭「はんばーがーだもぅん」
七瀬「ここは乙女らしく、洒落た喫茶店で午後のティータイムがいいわよ」
かかった!!俺は心中でほくそ笑んだ。
俺の術中にハマった4人は、俺を放って喧喧諤諤の大論争を始めた。
長森「パタポ屋で浩平とクレープで間接キスだもん!!」
茜「やっぱり甘い生活には、甘いワッフルが欠かせません!!」
繭「なうでぽっぷなやんぐめんには、はんばーがーがいちばんだもぅん!!」
七瀬「乙女らしくティータイムだってば!!」
今のうちに…
俺は4人の包囲から、こっそりと抜け出した。
で、虎口を脱した俺は、取り敢えず屋上へ向かった。
屋上なら、多分みさき先輩はいるだろうからな。
まぁ、暫く隠れるなら丁度いいかも知れん。
階段を昇り、「折り曲げ禁止」と書かれた注意書きのあるドアの前に立つ。
ドアに付いた窓から差し込む夕陽が、視界を真っ赤に染める。
そのドアを開いたとき、そこに立っていたのは…
女の子「うぐぅ…祐○くん、○波届いた?」
バタン!!
見なかったことにしよう…
そう思い、速攻でドアを閉めた。
女の子「うぐぅぅぅぅぅぅっ!!」
後ろから何かの声がするが、気にしない。
つうか、ゲーム違う上にパロディだろうが…(汗)
作者のあざとさに舌を巻きつつ、俺は屋上を後にした。
その頃…
長森「パタポ屋だもん!!」
茜「山葉堂です!!」
繭「BOSばーがーだもん!!」
七瀬「サ店だって!!…って、あれ?折原がいない!!」
不意に七瀬が驚きの声を上げた。
今頃気付いたのか…
屋上を後にした俺は、今度は紅い夕陽の差し込む廊下を歩いていた。
暫く歩き、ある一室のドアを開ける。
「軽音楽部」…ドアに貼られた張り紙には、そう書かれていた。
訳もなく涙腺を刺激する紅色に満ちた部屋の中…
「やあ…」
奴はこちらを見て、ごく自然に軽い挨拶をした。
男のわりに色の白い肌…どこか虚無感を感じさせる涼やかな瞳…
俺は奴に見覚えがあった。
浩平「氷上…」
氷上「やあ、折原君…」
自然と俺の体に緊張が走る。
しかし氷上はそれに頓着した様子も見せず、ごく自然な様子で口を開いた。
氷上「僕との絆を深めに…」
浩平「違う」
言葉の途中で即答され、氷上は少し寂しそうだった。
しまった…ここは部室だった…
漢・折原浩平、一生の不覚っ!!
と、俺が心中で叫んでいる間に、氷上が俺の背後に廻りこんだ。
ガチャ
不吉な音が、氷上の後ろのドアから聞こえた。
脱出不能…そんな言葉が頭をよぎる。
氷上「折原君…君は気付いているかい?」
唐突に氷上がそんなことを聞いてきた。
浩平「…何のことだ?」
氷上「…そうか。まだ気付いていないんだね…」
怪訝な顔で俺は尋ねたが、氷上は少し残念そうな顔をしてため息をついた。
しかし気を取り直したのか、氷上は再び薄笑いを浮かべて言った。
氷上「君はきっと気付く筈だよ…君の想いが…絆が本当のものならね…」
意味深な笑みを浮かべたまま、氷上が1歩、ずいっとにじり寄る。
それに合わせて、俺もじりじりと後ずさる。
浩平「…これは何のつもりだ、氷上」
じわじわと接近を図る氷上…ただただ後退するだけの俺…
震える声で、俺は氷上に尋ねる。
すると氷上は、にっこり笑顔のままで…
氷上「いや…手っ取り早く思い出させてあげようと思ってね」
上着のボタンを外しながら、そうのたまったのだった…
浩平「何をだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
俺は絶叫しながらバックダッシュをかける。
どんっ
しかし後ろはもう壁だった。
氷上「折原君…さぁ、僕との絆を深めよう…」
獲物を狙う、飢えた狼の目をしながらにじりよる氷上…
今のコイツなら、漢の奥義・ルパンダイブ(ルパン脱衣)もできそうだ。
浩平「やめろ…来るな…」
未だ嘗てない恐怖に、体ががくがくと震え出す。
じゅるり☆
氷上の舌なめずる音が聞こえる…
折原浩平、絶体絶命の(貞操)の危機!!
しかし気まぐれな天使は、俺に奇跡をもたらした!!
ドゴォッ!!
長森「浩平っ!!やっぱここにいたっ!!」
茜「さぁ、帰りましょう」
繭「みゅ〜っ!!」
七瀬「もうっ!!何こんなトコで油売ってんのよ!!」
みさき「おなかすいたよ〜早く帰ろうよ〜」
澪『一緒に帰るの』
鍵のかかったドアを蹴破り、ONEヒロインズが城内に突入した。
…城内?ま、いいや。
途中で合流したのか、みさき先輩と澪もいる。
氷上「残念だよ…もう少しで折原君と絆を深められたのに…」
心底残念そうに言う氷上。
浩平「氷上…覚悟は出来てるだろ〜なぁ?ンンン〜!?」
異様な殺気を孕んだONEヒロインズを背に、俺は氷上に詰め寄った。
しかし氷上は、それにひるんだ様子も見せず…
氷上「こうなったら…サラバだ!!少年探偵団の諸君!!」
そう言って、氷上は窓ガラスに突っ込んだ!!
…何故に少年探偵団?
がっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!
けたたましい音と共に、煌くガラスの欠片が飛び散った。
そして…
氷上「折原くぅぅぅぅんっ!!僕は諦めないからねぇぇぇぇぇ…」
どすん!!
何やら重い音がしたが…気のせいということにしておこう。
浩平「さて、悪も滅んだことだし…帰るか」
俺はそう纏めて、みんなの方を振り向いた。
そして、固まった。
長森「浩平!!パタポ屋だよっ!!」
茜「山葉堂ですよねっ!?」
七瀬「サ店よっ!!」
繭「はんばーがー!!」
みさき「カレー屋だよ〜!!」
澪『おすし屋なの!!』
振りかえるとそこには、今にも噛み付かんばかりの勢いで迫るヒロインズ…
ぐはっ・・・さっき逃げ出すために使った方便…
それを真に受けちまったのか…しかも、みさき先輩と澪が増えてる…
一同「「「「「『さぁ、どこ行くの!?』」」」」」
浩平「ぐはぁ…」
ヒロイン一同に詰め寄られながら、俺の頭の中にはある言葉が浮かんでいた…
教訓
「策士、策に溺れる」
==============あとがき=================
ども、丸作っす。
今回も程よく壊れたなぁ…(爆)
だよもん団長「はぁ…壊れすぎだよ…」
くっ…貴様は西部署のだよもん団長!!
ズドォォォンッ!!(発砲)
だよもん団長「はぁ…さっさと感想行くよ」
はい…(血まみれ)
感想
いばいばさん>
ご感想どうもです〜!!
笑っていただけて嬉しいです〜♪
だよもん団長「鼻から牛乳は嫌だよっ」
みさき先輩…健気ですねぇ
これからもよろしくです〜!!
宣伝>
我がHPっす
丸作の書いたSSや、投稿SSもありまっせ〜!!
って、連載モノがやたら多いような…(汗)
お暇だったら、是非見に来てください〜♪
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Domino/8142
次回は『はだえぷ』か『冥土』か…(謎)
|