【115】 花もだんごも
 投稿者: みのりふ <f-sano@msa.biglobe.ne.jp> ( 男 ) 2000/4/10(月)00:22
「みさき、あんまりくっつかないでくれよ、歩きづらいじゃないか」
「浩平くん、いやなの?」
 白いセーターに水色のフレアスカート、今日のみさきの格好だ。日中は暖かくなったとはいえ、夕方になってくるとまだまだ寒いので防寒対策はとらなくっちゃな。
「いや、そんなことはないんだけど」
 一応言ってみたが、みさきに対してあいまいな答えというものは通用しない。 
「だったらいいよね」
 と遠慮なしにくっついてくる。まあ、うれしいことはうれしいんだけど。
「う〜ん、これがなければな」
 と右手に提げた大きなバッグをみさきに触れるようにする。この中にはみさきの母親に作ってもらった大量のお弁当が詰まっているはずだ。はっきり言って重い、重すぎる。よくもまあこんな大量のお弁当が作れたものだ、主婦って偉大。
「う〜、浩平くん意地悪だよ〜」
 みさきは鞄を持つ手と反対の手を掴みながら半分すねたような、半分甘えたような感じの声を上げた。
 これから俺たちは公園で花見をする予定だ。深山先輩をはじめ俺の知り合いに声をかけてみたのだが、『二人の邪魔はできない』とあきれたような顔で溜め息をつかれてしまったので結局二人っきりになってしまった。
 というわけなので花見を名目としたデートと言った方が正しいのかもしれない。
 でも、そのときのみさきは真っ赤になってて可愛かったなあ。
「何か変なこと考えてない?」
 俺が思い出し笑いをしてると、俺の手をつかむ力が少し強くなった。どうしてこういうときの女性って勘が鋭くなるんだろうな。不思議に思いながら、みさきの手を握り返す。
「変なことは考えてないさ」
「ほんとに?」
「俺がみさきのことを考えてて何が変なんだ?」 
「うわ、恥ずかしいこと言ってるよ」
 赤くなった自分の顔を見られたくないのか袖に自分の顔を押しつけてくる。
 そんな甘い雰囲気をあたりに振りまきながら俺たちは公園に向かった。



 俺たちは手ごろな場所を見つけるとさっそくシートをひいて座った。
 しかし……。
「なあ、その右手に持っているのはなんだ?」
 ずっと俺に寄り添っていたはずみさきの手には何本ものくしだんごが握られている。もうすでにいくつかはお腹の中だろう。
「そこでね、屋台が出てたんだよ」
 確かに、花見客を当てこんだ屋台が軒を並べているが……。
「いつ、だんごなんかを買う暇があったんだ?」
「それは気にしないほうがいいよ」
 おいしそうにだんごを食べているみさきを見て俺はなにも言えなくなってしまった。 
「浩平くんにも一本あげるよ」
「え、あ、ありがとう」
 しかし、みさきは笑ったまま動かない。俺が戸惑っていると、
「浩平くん、あ〜んは?」
 笑顔でとんでもないことを言ってくれた。
「え?」 
「あ〜ん、だよ」
 穏やかな口調だが有無を言わせない迫力がある。俺はおとなしく口を開けた。
「……あ〜ん」
 ぐさっ。押し付けられただんごは俺の口の中に入らなかった。串の先が刺さって少し痛い。
「……そこ、俺のほっぺたなんだけど」
「ええっ、ごめんね、一度やってみたかったんだよ」
 みさきはほんとに表情が豊かだ。さっきまでにこにこと笑っていたかと思うと、今度はまるでこっちが悪いような気になるほどしゅんとなってしまう。
 俺が何かみさきに声をかけようとしたそのとき、急に一陣の突風が吹いた。
「きゃあ」
 その際に大量の花びらを木から奪っていく。やがて風が治まると散った花びらがゆっくりと地面を覆い尽くしていった。
 その花びらを人々がなんの意識もなく踏みにじりながら頭上の花びらに賞賛を送っている。それを見て俺は妙な気分に捕われた。
「ん、どうしたの浩平くん、黙り込んじゃって」
 雰囲気で分かったのかみさきが心配そうに問い掛ける。
「散ってしまった花びらはもう見向きもされないんだ、同じ花びらなのにさ」
 そのときの俺は柄にもないことを言っていた。
「はかないよね……でもね」
 みさきはいきなりその場に寝転んだ。
「こうするとね、とても気持ちいいんだよ」
 うっとりとした表情を浮かべるみさき。その上から薄いピンクの雪が後から後からみさきに降り積もっていく。
 幻想的な光景に俺はただみとれていた。
「桜の香りっていいよね」
 みさきは顔についた花びらをつまむと鼻の先に持っていって息を吸った。
「なあ、服が汚れるぞ」
 我ながらくだらないことを言ったと思う。当然、
「そんなデリカシーのないことを言っちゃ駄目だよ」
 軽くたしなめられてしまった。
「浩平くんも隣りにおいでよ」
「そうするか」
 俺はうなずくと、シートを片付けてみさきのそばに横たわった。とたんに土と花の香りが詰まった空気が俺の肺に流れ込んでくる。
「これが春の香りなんだな」
「そうだね」
 俺たちは手を繋ぎながらずっとそのままでいた。
 そして、翌日、なぜか俺だけが風邪を引いていた。









SS掲示版投稿3ヶ月記念

DJみのりふに聞けっ!!



DJみのりふに聞け〜〜! ということでDJみのりふで〜す。
なつき「DJみのりふの優秀弟子のなつきで〜す」
馬鹿で〜す。(笑)
さて、キャラクターのなぞに迫るこのコーナー、記念すべき第1回目のゲストはあのベイルさまのアシスタント、浅野雪彦くんだ〜〜!!(どんどんぱふぱふ)
雪彦「浅野雪彦こと、F/S(フェアリー・スノゥ)です」
なつき「あっ、お久しぶり」
雪彦「それで、なんの用なんだい?」
なつき「なつきは何も聞いてないよ」
ふっふっふ、それは私から説明しよう。
雪彦「な、何か嫌な予感がするんだけど」
世間でね、実はおまえがね、女の子じゃないかって噂が流れてるの、知ってた?
雪彦「それって君が勝手に勘違いしてただけなんじゃない」
そこでね、今日はね、それを確かめる。
雪彦「えっ? 確かめる?(汗)」
うん、確かめる(にやり)……当然、脱がす! 見る! 触る! 揉む!
雪彦「そ、そんな話なんか聞いてないよ!」
いいからおとなしくしろ〜!(壊れてる)
雪彦「わ〜〜!」
なつき「んっ、んんっ(咳払い)……そ、それじゃあ、この間に感想に行くよ〜」
こら〜! 逃げるなあ〜〜!!(追いかけている)
雪彦「ここでは奇跡が起きないのか〜〜〜!?(逃げている)」
奇跡はそんな安っぽいものじゃないんだぞ〜〜!!(しつこく追いかけている)
なつき「では、か、感想スタート(汗)」

>怪しい人さま
感想ありがとうございます。
なんといっても、鮭の切り身のアシスタントにはやられました。その手があったかって感じですね。
実はその動物につけた名前が「猫」なだけで、ほんとは別の名前があるというのはどうでしょう。

>丸作さま
感想ありがとうございます。じゃあ遠慮なくさくっといきましょうか。(笑)
ついに黒幕登場ですか。浩平を含めヒロイン全員が手のひらで踊っていると言う感じですね。はたして由起子さんの真意はどこにあるんでしょうか。
そして次回はどうなるのか、楽しみなような、ただ腹が立つだけのような。(笑)

>から丸&からすさま
感想ありがとうございます。
今回はまた凄惨な話ですね。病院での陰鬱な雰囲気がすごく伝わってきて、つくづく今の世の中が平和だなあと実感します。
しかし、浩平と澪の結びつきの強さが現れてましたね、これで瑞佳と出会ったらどうなるんだろうと思ってみたり。

>変身動物ポン太さま
そっちのキャラを出されると知らない私にはちょっとついていけないのですが、面白いのでオッケーです(平気でなつきだしてる自分の言うことじゃないな)。
しかし茜たちはまだ決着がつかないのですか、まあ審判のようなことまでしているから勝負に手が回らないのでしょうが。
で、住井ってどこに行ったの?(笑)
それにしても、丸作様→から丸&からす様→変身動物ポン太さまの順に読んでいたらなんか混乱してきましたよ、でもそれが掲示版のいいところなのでしょう(笑)。

>Matsurugiさま
面白い試みですね。しかし振られて終わりという扱いでもそれほどいじめてないとは、過去の南はどんな目にあったんでしょうか、ああ気になる。
相変わらず茜は容赦がないですね。それが一番最善な言葉だとわかっていても……。

>PELSONAさま
PELSONAさまに文章力がないと言われてはどうしたらいいんでしょう。
そう思えるほど、この短さの中にぎゅっと言いたいことが詰まっている気がしました。
ああ、幸せそうで羨ましい。

>ひささま
まずはつっこみ3割増しじゃなくてよかったですね。(笑) 
いつもながら丁寧な感想には驚かされるばかりです。
エイプリルの展開のお約束なのは自分でも自覚していたので、つっこみが来てにやりとしました。ひささまなら言ってくれると思いましたよ。

>たかひろ(Tire)猫さま
浩平の精神が追い出されたということは浩平の体に茜の幼馴染がいるということでしょうか。
まあ、瑞佳なら覚えていてくれるでしょう。だから遠慮なく永遠の世界に行ってこい。(笑)

>再び丸作さま
川の字になって寝るとはよく言いますが、これは何の字だ? 
浩平もみさおが夢に出てくるまで追い詰められていたのかあ。
ちょっと待てよ……っていうかそんなことを願ったからこういう事態が起こったんじゃないだろうな?

なつき「というわけで感想は以上だよ」
待て〜〜〜! (引き続き追いかけている)
雪彦「いやだ〜〜!!(引き続き逃げている)」
なつき「あの〜〜(汗汗)」
あっ!(捕まえた) ああっ!!(服に手をかけた) あああっ!!?(脱がした) 
……ちえっ、やっぱり男だ。
なつき「えっ? い、今の『ちえっ』って?」
雪彦「君なんか嫌いだ〜〜!!(泣)」
納得いか〜〜〜ん! も1回見よ〜っと!
とりゃ〜〜〜!!(飛びかかる)
雪彦「うわあ〜〜〜!?」
なつき「……え、ええ、えーと……で、ではまた次回(一礼)」
雪彦「もう二度と来るもんか〜〜!!(脱兎)」





……ええと一言だけ言っておきますが私はノーマルですよ。(爆)
元ネタを知っている人がはたしてどれくらいいることやら。
というわけで今回より始まったこのコーナーではただいま出演者を募集しています。
アシスタントを出演させてもいいよという寛大な方、連絡お待ちしております。
というか、そのうちみなさまのところへお願いしにいくかもしれません。(笑)
最後に、掲載を許可してくれたベイルさまへ、どうもありがとうございました。(礼)