【104】 恋人たちの午後 お花見編 |
「なあ、それ俺が持つよ」 『駄目なの』 「見てて危なっかしいんだけど」 『大丈夫なの』 さっきからこの調子だ。澪が俺の横を、大きな鞄を抱えながらふらふらと歩いているので、持ってやろうと声をかけているのだが、なぜか断られてしまう。 現在俺たちは大学が始まるまでの暇な時間を目一杯楽しんでいるところだ。無事に合格することができた俺たちは勉強づけでたまった鬱憤を晴らすように遊び歩いた。もちろんその後は……ふっふっふ。 詳しいことは言えないが、トレカのデータは変更してもらうとだけ言っておこうか。 ばしっ、ばしっ。 「いてっ、何するんだよ」 『変なこと考えていたの』 顔を真っ赤にしながら何度もスケッチブックで俺を叩く。 「そ、そんなことないぞ、最近澪の胸が大きくなったなあなんてこれっぽっちも思ってない……ぐあっ、しまった」 うっ、澪が睨んでいる。 「わ、悪かったから早く行こうぜ、早く行かないといい場所がなくなってしまうぞ」 『ごまかしちゃ駄目なの』 「ごめんなさい」 腰を手に当てて見上げている澪の迫力に俺は頭をたれた。なんか母親に叱られる子供のような感じだ。 『最初から素直に謝ればいいの』 満足げな澪の顔を見て、やっぱり主導権を握られているのかなと思ってしまう。 『罰として、こうするの』 黙っていたらいきなりしがみついてきた。とたんに自分が子供から父親になったような気分に変わる。まあ、澪だから仕方がないことだと思う、とても口に出して言えないが。 しかし、いい匂いだな……じゃなくて、頼むからそのバッグを持ったまま俺にしがみつくのはやめてくれ、そう言おうとしたが、 『早く行くの、じゃないといい場所がなくなっちゃうの』 しがみつく手を放そうとせず、にこにことしている澪と目が合ってしまい、 「はいはい」 と従うしかなかった。 ……でもそんな自分が好きです。 「まだまだ寒いな」 シートに腰を下ろすと地面の冷たさがじわりと伝わってきた。残念ながら今日は日が差してないので、ちょっと肌寒い。 俺がひとごこちついている間に、澪は鞄をあけてまず水筒を取り出していた。それだけで結構な負担になっただろうなとぼんやり見ていると、次に取り出した重箱を見てぎょっとなった。 「なあ、まさか、これで二人分なのか!?」 バッグから取り出された重箱はかなり大きさだった。まるでどこかにでてくるアイス好きの少女が作る量に近いものがある。 「そんなこと言う人、嫌いです」 いきなり聞こえてきた謎の声に辺りを見まわしてみたが誰もいない、空耳か? 気を取り直して再び重箱を見てみる。う〜ん、みさき先輩を呼んで来ればよかったかもしれない。 「これ、全部食う気なのか?」 『そうなの』 澪は元気よくうなずくと蓋を開けた、いろとりどりの惣菜が目にも鮮やかに並べられている。量はともかくとして見た目はとてもうまそうだった。 「もしかして、澪が作ったのか?」 俺が聞くと澪はにこにことしながらうなずいた。 「がんばったなあ」 俺が頭をなでてやると気持ちよさそうに目を閉じるので、俺もなんだか気分がよくなっていつまでも澪の頭をなでつづけていた。 なでなでなでなでなでなでなで。 ……すう、すう。 「あれ?」 気がつくといつの間にか澪が安らかな寝息をたてている。俺がなでる手を止めると、澪の体が傾いて俺にもたれかかってきた。 俺は澪の温もりを感じながら、用意してくれた弁当に視線を向ける。すると一片の花びらが飛んできて澪の頭にふわっと舞い降りた。 「はははは」 なんだかおかしくなった。 「さてと、せっかくの手料理を味あわせてもらうかな」 澪を起こさないように手を伸ばして箸を取ると、まずは卵焼きから口に運ぶ。噛むとふんわりとした甘さが口一杯に広がった。 「うまい」 思わず口から感想が出てしまうほどのおいしさだった。 俺は夢の世界をたゆたっている澪の顔を覗き込む、すると澪が幸せそうに微笑んでいた。 「ありがとうな」 俺たちを祝福するように雲間から日が差していた。 また、同じオチか〜〜〜〜〜〜〜〜い!! まったく進歩のない自分が悲しい今日この頃皆様いかがお過ごしでしょうかって感じのみのりふです。 なつき「わけわかんないよ」 ちなみに前のやつはりーふ図書館にありますけど、別に知らなくても大丈夫ですよ。そのときはまだみのりで投稿してましたけど……それこそどうでもいいんですけどね。 幸島「そして、なぜか今回も出ている幸島です。……なんで私がここにいるんだろう」 それはもちろん、君の素顔に迫るコーナーだからに決まってるからじゃないか。 幸島「勝手にそんなコーナーを作らないでください」 なつき「可哀想だけど、犬に噛まれたと思って諦めたほうがいいよ」 えい、おまえは黙ってろ(げしっ)。 なつき「うう、扱いがぞんざいだよ(嘆)」 ……というわけでまずは名前のない君に名前をつけよう。 幸島「なんでそうなるんですか」 うーんとなにがいいかなあ。(考え中……考え中……) 幸島「あの……」 (ぴかあっ!)よしっ、閃いたぞ! 幸島「……一応聞いてあげます」 ふふふ、ずばりおまえの名前は幸(みゆき)だ!! これで上から読んでも幸島幸、下から読んでも幸島幸、いい名前だなあ。 幸島「勝手に人を海苔扱いしないでください(怒)」 まあ、名前も決まったところでよろしくな。 幸島「……私に発言権はないんですか?」 なつき「よろしくね、幸さん」 幸島「あ、納得してるし」 それじゃあ、感想へ行こうかい。 幸島「しくしくしく」 >変身動物ポン太さま 久しぶりに深山先輩(プロフェッサーは除く)が主役のSSですね。 瑞佳の『ぽかぽかぽか』が、なんかかわいいです。 しかし、七瀬、4つ股って誰と誰と誰? 意図的に誰かを除いているのかと勘ぐってみたり。 なつき「そのなかになつきが……」 入ってない。 >みーさま うい、説明どうもです。でもこういう話題はこっちでした方がいいですよ。 http://www67.tcup.com/6717/denju.html これはWTTS様が管理している刑事、いやもとい掲示板です。 作品の補足から愚痴までなんでもありの作家たちの交流の場です。 刑事版よいとこ一度はおいで、あ、ちょいな、ちょいな〜♪ >再び変身動物ポン太さま 雪ちゃんSSといいながら、主役はみさき先輩かと思わせるような活躍ぶりでしたね。 こんな恋のキューピットは見てる分には楽しいけど、実際にいたら困り者だなあ。 う〜ん、でもあの二人にはこれくらい強引な方がよかったのかな。 最後は幸せそうでよかったです。しかし他のヒロインズはおとなしく諦めるかなと心配になったり。 なつき「なつきも幸せになりたい……」 そう言えば、そんな歌があったな。 >宵羽虹さま はじめまして、まずは感想ありがとうございました。 ついにこのコーナーに登場されましたが、いきなり替え歌4連発とは豪快ですね。 ちゃんと雰囲気をつかんでいて感服いたしました。 4番なんか丸作さまの作品のオープニングにあってるんじゃないかと思ってみたり。 これからもがんばってここを盛り上げていきましょう。 なつき「なつきの歌を作ろうよ」 だから私には無理だって。 >たかひろ(Tire)猫さま 瑞佳よ、それが5年後ぐらいだったらまだいいけど、しゃれにならないっす。でもたまにはこういうブラックっぽいのもいいかなあ。 なつき「ブラック?」 なんか違うか……。 >スライムさま 母親が隠していることを榴は知ることができるのか。ここまで露骨に隠されるとどんな悲惨なことがあったのかかなり気になってしまいます。 そのあとの何気ない朝のひとこまへの切り替えが自然でいいですね。 なつき「上月さんとは中学のときに一緒だったんだよ」 勝手に設定を作るな、これを見た人が本気にしたらどうする。 >ひささま 感想ご苦労様でした。 そういえば「みやび」については「恋人たちの午後」で1回説明したっきりでした。読み返してみると明らかに説明不足ですね、で改めて説明させていただきますと、「みやび」はなつきシナリオで登場する甘味処の名前です。お汁粉とかあんみつとかがおいしいらしいです。 しかし……つっこみなつきとは……びっくり。 ええと、出演ですか。また勝手にそっちにお邪魔するかもしれません。でも、そのときは気をつけてくださいね。(笑) つっこみなつき「まったく、ひささんを見習ってもう少しまともな感想が書けないんですか?」 あ、「つっこみ」が……。 |