韓国版 浦島太郎
投稿者: みのりふ  投稿日: 2月24日(木)23時23分
 昔、あるところに浩平という漁師がおりました。彼は養っている老(母)叔母のために毎日湖へ魚をとりそれを売って生計を立てていました。生活は楽なわけではありませんので彼は一生懸命働いていました。
 そんなある日、不思議なことに朝から糸をたらしているのに一匹も魚が釣れません。
「困ったな、由起子さんに叱られる」
 諦めて帰ろうしたとき急に強い手応えが。
「やった、大物だぜ!」
 浩平は力いっぱい竿をひきましたがなかなか獲物は水上に上がってきません。
「ちっ、しょうがねえ」
 浩平は水中で爆発する爆弾を湖に投げ込みました。
 どかあああああん!!
(きゃああああああ!)
 浮いてきたのはなんと人の背丈ほどの大きな鯉。浩平は大喜びでさっそく鯉を引き上げようとしました。
(助けてえ!)
 するとどういうことでしょう、鯉が哀れっぽい目で浩平に助けを求めています。
「まあ、いいか」
 浩平は気にしませんでした。
(きゃああああ!! 待って! お願い!)
「なんかやけに感情の豊かな鯉だな」
(そうなんだよ、お願いだよ)
「それはともかく、鯉こく、鯉こく」
(いやああああ!!)
 あんまり鯉が哀れっぽく口をパクパクしているので、ついに浩平は根負けして湖に離してやりました。
 そんなことがあったことも忘れたころ、浩平が用事で海にやって来ると、そこに見なれない青い服を着た女の子が立っていました。
 その女の子は浩平を見るなり親しげに話しかけてきました。
「ねえ、あんた。もしかして折原浩平じゃない?」
「そうだが、何か用か?」
「よかった、あんたを探していたのよ」
「俺は人に恨まれるようなことは何もしてないぞ」
 浩平が疑わしげな目を女の子に向けると、その女の子はにこやかに浩平の胸倉をつかんで一言、
「いいから人の話を聞きなさいよ」
「はい」
 その女の子(七瀬となのった)の説明によると、あの時助けた鯉はなんと竜王の娘であったこと、助けてくれたお礼に竜宮につれていってくれるということです。
 しかし浩平は海を眺めて溜め息をつきました。
「俺は人間だぞ、海の底になんて行けるものか」
 そう言うと、七瀬は「任せなさい」と言うなり海に向かって拳を叩きつけました。
 すると不思議なことに海が綺麗に割れて細い陸路ができたのです。
「気合で海を割る、乙女にしかなせない技ね」
「……嘘だろ」
 かくして浩平は無事に竜宮に着くことができました。
「んあー、娘を助けてくれてありがとう。ぜひ娘と結婚してくれ」
「嫌だ」
「財産はすべて君のものなんだが」
「娘さんは僕が幸せにします」
 そんなことがありながらも浩平は竜王の娘(瑞佳)と結婚し楽しい日々を過ごしていました。それはそれは幸せな毎日だったと言います。
「おりゃー、茜。服脱げ、服」
「……嫌です」
「おりゃー、澪。リボン取れ、リボン」
『嫌なの』
「おりゃー、繭。七瀬のおさげ引っ張れ、おさげ」
「ちょっとなんてことを、ってぎゃあああ!!」
「みゅー♪」
 しばらくたったある日、浩平はふと故郷に残してきた老(母)叔母由起子のことを思い出しました。
「いくら放任主義とはいえさすがに帰らないとな」
 そう思うといても立ってもいられません。ついに浩平は瑞佳に相談することにしました。
「……というわけでしばらく帰りたいんだが」
「ええっ、そんなあ。浩平、私をおいて行っちゃやだよ」
「心配するなって、すぐに帰って来るからさ」
 浩平の説得にしぶしぶ折れた瑞佳は浩平に玉手箱を渡しました。
「これに向かって呪文を唱えると七瀬さんがやったみたいに海と割ることができるんだもん。でも決して蓋を開けちゃ駄目だよ、効果がなくなっちゃうからね」
「分かった」
 浩平はうなずきました。瑞佳の言った通り呪文を唱えてみると確かにすーっと海が割れていきます。浩平は大喜びで陸地に向かいました。
「しかしすげえな、これどうなっているんだ?」
 海岸に着くと浩平はすっかり瑞佳の言ったことを忘れていました。あほです。
 浩平が玉手箱の蓋を開けてみると、そこから薄い煙が立ち昇った以外は何も起きませんでした。
「ちっ、なんだよこれ、期待外れだなまったく」
 それからもう二度と、浩平は竜宮へ行くことができなくなってしまいました。
「……永遠なんてなかったんだ」 
 みなさんも人の言うことはちゃんと聞きましょうね。








まずは私のSSに感想をくれた方々ありがとうございました。
これは少し前に学校の図書館で見つけたもので、面白かったので書いてみました。
韓国では亀じゃなくて鯉を助けるんですね。
ちなみに亀を助ける話もあるんですが、その場合は山で山の神を退治することになります。
こんなものを書いているということはようするにネタがもうないと言うことなんですね。
ひな祭りネタが思い浮かばない、どうしよう。
と言いつつ感想に……いく前に「利き牛乳」の間違いでしたね。
ひささま間違えてしまいました。

>いちごうさま
どうもはじめまして、感想ありがとうございました。
シリアスなものを書くのははじめてなのでそう言ってくれるほっとします。
花火に着物、いいですね。瑞佳の幸せな感じがたまりません。
花火に照らされる二人の姿が絵になりますね。
「もう惚れてるもん」って瑞佳ってば。

>まてつやさま
一言、やられました、最後までおちが読めませんでした。
私もこう言うすっきりしたのを書いてみたいなと思わせてくれました。
名前が『南』とはどこぞのヒロインを思い起こさせてくれますね。
広瀬FCですか。私の書く広瀬ってひどい扱いしか受けてないからなあ。
嫌いじゃないんですけどね。