なつきの秘密
投稿者: みのりふ  投稿日: 2月23日(水)23時03分
「長森、パタボ屋にでも寄ってかないか」
「ごめん、わたし今から部活に行かなくっちゃいけないんだ」
「そうか、じゃあしょうがないな。今日は真っ直ぐ帰るとするか」
 というわけで俺は軽い鞄を片手に家に向かっているところである。うーん、家に帰ってもすることがないなあ。
 と思っていたら都合よくなつきの姿を発見した。
「おい、なつき、こんなところでなにやってるんだ」
「あっ、浩平おにい……」
 どがああああぁぁぁぁ!!
「きゃああ!!」
 いきなり羊が降ってきた。これはみさおの仕業だな。はっはっは、俺のことを「おにいちゃん」と呼んでいいのは私だけということを主張……あれ? 永遠の世界にいるのはみさおじゃないよなあ、じゃあこれは一体?
「いい加減に助けてえー」
 俺がなつきを助け起こしてやると羊はどこかに逃げていってしまった。まあ、気にしないことにしよう。
「それで何か用なの折原……さん」
「いやあ、たいしたことではないんだが」
 といいかけてなつきの顔をじいっと見てみる。考えてみれば俺の周りで眼鏡をかけている奴っていなかったよなあ。これってすごく不思議だよなあ。
 そうなるとがぜん興味が湧いてくるってものだ。
「なあ、なつき。眼鏡をかけた女の子というお約束を知っているか」
「は? お約束?」
「うむ、普段は目立たないが眼鏡をはずしたとたん美人になるというあれだ」
「はあ」
「というわけでな。さっそく俺に協力してくれ」
「というと?」
「察しの悪い奴だなあ。ここに都合よく眼鏡をかけた存在感の薄いどうでもいい奴がいるだろうが」
「ひどーい」
 なつきがぷくっと頬を膨らませた。
「まあまあ、それは一般的な意見だ。俺が言っているわけではないぞ……それでだ、おまえがだな、眼鏡をはずしたら実は超美人ってことになれば一気にファンが増えるんじゃないかなと思ったわけだ」
「えっ、そ、そうかな」
 ころっと機嫌が直る、扱いやすい奴。
「ああ、そう言うわけだから、眼鏡をとってみてくれ」
「うん、わかった」
 そう言ってなつきが眼鏡に手をかけた。そして素顔が初公開……。
「ど、どうかな」
「…………」
「ねえ?」
「……はっ!? あ、ああ、もういいぞ。あ、ありがとうな」
 声が震えているのが自分でも分かる。
「で、どうだった?」
「……33だった」
「33?」
「やっぱり、おまえは眼鏡をはずさないほうがいい」
 人気向上はどうやら無理のようだ……。 






シリアスのあとにギャグあり、とは言いませんが今度はいつもの路線に戻しました。さて、どこまでいけるかなあ。
そしてポン太さま、貴重なものをありがとうございました。
ひささま、感想どうも感謝です。牛乳利きですか、次は髭ミルクなんてどうでしょう。
ではでは。