雨の日の思い出 投稿者: まねき猫
雨の日の思い出


朝、玄関から出てみると少しだけ雨が降っていた。
“降る”というよりは“舞う”といった方が適切かもしれない、といった程度の霧雨だけど傘を持って出る。
お気に入りのピンクの傘を差して歩く。
やがて雨脚は強くなり、かなりものになってきた。
嵐とまではいかないけれど、かなりの豪雨に回りの見知らぬ生徒たちも自然と足が速くなる。
だけど私はゆっくりと、濡れたアスファルトを踏みしめている。

商店街につく頃には、歩いているのは私だけになっていた。
でもまだ始業まではかなりある。
普段この時間通ってる生徒は少しでも雨が静まるのを待っているのだろう。
まだ開いていない店々の間を私は無感動に、無表情に歩いている。

『…雨は嫌い?』

……私の言葉

『好きな奴なんていないだろ…』

……浩平の言葉
でも、私は浩平のその答えが少しだけ不満だった。
いつも変わったことをしでかしてみんなを笑わせる浩平。
だからあの時も、浩平ならいつもと違ったものの見方を教えてくれるかもしれないと思った。
そんな都合の良い答えを返してくれないと知っていたはずなのに…

何時の間にかあの空き地に来ていた。いや、空き地だった場所に…
そして思い出す、あの時も雨だった。
私が生まれて初めて絶望した日。
周りのみんなが次々と忘れていくなか、私だけは覚えていた。
わずかな希望にしがみついてこの場所へ来たのも雨の日だった。
そして、覚えていることが辛いとも感じた。忘れてしまえばいいと。
決まってその後、自分が嫌な女の思えて自己嫌悪にさいなまれた。
あの人が私を見ていないことを知っていたから。だからといって忘れても良いのかと…
けれども、どちらも私の本心だった。
そんな時だった、浩平が声をかけてくれたのも。

『…よお、何やってるんだこんな所で』

突然の闖入者に警戒の目で見ていた私に声をかけてくれた。
今にも泣き出しそうだったからだと浩平は言っていたけど、話し掛けやすいとは思えなかったから。
だから呼び止めたのかもしれない。……利用しようとしたのかもしれない、浩平を。

「みゃぁ〜」
ふと声がしてそちらを見やると子猫が居た。
首輪をしているようではあったけど、随分と汚れていて痩せ細っていた。
近づいてみても逃げようとしない。それどころかむしろ擦り寄ってくる。
……どうやら捨て猫のようだ。近くに置かれたダンボール箱がそれを証明してた。
喉を掻いてやると嬉しそうな顔をする。
「ごめんね。うちでは飼ってあげられないの……」
ひょっとしたら長森さんなら飼ってくれるかもしれないと思う。
浩平に聞いた話では三日連続で猫を拾ってきたこともあるといってたし。
話半分で聞いてたけど、本人が否定しなんいだから間違いはないだろう、そう思い抱き上げる。
ところが、何処かへ連れて行かれるということが分かったのだろうか、子猫は嫌がって腕から飛び出してしまった。
一気にダンボールの所へ駆け、私を振り返る。
「お前もここで待ってるの?」
「みゃぁ〜」
まるで答えるように鳴くと、子猫は箱の中に潜り込んだ。
ビニール傘がかけてある所を見ると他にも気づいた人がいるのかもしれない。
しゃがみこみ、ハンカチで箱の中の子猫を拭いてあげる。
この子も待っているのだろうか?居なくなった飼い主を。それともここから連れ出してくれる人を。

ふと見上げると、雨脚が弱まっていた。それを知ってなんだか寂しい気持ちになる。
雨は嫌いなはずなのに、なぜ寂しいんだろう?
もうあの人のことは思い出になっているはずなのに……
そこまで考えて見て気がついた。そうか、思い出だったんだ。

浩平と初めて会った日。
浩平の家でクリスマスを祝った日。
初めてキスをした日。
浩平も消えてしまうことに気づいた日。
忘れる決心をした日。
浩平の消えた、浩平の誕生日。

みんな雨の日だった。
だからこれは雨の日の思い出。私と浩平の、大切な思い出の日々。

不意に思策にふける私に、声がかけられる。
「茜、こんなとこで何やってるんだ?」
「こんなとこにいつまでもいると、風邪引くよ?」
突然現われた浩平と長森さんがいぶかしげにこちらを見ている。
ということはそろそろ行かないと学校が始まってしまうのだろうか?
「長森さん、お願いがあります」
「なに?里村さん」
「この子を……」
「あっ、子猫!どうしたの?捨てられたの?」
「その子のことなんですけど……」
「大丈夫!任せて!!……こんなに濡れちゃって、可哀相……」
そんな長森さんを尻目に浩平が私のそっと呟く。
「また、思い出してたのか?」
ちょっと心配そうな浩平に、私は微笑みながら答えた。
「はい。色々思い出してました」
「……そうか」
「浩平との……」
「え?」
「浩平と、ここで出会ってからのことを色々と」
浩平は一瞬驚いたような顔をしてから、やがて照れくさそうにそっぽを向いてしまった。
「嫉妬した?」
私の声に浩平は慌ててこちらを向く。
「そ、そんなことはないぞ。俺は茜を信じてたからな!」
「ほんとに?」
「ああ、ほんとだ!」
そのまま、浩平の目を覗き込む。浩平もここで負けてはならないとばかりに見つめ返してくる。
「どったの?浩平も里村さんも。なんか二人とも見つめあっちゃって?」
不思議そうに長森さんが問いかけると、とうとう堪えきれなくなった浩平が吹き出してしまった。まだ、若干顔が赤かったけれど。
私も知らず知らず笑っていたようで、長森さんが一人きょとんとしていた。

「って、時間!早く行かないと遅刻しちゃうよっ」
長森さんの慌てた声に私たちもようやく笑うのをやめ、学校に向けて走り出した。
「長森さん、鞄持ちます」
「え?でも、悪いよ」
「子猫、抱いてるから」
そういって、やや強引に鞄を受け取り浩平を追う。
長森さんの腕の中で子猫が一声鳴いた。

私はもう振り返らない。
でも、きっとまた雨が降ったら思い出す。
私たちの切なくて懐かしい、出逢いの思い出を……

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まねき猫「ふぃ〜やっと出来た」
住井「やけに時間がかかったな。それにこれも内容が・・・やめとくか」
ねこ「まあ、思い付きだ!考えてみたら雨ばかりだったからな。茜のイベントは」
住井「それはいいが・・・ゲストはどうした?」
ねこ「次回だ!・・・と思う。」
住井「思う?どういうことだ?」
ねこ「ちびあかねちゃんがつっこみ茜ちゃんをゲストに呼ぶ約束を取り付けたまでは良かったんだが・・・」
住井「なんかまずいのか?というより、ちびあかねって誰だ!?」
ねこ「接待と称して1号ちゃんと一緒に三人で甘いもの巡りに行ってしまった」
住井「甘いもの巡りって・・・それよりちびあかねってなんだ?そんなのいたか?」
ねこ「ちびみずかFCでONEキャラちび化計画がすすめられているのだ。私も某チャットで推進中だ!!」
住井「はた迷惑な・・・」
ねこ「そういう事を言う奴には。いつもの如く・・・あれ?」
住井「その手はもう食わん!このロープを引くのは俺の番だ!!」(グイッ)

バッシャァァァァァァァン

ねこ「言い忘れてたけど、今その罠整備中でな。引っ張ったとき真下に穴が空くようにしてたんだわ。って聞いてないね、もう」

(遠くから抗議の声)

ねこ「まあいいや、結果的にはいつもと同じだし。それでは皆さん、お元気で〜♪」