幸せの距離 投稿者: まねき猫代理
   幸せの距離


「必ず幸せにする。俺と結婚してくれ、茜」
 浩平の言葉は、いつもの公園でデートをしているときでした。
 真っ直ぐに私を見つめて紡いだ言葉。
 いつものふざけた口調ではありません。
 だから私も、真っ直ぐに浩平を見つめかえしました。
「……嫌です」
 私は率直な言葉を告げました。
「……」
「……」
 凍りつくような静寂。
 浩平は無言で私を見つめていました。
 やがて、静寂を破るようにため息をつき、
「……嫌、か? はは……振られたって事だな……」
 浩平は空笑いをしながら、背を私に向けました。
 その背中は心なしか小さく見えて、罪悪感をもたらします。
 私は目をふせて、
「……違います」
 浩平の背に向けて言葉を放ちました。
 ゆっくりと目を開けたら浩平は少しだけ、私の方を見ていました。
「……?」
 困惑顔の浩平の目を見つめ、言葉を紡ぎます。
「……幸せにして欲しいとは思いません。
 浩平の言葉はとても嬉しいです。
 でも、私は浩平に幸せにしてもらいたくはないです。
 私は……浩平と共に歩んでいきたいです。
 ……一方的ではなくて、浩平にも幸せになって欲しいです。
 一緒に幸せになろうというのでしたら……」
 言葉を続けようとする私を浩平は無言のまま抱きしめて、
「ああ、そうだな」
 そう呟きました。
 腕の中の暖かさを感じながら、
「……浩平は少し考えすぎです」
「そうかもな」
 表情の見えない言葉。
 でも、私にはそれだけで充分だから……。
「幸せになろう、茜」
「……はい」
 私は目をつぶりました。
 泣いているところを浩平に見られないために……

おわり

,,,,,,


  はじめまして〜、まねき猫代理です。
  初投稿、シリアス?な茜SSです。
  読んで頂ければ幸いです。

  追記

  ネットは自分で出来ないので、皆さんの感想は書けません(T−T)申し訳ありません。
  それでも良いから感想を書く、という方。本当にありがとうございますと言いたいです。

  私通(すみません、公共で)

  いけだものさん、吉田さん、藤井さん、千乃幸さん、いいんちょさん、もももさん、WTTSさん
  読んで頂いた上に、色々とありがとうございました♪
  いけだものさん、投稿することにしました。
  その節はありがとうございました♪