ある日の翌日≪前編≫ 投稿者: まねき猫
                  。。
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「ああは言ったものの、具体的にどうしよう・・・」
折原と長森さんの前で“脇役の星”になる事を宣言して、はや六時間あまり。
何もアイデアが浮かばない。思いつかない。ひらめきもしない!
「考えろ、考えるんだっ、何か方法はあるはずなんだっ」
俺は延々と悩みつづけた。これまでの一生で一番、そう誇れるぐらいに必死になって考えた。
でも、頭は真っ白なままだった。
だが、あきらめるわけには行かない。俺は俺であるために考えた。

青い空、白い雲、教室に響く教師の声。ただ黙々と写経するクラスメート達。
突然指され慌てる男子生徒、冷静に答えるほかの生徒。
時計はカチカチと無機質な音をたて、黒板は刻一刻と姿を変える。
教室内は教師の読経と、本をめくる耳触りな音しかしない。
ふと我に返る。
「ハッ、おれは・・・この程度の男だったのかーっ!?」
「住井、廊下で立っとれ」
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授業が終わると、長森さんが心配そうに話し掛けてきた。
「住井君、大丈夫?」
「長森さん、俺・・・俺は」
尋常ではない俺の雰囲気に押されてか長森さんはおびえたような顔をしている。
思い詰めている俺は気づかなかったが・・・
「俺は、いったいどうしたらいいんだーーーっ!!」
俺は再び教室を飛び出して行った。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・浩平」
「・・・なんだ」
「・・・わたし思うんだけど」
「・・・奇遇だな、俺もそう思う」
「あんたたち、お互いに考えてる事まで分かるの?」
「「変だと思わない(か)!?  住井(君)!!」」
「・・・それには賛成よ」
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教室を飛び出した俺は、氷上を探して学校中を駆け回った。
きっと彼なら、力になってくれるに違いない!!
だが俺は氷上のクラスどころか、学年も知らなかった・・・

一年の教室に行った。
ちょうど教室から出てきた女の子に聞いてみる。
「あ、ちょっと君」
『何なの?』
「このクラスに氷上という生徒はいないかな?」
『知らないの』
「一年で、そう言う生徒を知らない?」
うーー
『多分いないの』
「そう・・・ありがとな」
ふるふる
何故喋らなかったのかは分からないが、どうやら本当に知らないようだ。
これがパネル会話というものなんだろう。

今度は三年だ。偶然通りがかった女生徒にたずねることにする。
「すいません」
「どうしたの?」
「このクラスに氷上という生徒はいませんか?」
「いないよ」
「三年にいると思いますか?」
「わからないよ。でも聞いたことない名前だね」
「そうですか、ありがとうございます。迷惑でしたよね」
「そんなことないよ、お役に立てなくてごめんね」
何故か目の焦点が合ってなかった。まさか毒電波?

それぞれの学年に6,7クラスあるんだから、全生徒を把握しているはずはない。
そう思い、他の生徒にも聞いてみることにした。
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「おかしい」
一年にも、三年にもいないとは・・・
二年は確認していないが、その名を聞いたことはない。
俺が把握できない筈はないからいないんだろう。俺は情報収集には自信がある。
ふと気がつくと、俺は理科準備室の前にいた。
昨晩のことを懐かしく思い、中に入ってみることにした。

厚手のカーテンが締め切られ、沈黙に満たされた深い闇の中、俺は理科準備室で再び彼と向かい合っていた。
「やぁ、また会えたね」
「聞きたいことがあるんだ」
そう言ってゆっくりと歩み寄る。
「待ってくれないか?一つ言っておかなきゃならないことがある」
彼はそう言うと、おもむろに一枚の紙を取り出した。
俺はそれが気になり、足を速めた。
「住井君」
「なんだ?」
「非常に言いにくいんだけどね」
「何のことだ?」
「それ以上ちか・・・」
そこまで彼が言ったその時、俺の足元でカチッという音がした。
そして次の瞬間、俺は白い光に包まれた・・・


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目指せ!今年最後のSS!!というわけで狙ってみました。まねき猫です。
でも一つ間違うと年明け一番になってしまうような気もするけど気にしない。
何故なら、「今年一番!」はみんな狙ってそうだったからです。
他に狙ってる人がいたらどうしよう・・・
何故か続き物になってしまったので出来るだけ早いうちに出したいと思います。
あ、感想も近いうちに出します。もうちょっと待ってね!