『それは ある 聖夜の夜』  投稿者:風来のももも



白く染められていく商店街

朝日が射す中

赤く

黄色く姿を変えて

様々な表情で行き交う人を迎える

身を切るような寒さの中

人はそこに集まる

年に一度のイベントを控えて



「しかし、なんでこうクリスマスというだけで人が集まるかなぁ」
「雪なんだよ」
「ああ、雪だな。白くて冷たくて固い・・・固いっ!?」

バラバラバラバラ・・・・・・!!!

「痛てっ!! おいおいっ、雪じゃなくて雹じゃないかっ!!」
何時の間にか(あ、さっきか)雪は雹に変わっていた。
辺りは氷の粒が撒き散らされ、時として傘などに穴を穿っている。
「雪なんだよ〜」
「おいっ! これは雪じゃなくて・・・ええいっ、いいからこっちこいっ!」
俺は雹の降る中を走り回っているすずを捕まえ、近くにあった店に逃げ込んだ。
なぜかすずには一個も雹の爆撃はなかったようだ。これがヒロインの特権かっ!?
「う?」
いや、ただこいつの悪運が以上に強いだけだろう。そう決めた。今決めた。絶対そうだっ! そう

に違いないっ! そうじゃないと駄目なんだああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!
はぁ・・・はぁ・・・
「う? すずはすずなんだよ」
ああっ・・・俺の心の叫びを理解してくれる人はいないのかっ・・・?
<いるわけが無い。主人公の心の中はえてして笑いの的になるものである>
「くぅっ!  世の中すさんでるなぁ、おい」
「う〜・・・」
「ん? すず、何見てるんだ?」
すずの「じ〜」という視線を追うと、そこにはクリスマス用のデコレーションケーキが…
たしかに美味そうだ。だが、2人で食べるには大きすぎるぞ…
「う〜・・・」
「すず・・・欲しいのか」
「おいしそうなんだよ」
「いや、まあそれは認めるが・・・あんなに食べれないだろう」
「大丈夫なんだよ」
「ん〜・・・」

じ〜〜〜〜〜〜・・・・・・

うっ・・・! この小犬のような何かを訴える視線は・・っ!
駄目だぞ、俺っ! 今月は生活が厳しいんだっ! 時には厳しく行くべきだっ!
「すず。あれ食べたいか?」
「食べたいんだよ!」
「そっか、んじゃ買ってくるか」
・・・・・・
店を出るときには、すずの手には甘い匂いを漂わせる袋が握られていた。


「ケーキ、ケーキだよ〜」
願望のケーキを手に入れ、意気揚々と歩くすずの後ろを俺は青い顔で歩いてた。心境は言うまでも

なく、
『しまったあああああぁぁぁぁぁっ!!!!』
である。
こういう事で、俺はすずに勝てないのはわかっている。わかっているはずなのに、この心の奥底か

ら沸き上がってくる敗北感はなんだっ!?
ふぅ・・・俺もまだまだ修行が足りないな・・・
「まあ、クリスマスだし大目に見てやるとするかな」
 この時の俺は珍しく(?)豪気になっていたのだ。クリスマスというイベントがそうさせたのか

もしれない。


だが、すずの攻撃はそれで終わらなかったのだ。


「あれもほしいんだよ」
「おいしそうなんだよ」
「食べたいんだよ」
 etc etc・・・

俺はこのすずの攻撃の全てを、躱さず受け止めていったっ!
「神よっ! あなたは我を見捨てたのかっ!?」
今日のすずは手強い。いつに無くハイテンションだ。財布の中の軍資金も底を突き始めている。
これは、思い切って強く行くしかないっ! 次こそはすずを止めねば、俺達に明日はないぞっ! 

ファイトだ、俺っ! 頑張れ、俺っ!!
「あれもほしいんだよ」
「すず、もう俺達に残された軍資金は少ない。このままでは、俺達は路頭に迷う事になるだろう。

わかるな?」
「・・・うん、わかったんだよ・・・」
勝った・・・俺はついに勝利を手にしたんだーーーっ!!!
「おばちゃん、あれがほしいんだよ」
「はい、これね。(ぴ〜〜〜)円だよ、お嬢ちゃん」  ※あまりにも惨い内容なので一部編集し

てあります。
・・・・・・
なに〜〜〜〜〜〜っ!!!!?
すずが店のおばちゃんに差し出しているのは、間違いなくさっき俺が購入を阻止したはずの物っ!
まずいっ! さすがに(ぴ〜〜〜)円は今の俺の持つ、残った残弾全てを使用しないと撃ち倒せな

い強敵だっ! これだけは、たとえすずを引きずって行ってでも阻止しないとっ・・・!

じ〜〜〜〜〜〜・・・・・・

「う・・・っ!!」

じ〜〜〜〜〜〜・・・・・・

「・・・・・・(汗)」

じ〜〜〜〜〜〜・・・・・・

「・・・今回も・・・俺の負けか・・・」

そこを立ち去るときには、すずの手にまた1つ荷物が増えていた。


俺は、すぐさま商店街を立ち去らないと俺の人生は終わりを迎える事を悟った。
全てを悟った俺のとるべき行動は1つだった。



「じんぐるべる〜 じんぐるべる〜」

俺達は商店街をでて、帰宅するために歩いていた。
当然、俺がむりやり引きずっていったからだ。
だが、すずはいたって上機嫌だ。歌を歌ったりなんかしてる。ほしいものは大体手に入ったからだ

ろう。

「すずが来る〜 笑いの嵐がやって来る〜 うーー!」
「ぶっ! なんだそりゃ?」
「すずの歌だよ」
「・・・まあ、タイトル通りだが・・・うーーってなんだ、うーーって・・・」

そして再び歩き出す。

「じんぐるべる〜 じんぐるべる〜 すずが来る〜 主役を蹴倒しやって来る〜」

おいおい・・・俺は蹴倒されるんかいっ!
おれの心の叫びは何処吹く風と、すずは歌を続ける。


朝起きて〜
食事して〜
ゲームして〜
食事して〜

散歩して〜
食事して〜
楽しみなんだよ「くすります」〜

うーー!


「まていっ!! 『くすります』は違うだろっ!!『くすります』はっ!!」
「これでいいんだよ」
「・・・いいのか?・・・」
良いのか悪いのかはわからないが、まあ納得してることだしな・・・
それより、こいつは食ってばっかりだな・・・


そして、すずの歌はサビに入り・・・


じんぐるべる〜
じんぐるべる〜
すずが来る〜
お腹を空かせてやって来る〜

うーー!

じんぐるべる〜
じんぐるべる〜
すずが来る〜
今日も元気に「くすります」〜〜



「・・・・・・」
俺は立ち止まる。
「う?」
それを見てすずも立ち止まる。
「早く帰ってご飯食べるんだよ」
俺はこの時はっきりとわかった。もっと早く気づくべきだったかも知れない。
すずは・・・すずは・・・


『クリスマス』を『食い倒す』つもりらしい




※謝罪
下の投稿が、2重投稿になってしまいました。
削除もうまくできないようです。
ご迷惑をお掛けしました。


・・・なんでだ? なんで僕がSSを描くとこうなるんだ?
ちびみさ「知らないよ〜・・・たぶん、習性なんじゃないかな?」
習性ときたか(^^; まあ、そうなんだろうな。
ちびみさ「始めてのすずうたSSがこれじゃあだめだよ」
そう言うな。最初のONESSもMoon.SSもこんなもんだった(笑)
ちびみさ「余計に悪いよ〜」
もうお気づきかと思いますが、第一弾から第三弾、そして「モテナイ男どもの歌」と、みんなが歌

っている歌は、某有名クリスマスソングの替え歌です。
ちびみさ「・・・普通気づくよ・・・「ジングル」の時点で・・・」
うるさいな。まあ、間違っても口ずさんだりしないように(^^;
ちびみさ「普通しないって」
さて、このSSには主人公とすずしか出てきません。これには大きな理由があります。
ちびみさ「その理由って?」
まだすずうた全然クリアしてないんだ。下手なのかな? てへっ
ちびみさ「てへっ じゃないよ〜」
だって、何回やっても、BADなんだぞっ!! もう10回以上挑戦したぞっ!!
ちびみさ「・・・下手なんだね・・・」
最近のゲームがシビアなだけのような気もするが・・・
ちびみさ「最近のゲームがどうこう言える年じゃないよ?」
ぐはああああああぁぁぁぁぁぁっ!! んっんっん・・・そういうことは言っちゃだめなんだよ・

・・
「なんか嫌な予感がするんだよ〜」
大人しく捕まれぃっ!!
「逃げるんだよ〜!」

バタンっ!!(扉が閉まる)

なっ!? 仮眠用別荘−永遠−に逃げ込むとはっ!? んな人を選ぶような逃げ方は反則だぞっ!

! 

『忘れたころにやってくるんだよ〜』

んな、天災じゃあるまいし・・・何もしないから出て来い・・・

『ほんと?』

ほんとだ。

『ほんとなんだね』

ぱかっ!(扉が開く)

うそ(^^) がしっ!
ちびみさ「うそつきだよ〜〜〜」
はっはっは、−永遠−は封印して・・・ぺたぺたっと・・・
ちびみさ「あ〜・・・最後の砦だったのに〜・・・」
なんだそりゃ(^^; バカなこと言ってないで、締めるぞ。
ちびみさ「そうだね」
では、どうせもともと2週間に一度ぐらいしかUPしてないんだけど、冬休みに入りま〜す。
ちびみさ「・・・別に変わったものじゃないんだけどね〜。UP遅いから」
ぐぅっ・・・ま、まあ、1/8(予)まで、さよならです。
ちびみさ「(予)ってなに?」
僕は学生失格身分だからね。いつ冬休みが終わるかも、人に聞かなきゃわかんないんだ(笑)
ちびみさ「笑い事じゃないよ〜」
ま、そういうわけで。長々(?)と3連続で書いたSSもこれがラストです。テスト期間中にも関

わらずやっちゃいました。
ちびみさ「おばかだよ。これでテストの結果が・・・」
聞きたくないっ!! では、メリー・クリスマス&良い年末をっ!! アデュ〜!
ちびみさ「またね〜」