ああっ瑞佳さまっ(よんっ)  投稿者:風来のももも


さて、世間は学園祭の準備で慌しく過ぎているころ、タク園の片隅にある『月科』では…
郁未「あ、やっと出番みたいね」
晴香「さすがに、もう出番がないかと思ったわ」
由依「なにせ、次回次回で結局3回も出番なしですから」
と、いうことで第一回から伏線(?)張りつづけてはや4回。
やっと、『やつら』こと『月科』の出番になったわけです。

ビー! ビー! ビー!

教室に警告音の音が響き渡る!
郁未「あ、チャイムね」
晴香「はあ。また五月蝿いのがくるのね…」
そう、『月科』ではチャイムの代わりに警告音がなるのだっ(笑)

ガラッ!

高槻「今日もクズ共が集まってるな」
彼こそが、能力を持つ生徒の集まる『月科』の教師高槻である。
高槻「さて、世間は学園祭を迎えたようだが我々のすべき目的は…天沢。言って見ろ」
郁未「『おね科』のやる出し物を妨害すること」
晴香「こう、毎日毎日言わされてたら覚えるわよ…」
高槻「ん?何か文句でもあるのか、巳間」
晴香「い〜え、別に」
高槻「ふん、クズが…」
由依「は〜い」
由依が手を上げる。
高槻「ほう、カスが意見を述べるのか。いいだろう、言って見ろ」
由依「妨害って、具体的にはどうするんです?」
高槻「カスの割には、いい所に目をつけたな。よし、ではこれを見ろ」

ガサッ

高槻が大きい紙を広げる。それには、『タク園』の全体図と細かい字でなにか書かれている。
高槻「これが、今回の学園祭における出し物の場所を記した図だ」
郁未「珍しく、手の込んだことしてるわね」
晴香「ほんと。高槻らしくないわね」
高槻「さて、目標とするのはこの…この…なんだ?読めんじゃないか。巳間ああああぁぁぁっ!!」
晴香「なによ」
高槻「お前じゃない」

シュタッ

天井から一人の男が降りてくる。
巳間良祐である。
高槻「この字が読めんじゃないかっ!まったく、クズはクズだな。使い物にならんなっ!」
良祐「この字は、演劇部です。ここまでハッキリ書いているのになぜ分からない?」
高槻「俺は難しい漢字なんか分かるわけが無いだろうがっ!それぐらいわかれ、カスがっ!」
良祐「読めないほうが問題だ…とりあえず教えたからな」

シュタッ

良祐は、また天井に戻っていった。
晴香「なるほど。良祐が書いたものだったのね」
郁未「それにしても、あれくらいの漢字がよめないなんてね」
由依「わたしよりバカですね。きっと」
晴香「由依。あんた、自分がバカだって自覚してたのね」
由依「わたしはバカじゃないですよっ」
晴香「でも、「わたしより」ってことは自分もバカじゃないとねぇ」
由依「う〜っ」
郁未「まあまあ、二人とも…」
高槻「え〜いっ!黙って聞けっ!ゴミ共がっ!!」
無視され続けていた高槻が、ついにちょっとだけ切れた。まあ、常時切れている気もするが…
3人はしかたなく、口を閉ざす。
高槻「とりあえず、妨害は演劇部を狙うことにする。わかったな、ゴミ共」
郁未「なんで演劇部にしたのかしら?」
晴香「たぶん、学園祭で一番大きいイベントだからじゃない?」
高槻「ふん、その通りだ」
由依「でも、どうやって妨害するんです?」
高槻「それは自分達で考えてするんだな。以上だっ!」

ガラッ

高槻は教室を出ていった。
教室には、郁未たち3人しか居ない。
郁未「さて、と。どうする?」
晴香「どうするもなにも…やるしかないでしょ?不本意だけど、あいつは教師なんだから」
由依「だれが、あんな人を教師にしたんでしょう?」
郁未「さあ?どっかの変な奴が原因なのは確かね」

変な奴「っくしっ!…あ〜…誰か僕のうわさでもしてるのかな?」

晴香「まずは、どうやって演劇部の妨害をするかね」
由依「は〜い」
晴香「由依、なんか良い意見でもあるの?」
由依「『おね科』の人を買収するっていうのはどうでしょう?」
晴香「はあっ?」
郁未「買収って…いったい誰を?」
由依「大丈夫です。心当たりがありますから」
由依の顔は自身満万の笑みを浮かべている。
晴香「まあ、それで買収がうまくいったとしてどうするの?」
郁未「もし、買収がうまくいくなら手はあるわ。その人に演劇部の代表を押さえてもらって、わたし達を主演にもっていくの」
由依「ってことは、もしかしてわたし達が演劇をすることになるんですか?」
晴香「却下ね」

………
と、まあそんなこんなで話し合いが3時間にわたって続く。
結局、良い案が出ることなく『おね科』の人を買収して、演劇部の代表を押さえて『月科』のメンバーが主演をする。という案で決定した。

さて、由依は買収する人をもとめて『おね科』へ向かった。
そして、たどり着いたのはっ!!
『科学部』の部室まえだった。
由依「すみませ〜ん」
住井「はいはいっと…ん、見たこと無い娘だな…ま、いいか。なんだ?」
住井は由依を怪しむことなく受け入れる。住井らしいと言えばそれまでだが。
由依「学園祭について頼みたいことが…」
住井「学園祭について?ま、いいが…で、用件は?」
由依「ここでの立ち話もなんですので中で…」
住井「そういう内容か…よし、中には入れ」

そして、二人は『科学部』の部室の中に消えていった。
そして、二人だけの密談が始まる。

住井「で、用件はなんだ?」
由依「はい。実はかくかくしかじかで…」
住井「なるほど。これこれうまうまということか」
よくわかるなぁ。と思うかもしれませんが、これも日本文化の生み出した極みの賜物です。
由依「ええ。ですから、演劇部の代表者をうまく押さえてほしいんですが?」
住井「ま、条件次第だな」
由依「そう言われると思いまして、これを…」
由依はトランクを取り出す。そして、ゆっくりと蓋を開ける。
中には、長方形の紙束が収められている。
住井「よし。いいだろう」
由依「では、お引き受けくださいますね?」
住井「もうひとつ条件をつけたいんだが…」
由依「もうひとつ?なんでしょう?」
住井「新しい脚本を書かせてくれ」
由依「…………」
由依は困った顔をして硬直している。
住井「…………」
住井は笑みを浮かべたままじっと待っている。
…………
3分経過。
どこからともなく、カップラーメンの香りが漂ってくる。
…………
5分経過。やっと由依の硬直が解ける。
由依「ま…まあ、いいんじゃないですか?たぶん……」
住井「よしっ。商談成立だ」
住井は由依の手を握ってぶんぶん振る。
由依はちょっと迷惑そうだ。
由依「では、宜しくお願いします」
住井「おう」
由依「では…」
『科学部』の部室を立ち去ろうとする由依に、住井が声をかける。
住井「そういえば」
由依「はい?」
住井「なんで俺を選んだんだ?」
由依「買収に応じてくれそうな、お金に困っていそうな人No1だったからです」
住井「なるほど」
そうして、由依は『月科』へ帰っていった。
後にはあの説明で納得してしまった自分に苦悩する住井だけが取り残されていた。




ども。風来のもももです。今回も時間が以上にかかりました。
ちびみさ「その割に長くないんだよね」
ぐはあっ!う…ぐ…と、とりあえず、やっと『やつら』の正体が明らかになりました。
ちびみさ「みえみえの落ちだったかもね」
うみゅ。でも、これで、HPのSSで張ってる伏線が消えかかってしまった…
ちびみさ「あ、さりげなく宣伝してるし」
いいじゃないか。別に…
ちびみさ「で、今後の展開は?」
住井がすっぱり裏切ったからなぁ(笑)そろそろ、学園祭に突入だな。
ちびみさ「ちゃんと考えてるんだよね?」
まあ、それなりに。
ちびみさ「じゃ、すぐに出来るんだね?」
…………さあ?
ちびみさ「缶詰状態になってみる?」
それはいやあああぁぁぁぁっ!!!
ちびみさ「それはいいけど…4時半から用事じゃないの?」
しまったああああぁぁぁぁぁっ!
ちびみさ「ぎりぎりだね」
くぅっ!!急いで次だ、次っ!!
ちびみさ「りょーかいっ」
http://www2.freeweb.ne.jp/~ensyanto