浩平無用! in 絆<24> 投稿者: 風来のももも
最終話  『そして…』
住井「ふ…皮肉なものだ…折原を倒すためにお前をさらったのに…」
沙夜香「……」
住井「そのお前に邪魔されるとはなっ!!」
   ヴォンッ!!!
   住井の手に光が燈る。
   沙夜香は静かに目を閉じる。
沙夜香(分かる…自分の中にもうひとつ…世界が広がっているのが…)
住井「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」
   キュドドドドドドド…!!!
   沙夜香に無数の光弾が叩きこまれる。
   辺りの地面がえぐられ、砂が舞い上がる。
住井「どうだ…?」
   砂埃がはれたそこには、無傷の沙夜香の姿が…
住井「なっ…くっ、強力なエターナル・エネルギーがバリアーの役目を果たしたか…!」
沙夜香(永遠に広がる世界…私だけの世界…私に力を貸してくれる世界…)
   
   フォォォォォォ…

   沙夜香の周りの大気が渦を巻き始める。
沙夜香(分かる…この大きな力の使い方…大切なものを守るための力…)
住井「な…さらに力が上がるのか…!?」

   スゥ…

   沙夜香は目を開く。
沙夜香「力を貸してっ!大切なものを無くさないためにっ!大切なものを守るためにっ!!」
   キュィィィン!!!
   沙夜香の右手にエターナル・エネルギーが集まっていく。
住井「こ…これは…っ!!」

七瀬「エターナル・エネルギーが…」
みさき「物質化してゆくよ…」
浩平「う…」
七瀬「あ、気づいたみたいね」
みさき「うん、そうみたいだね」
浩平「くっ…母さんは…?」
七瀬「さすがは折原の母親ね…すごい力だわ…」

沙夜香「ああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
   バチッ!!バチバチッ!!!
   沙夜香の右手の中に、エターナル・エネルギーが凝縮し、帯電する。
沙夜香「私に、大切なものを守る力をっ!!!」
   
   カッ!!!!

   閃光が迸る!

   シュゥゥゥ…

   そして、沙夜香の右手には一本の剣の柄があった。

住井「そ…それは…っ!!!」

七瀬「エターナル・ブレードっ!!?」
みさき「住井君に折られた浩平君のといっしょだよっ!!」
折原「まさか…あれがこうやってできたとはな…」

沙夜香「悪いけど…あなたを倒させてもらうわっ!!」
   ヴォンッ!!
   エターナル・ブレードから光の刃が伸びる。
住井「くっ!!」
   ヴンッ!!
   住井もエターナル・エネルギーの剣を構える。
沙夜香「はぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
住井「おぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
  
   ギィィィィンッ!!!

   二つの刃が交じり合う。
沙夜香「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」
住井「おぉぉぉぉぉぉっ!!!」

   ぐ…ぐぐ…

住井「なっ…押される…っ!?」
沙夜香「今…この世界には私の大切なものが二つもあるの…」

   ぐぐぐ…ぐぐ…

住井「ぐ…お…っ!!」
沙夜香「その二つを守るためには…あなたに負けるわけにはいかないのっ!!!」

   ザシュッ!!!

   エターナル・ブレードの刃が住井を切り裂く!!

住井「ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

   ドサッ…

   住井はその場に倒れこむ。

七瀬「あ…!そろそろ本気で急がないとゲートが…!!」
みさき「そうだねっ!!」
浩平「急ごうっ!!」
七瀬「沙夜香さん、ゲートが閉じるわ!急いで中にっ!!!」
沙夜香「分かったわっ!!!」



繭〔みゅ〜〜〜(まだ…でてこないの…?)〕
澪『大丈夫なの。きっと戻ってくるの』
   澪は既に『弥勒砲』の設置を終え、発射体制に入っていた。
   そして、エネルギーも臨界点に達していた。
繭〔みゅ、みゅみゅ…?(そっちは、持ちこたえてくれそう…?)〕
澪『大丈夫なの。ゲートが閉じるまではなんとかしてみせるの』



七瀬「ふう…ほんとにぎりぎりだったわね…」
   そこには、ほとんど閉じてしまったゲートがあった。
みさき「まだ、何とか通れそうだね」
浩平「時間が無い。急ごう」
七瀬「そうね。沙夜香さんっ!早くっ!!
沙夜香「(コクン)」
   バッ!
   沙夜香はエターナル・エネルギーの力でゲートに向かって跳ぶ。
七瀬「じゃ、行くわよっ!!」
   シュン!
   七瀬はゲートの中に入る。
みさき「先、行かせてもらうね」
   シュン!
浩平「母さんは…っ!!危ない!!!」
沙夜香「えっ?」
住井「お前達だけは帰すものかっ!!!」
   ガシッ!!
   住井が沙夜香の髪を掴む!
沙夜香「っ!しつこいっ!!!」
浩平「でやぁぁぁっ!!!」
   げしっ!!
   浩平は住井の顔面を蹴る!
住井「ぐぉ…!」
   住井の手が沙夜香の髪から離れる。
浩平「仕方ない…ごめん…!!」
沙夜香「え…」
   がちゃっ。
   どんっ!
   浩平は、沙夜香の手からエターナル・ブレードを抜き取り、沙夜香を、ゲートに入れる。
沙夜香「こうへ…」
   シュン!
   沙夜香の姿がゲートの中に消える。

   そして…

   ヴォ…ン

   ゲートが閉じる…

住井「馬鹿な奴だな…お前は…」
浩平「こうでもしないと、お前向こうの世界までついてきただろ?」
住井「まあ…な」
浩平「ま…なんにせよ最後の決着にはぴったしの場所な…」
   チャキン…
   エターナル・ブレードを構える。
住井「そうだな…」
   ヴン…
   そして、住井もエターナル・エネルギーの剣を構える。
浩平「はああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
住井「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
   二人が剣を振り上げる!



   ヴォ…ン
繭「みゅ、みゅ〜〜〜(間に合わなかったっ!!?)」
澪『もう持たないの!!!』

   ヴィィィィィィィッ!!!!!!

   『弥勒砲』は、エネルギー・チャージの限界を超えている。
繭〔みゅみゅっ!!!(だめっ!発射する!!)〕

   キュオオオオオオオオン!!!!!!!!!

   『弥勒砲』から、閃光がゲートのあった位置を目掛けて飛翔する!



浩平「はああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
住井「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」

   ガキィィィィィィン!!!

   二つの剣はぶつかり合い…

   キュオオオオオオオオン!!!!!!!!!

   二人の姿を『弥勒砲』の閃光が包み込む…

浩平(くっ…ここまでか…)

   大丈夫だ…    お前は俺が助けてみせる…

   しかし…    命をかけてお前を守りたいと思うとはな…

   血は…    争えないものだな…

   そして…

   消滅…


   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   
沙夜香「もう…元の時代に帰るの…?」
七瀬「あたし達は、ほんとはここにいちゃいけないから…」
みさき「沙夜香さん、私達がこの時代の人じゃないって知ってたんだね…」
沙夜香「ええ…向こうの世界に行って自分の未来、見ちゃったから…他の人達は?」
七瀬「一足先に未来に帰ったわ…あたし達は事後処理をしないとね」
沙夜香「私の記憶…消さないといけないんでしょ?」
みさき「……」
七瀬「未来に影響が残ったらいけないみたいだから、最低限二人の記憶は…」
みさき「でもっ、沙夜香さんが覚えていたいって言うなら…」
沙夜香「ううん…大丈夫…私には直之君がいるから…」
   直之は沙夜香に抱きかかえられている。
   意識はまだ戻っていない。
七瀬「じゃあ…」
   ピッ…
   沙夜香と、直之の額に繭の造った『記憶消去チップ』が貼り付けられる。
みさき「あ…」
   フュン…
   みさきの姿が消える。
七瀬「もう、時間みたいね…」
沙夜香「七瀬さん…これを…」
   カチャ…
   沙夜香は剣の柄を七瀬に差し出す。
七瀬「エターナル・ブレード…いいの?」
沙夜香「ええ…きっと、あの子に必要なものだから」
七瀬「ん…じゃ、渡しておくわ」
沙夜香「ありがとう」
七瀬「じゃ、そろそろ行かないと…」
沙夜香「あの…っ」
七瀬「?」
沙夜香「あの……あなた達が来てくれて…浩平の傍にいてくれて…本当に良かったって思う…」
七瀬「沙夜香さん…」
沙夜香「…ありがとう…」
   沙夜香の目から銀色の雫が零れ落ちる。
七瀬「…こちらこそ…」
   ヒュイィィィ…
   七瀬の体を光が包み込まれて行く。
沙夜香「また…会えるかな…?」
七瀬「…信じていれば…きっと…ね」
   
   フュン…
   
   そして、七瀬の姿が消える。


   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


浩平「ふぁ〜〜〜…今回はきつかったな〜〜〜」
繭「みゅみゅ(よく助かったわね)」
澪『ほんとなの』
浩平「あのとき…藤隆が助けてくれた気がするんだ…」
茜「…あの世界は藤隆さんそのものですから」
詩子「藤隆君に感謝しなきゃね」
浩平「ああ…結局、あいつにはかりを借りっぱなしだったな」


   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


   んぎゃ〜…   んぎゃ〜…

直之「沙夜香…元気な男の子だ…」
沙夜香「よかった…無事…生まれてくれて…」
直之「ああ…そうだ…名前はどうする?」
沙夜香「もう、決めてるの。男の子だったら『浩平』、女の子だったら『みさお』って…」
直之「じゃ、『浩平』か…いい名前だな」
沙夜香「(コクン)」
直之「そうか。『浩平』か…きっと良い子に育つぞ」
沙夜香「ええ…そして…きっと良い人達に巡り合える…」



人はみんな、自分の心の中に永遠の世界を持ってるのだと思う…

そして、悲しいとき、寂しいとき、辛いとき…

そんなときに人は永遠の世界に訪れるのだろう…

エターナル・ブレードは、永遠の世界を構成している物質を放出する武器だ…

もしかしたら、母さんはあの時エターナル・エネルギーを大量に使ったから…

悲しみに耐えられなかったのかもしれない…

今でも俺を捨てていった母さんを少なからず許せない気持ちはあると思う…

でも、いつかきっと許せる日が来ると思う…

昔の写真に写っている家族4人の笑顔は…

幸せな時を一緒に過ごした証拠だから…




                             <浩平無用! 完>




ももも「長らくお待たせいたしました!ついに『浩平無用!』シリーズ一応完結です!」
ちびみさ「ほんとに長かったね。でも、一応ってなに?」
ももも「気が向いたら、第3部を書くかもってこと。」
ちびみさ「『浩平無用!』が第1部で、『in 絆』が第2部なんだね」
ももも「そういうこと。では、ここで登場人物の名前を考えてくれた作家さんに感謝をっ!」

   将木我流さん:沙夜香
   かっぺえさん:直之
   藤井勇気さん:藤隆

ももも「3人のSS作家の方々、どうもありがとうございました!」
ちびみさ「ありがと〜〜〜♪」
ももも「さて、次なるSSの予定ですが…」
ちびみさ「そういえば、そんなのもあったね。何ヶ月前だったかな?言ってたの」
ももも「ぐ…忘れた…。とにかく!次のSSの予定は『ああっ瑞佳様!』です」
ちびみさ「わ〜♪(どんどん←太鼓)」
ももも「この題の通り、『アレ』のパロになると思いますが…なにぶん、僕のSSですから…」
ちびみさ「どうなるかは予想不可能だね」
ももも「う…まあ、ね。一応概観はできてるんだけど、話はひとつも。だからね」
ちびみさ「なんか…ネタばっかり溜まってるね…」
ももも「うみゅ…『ブレイカーズ』の続きもタクのGAMEが増えてキャラが揃ったらやりたいし…」
ちびみさ「『某なんとか・サーガ』のパロも概観だけならできてるんだよね」
ももも「うみゅ…大変だねぇ〜…」
ちびみさ「人事みたいだよぉ〜」
ももも「さて、このたびHPなるものを開設しました」
ちびみさ「『浩平無用!in 絆』の連載期間が長すぎて、忘れた人」
ももも「前のが読みたいっていう人がいたら来てみてください。過去のSSを全てUPしてます」
ちびみさ「そうじゃない人も来てくれるとうれしいよ〜」
ももも「人気投票なんかもしてますが、人が来てくれないと意味がないもので…」
ちびみさ「あ…そろそろ10KBだよ。すごいね。過去最高だよ」
ももも「ほんとだ…って所で、今日はここまで!アデュ〜」
ちびみさ「ばいば〜い♪」
   
PS:そろそろ『夏休み』なるものに入るので、『ああっ瑞佳様』はそれからになります。


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