浩平無用! in 絆 <23> 投稿者: 風来のももも
第23話  『覚醒』
住井「・・・・・・」
 
   ドンッ!!
        ドンッ!!

  住井の手からエネルギー塊が次々と、沙夜香を庇う直之めがけて飛来する。
直之「く・・・っ!!」
住井「まだ粘るか・・・なら、これならどうかな・・・っ!」
  住井の手に強い光が燈る。
直之(もうだめか・・・)
住井「死ねぃっ!!」
  
  ギィィィンッ!!!

直之「・・・あ・・・」
住井「何・・・っ!?」

  ヴヴヴヴヴヴ・・・

七瀬「どうやら・・・間に合ったみたいね」
浩平「間一髪ってとこだな」
みさき「危ないところだったね」
  住井の放ったエネルギー塊は七瀬の構えた不可視の力の剣によって、受け止められていた。
住井「きさまら・・・どうやってここに・・・」
浩平「教えてやるもんか」
七瀬「折原・・・住井君の注意を引き付けるから・・・」
浩平「ああ・・・親父達のことは任せとけ。剣のない俺じゃどうしようもないからな」
七瀬「以心伝心・・・悪い気はしないわね。じゃ、行くわよっ!」
  七瀬は剣を構えて住井に切りかかるっ!
住井「ふん・・・まずは七瀬さんからか・・・」
みさき「援護するよっ!」
七瀬「先輩は二人の治療をお願いっ!」
みさき「分かったよっ」

浩平「くっ・・・二人とも気を失ってる・・・」
みさき「どう?二人の様子は」
浩平「かなりやられてるな」
みさき「わかったよ。じゃ、早速治療を始めるよ」
浩平「ああ。頼む」
みさき「まかしといてよ」

七瀬「はあああぁぁぁっ!!!」
  ギンッ!!
     ガガガガガガッ!!!!!!
住井「甘いわっ!剣道ごときが実践で通用するかっ!」
  ガキッ!
       キィィィンッ!
七瀬「分かってるわよっ!だからこういう手を使うのよっ!!」
  ヴォンッ!
  七瀬の空いていた手に、もう一本の不可視の力の剣が現れる。
七瀬「てやぁぁぁっ!!!」
  斬ッ!!
住井「がっ・・・!!」
七瀬「奥義!連環刃舞っ!!!P+P+P+K(笑)!!!」
  ドガドガドガッ!!!
       ズバシュッ!!!
  七瀬の連続斬りが住井を襲う。
住井「ぐはあああぁぁぁっ・・・・・・」
  ドサッ・・・
  住井は後ろに倒れる。
浩平「気になって来てみたが心配するまでもなかったな」
七瀬「まだ・・・みたいよ・・・」
  ズ・・・ズズ・・・
  住井の体が起き上がる。
住井「さすがに・・・少し効いたぞ・・・だが、不可視の力ごときで俺を倒せると思うなよ・・・」
七瀬「・・・やっぱり、逃げ切ることを考えた方が良さそうね」
浩平「・・・だな」
七瀬「もうすぐあたし達の通ってきたゲートが閉じ始めるわ」
浩平「そのときがチャンスってことか」
七瀬「折原は、いつでもここから脱出できるように準備してて。住井君はあたしがなんとか足止めしとくわ」
浩平「大丈夫か?」
七瀬「なめないで。あたし七瀬なのよ」
浩平「そうだったな・・・じゃ、任せたっ!」
  ダッ!
  浩平はみさき達の所に戻っていく。
七瀬「・・・任されました・・・っと」
住井「さて・・・そろそろ本当に決着をつけようか。遊んでばかりもいられないからな」
七瀬「悪いわね。そう言うわけにもいかないのよ。もう少し遊んでもらうわ!!」
住井「面白い・・・どこまで持ちこたえられるかな!?」

浩平「みさき先輩!二人の様子は?」
みさき「治療は終わったよ。直之君の方は気を失ってるだけみたいだけど・・・」
浩平「だけど?」
みさき「沙夜香さんの方は単に気を失ってるだけじゃないみたいだよ」
浩平「どういうことだ?」
みさき「はっきりした事はわからないけど、自分の殻の中に閉じこもってる状態みたいだよ」
浩平「そうか・・・そうだ、みさき先輩。ここから脱出する手はずだけど・・・・・・」

七瀬「・・・・・・」
住井「・・・・・・」
  二人は少しずつ間合いを詰めて行く・・・
七瀬(まずいわね。これじゃ、勝負が一瞬でついちゃうじゃない・・・)
  七瀬の目的はゲートが閉じ始める時まで、住井の足を止めること。
  一瞬で勝負がついては足止めにならない。
七瀬(さて、どうしようかしら・・・)
住井「・・・っ!!!」
  住井が、七瀬の注意のそれた隙をついて斬りかかるっ!
七瀬「くっ!」
  バッ!
  間一髪でその斬撃をかわす!
七瀬(なら・・・この方法で・・・っ)
  
  キュドドドドドドドドド・・・・・・

  七瀬は住井と自分の周りに無数の不可視の力を打ち込む。
  あたりに砂塵が舞い上がる。
住井「それで隠れたつもりか・・・あまりにもおそまつだなっ!!」
  ドシュッ!
  住井の手からエネルギーの線が放たれる。
七瀬「当たらないわねっ!」
  住井がエネルギーを放った方向から逆の位置から七瀬が身を躍らせる!!
住井「予想範囲内だ・・・」
  ブワッ!!
  住井の体から大量のエターナル・エネルギーが放出される!
七瀬「なっ・・・!?」
  七瀬の体が吹き飛ばされる。それと同時に砂塵も。
住井「言ったはずだ。おそまつだと」
七瀬「っ!・・・まずいわね・・・これは」
住井「さあ・・・覚悟はいいか・・・」
  パシッ・・・
  かすかな音が七瀬の耳に届く。
七瀬「・・・・・・」
  七瀬は上を見上げる。そして、笑み。
七瀬「覚悟?そんなもの・・・するわけないでしょ!!」
  その瞬間!
  
  バババババババババッ!!!

  空に電磁波が入り乱れる!!
住井「なっ!?あれは・・・ゲートかっ!そうか、おまえ達はあれを使って・・・!!!」
七瀬「折原っ!!今よ!!!」

浩平「きたっ!みさき先輩、二人を!!」
みさき「うんっ!」
  気を失ったままの二人を担いでゲートに向かって浩平とみさきは走る!

住井「ならば、あのゲートを壊せばっ!!」
七瀬「させないわよっ!!」
住井「ふっ、俺は空が飛べる。七瀬さんよりも速く。これがどういう事かわかるかな?」
七瀬「な・・・っ!」
住井「ゲートは上空!空が飛べる俺の方が有利ってことだ!!」
  ギュンッ!!
  住井の姿がどんどん小さくなる。
七瀬「油断したわっ!とりあえず、折原のところに・・・」

浩平「あれは!!」
みさき「住井君っ!!」
  二人の視界にゲートに向かう住井の姿が映る。
浩平「しまった!!住井はゲートを破壊するつもりだっ!!」
みさき「それじゃ、わたし達が帰れなくなるよ〜」

住井「ふっ・・・これで、終わりだぁぁぁっ!!!」
  住井が剣をゲートに向かって振りかぶり、そして振り下ろそうとする!
  そのとき!
浩平「させるかーーーーーーっ!!!」
  がしっ!!
  浩平が住井を羽交い締めにする!
住井「なにっ!?なぜお前がっ!!?」
  グラッ
  住井がバランスを崩す。そして、落下。
  その刹那、住井の目に投擲体制のみさきの姿がうつる。
住井「そうか・・・みさき先輩がカタパルトって訳か・・・!!」
浩平「へっ・・・そう思い通りになると思うなよ・・・」

  ドーーーーーーンッ!!!!!!

  墜落。
七瀬「折原っ!!」
みさき「浩平君っ!!」
  そして、粉塵が風に流される・・・
  そこには浩平と倒れている住井の姿があった。
七瀬「どうにか無事みたいね・・・」
みさき「無茶だよって言ったのに〜・・・」
浩平「七瀬・・・不可視の力で剣を造ってくれ」
七瀬「いいけど・・・」
  ヴォン
七瀬「はい」
  七瀬は剣を折原のいる地面に向かって投げる。
  ザクッ
浩平「悪いな」
七瀬「でも・・・どうするの?」
浩平「俺が住井を食い止めている間に・・・二人を頼む」
みさき「でも、住井君気を失ってるんじゃ・・・?」
浩平「こいつがそんなタマかよ・・・なあ?」
住井「気づいてたのか・・・」
  ズ・・・
  住井が体を起こす。
浩平「ま、お前のことだからな。そういうことだ。七瀬、頼んだぞ!!」
  ザッ
  浩平は住井の懐に踏み込むっ!!
住井「速い・・・っ!!だが、所詮不可視の力の剣だ!」
  ギィィィンッ!!
浩平「くっ・・・!!七瀬!みさき先輩!早くっ!!」
七瀬「っ!・・・わかったわ!」
みさき「浩平君、じゃ先行くね!」
  タッ!
  二人はゲートを目指して飛ぶ!

浩平(さて・・・この剣じゃ、たいして効果は期待できない・・・どうする?)
住井「来ないのなら、こっちから行くぞっ!!」
  ジャッ!!
  住井の手から光が迸る。
浩平「ま、何とかなるかな・・・っ!!」
  浩平は光を交わし、住井に斬りかかる。
  ギィンッ!
      ザシュッ!!
住井「そんなものが当たったところで、痛くも痒くもないっ!!くらえぇぇぇっ!!!!」
  住井が巨大なエネルギー塊を放つ!
  ドシュゥゥゥッ!!!
浩平「しまっ・・・ぐああああああぁぁぁぁっ!!!!!!」
  エネルギー塊が浩平を飲み込む!

七瀬「折原っ!!」
みさき「浩平君!!」
  二人は浩平の声を聞き後ろを振り返る。
  エネルギー塊に飲み込まれる浩平の姿を見る。
  そして、二人以外にその一部始終を見つめていた瞳・・・
沙夜香「・・・・・・・・・」

  あの人はだれ?    私の知っている人?
    
  守らないといけない人?    なぜ?  なぜ守らないといけないの?

  何故?  なぜ?  ナゼ?  何故?

  なぜ?  分かってたはず・・・  それは記憶・・・  未来に繋がる・・・

  そして  過去との決別・・・  自分の未来を知って・・・  自分なりのけじめ・・・

  そう  未来の私にできなかったこと  許してくれるなんて思ってない  でも  
  
  いまの私ができることを精一杯したいからっ!!  あの子のためにっ!! 
   

  
  ドクンッ!!

七瀬「なにっ!!?」
みさき「沙夜香さんっ!!?」
沙夜香「・・・私は・・・のために・・・」
  沙夜香の意識が覚醒を始める。
沙夜香「・・・あの子を守る・・・そのために、力を貸してッ!!」

  轟ッ!!

  沙夜香の体から、エターナル・エネルギーが立ち昇る。

七瀬「沙夜香さん・・・くっ!すごいエネルギー・・・!!」
みさき「あっ!浩平君がっ!!」
  浩平を飲み込んだ光は、沙夜香の放出しているエターナル・エネルギーの影響でかき消されていた。
  そして、そこに倒れている浩平の姿・・・
沙夜香「・・・あの子をお願い・・・」
  フッ・・・
  沙夜香の姿が掻き消える。
七瀬「お願いって・・・」
みさき「助けといてってことだよね」
  七瀬とみさきは浩平の所に向かう。

  フッ・・・
  そして、沙夜香は住井の前に姿を現す。
住井「・・・・・・」
沙夜香「悪いけど・・・あの子のために、あなたを倒すわ」


                              <次回 最終話!>


ももも「やったーーーっ!!テスト期間が終わったぞぉぉぉっ!!!勢いにのって、今回は増量だっ!!」
ちびみさ「すごいよ〜。たぶん、in 絆始まって以来最高の量だね」
ももも「ぐ・・・痛いところを・・・まあ、事実だが」
ちびみさ「しかも、あまりのUPの遅さに忘れられかけてたり・・・」
ももも「すみませんっ!僕がみんなわるいんですぅ〜・・・」
ちびみさ「次回のUPは早く上がりそう?」
ももも「善処はするよ」
ちびみさ「あてにならないよ〜」
ももも「期待しないで、待っててください(笑」
ちびみさ「ところで、なんか作風が少し前と違う気がするけど?」
ももも「うみゅ。元が紛失したからここだけ今の感性に影響されてる。そのせいだな」
ちびみさ「なんか変だね」
ももも「ぐはっ!・・・しかも、完全にシリアスに出来なくなった・・・どこはかとなくほのぼの(?)ぽい・・・」
ちびみさ「なんだかだね」
ももも「ま、いいけどね。じゃ、今回はこの辺で。アデュ〜」
ちびみさ「またね〜〜〜」