第十二話    『微かな希望』
浩平「誰だ…お前は…？」
謎の男「君の協力者だよ。折原 浩平君…」
浩平「なっ！？…なんでオレの名前を…」
謎の男「その質問に答える前に、僕の正体を明かしておこう…」
浩平「そんなのはどうでもいいから、オレの質問に…！」
謎の男「まあまあ…僕は氷上 藤隆…永遠の世界の管理をしていた」
浩平「氷上？…あんた、もしかして…」
藤隆「ま、ご想像にお任せするよ。さて、僕が、君の事を知っている理由だが…」
浩平「ああ」
藤隆「その前に、これまでの経緯を話しておこうか」

     説明中………

藤隆「……と言うわけだ」
浩平「まさか…住井が生きていたなんて…」
藤隆「おそらくは、住井は永遠の世界で力をつけているはずだ」
浩平「で、なんであんたはオレの事を知っていたんだ？」
藤隆「僕も永遠の世界の住民みたいなものだからな」
浩平「そうか…しかし、住井を倒すのか…」
藤隆「何か心配事か？」
浩平「オレ一人の力じゃ勝てない気がする…」
藤隆「君は一人じゃないだろ？」
浩平「でも、みんなオレの事は忘れて…」

     ふっ……

     藤隆は肩をすくませる。
藤隆「なぜ、そう思う？」
浩平「さっき、全員に会ったからな」
藤隆「それだけで、忘れられたと…ま、それも良いか…」
浩平「？」
藤隆「これだけは言っておく。可能性は決して零にはならない」
浩平「………」
藤隆「自分で動かないとなにも起こらないがな…」
浩平「あきらめるな…って事か？」
藤隆「さあ、どうかな？…じゃ、僕はそろそろ…」
浩平「行くのか？」
藤隆「僕は、僕の方法で住井を倒させてもらう」

     シュン！
  
     藤隆の姿が消える……
浩平「可能性は決して零にはならない…か…そうだな」
     スクッ
     浩平は立ち上がる。
ちびみずか「ふにゃっ！？」
浩平「まずは母さんを見つけよう！全てはそれからだ！」
ちびみずか「にゃ！」
浩平「よし！行くか！」

     ダッ ダッ ダッ ………

     浩平は、再び東京の道を走りはじめた……


浩平（いない……いない！……いない！！）
     浩平は、いまだに沙夜香を見つけられないでいた。
浩平（くそっ！どこにいるんだっ！？）
     バッ！
     周りを見回す。
   
     チラ……

     視界に鉄塔が入る。
浩平「東京タワーか…もしかして！」
     
     ダダダダダ……

浩平（よしっ！たしか、この角を曲がれば……）

     ドン！！！

浩平「うわっ！」
七瀬「きゃっ！？」
     二人は、お約束通り正面衝突する。
浩平「痛〜〜〜…何だ！？」
七瀬「いたたた…どこ見て走ってんのよ！この…って、折原じゃないの」
浩平「七瀬？オレが分かるのか？」
七瀬「なに言ってんの。どっから見ても折原じゃない」
浩平「思い出してくれたんだ……」
     七瀬が思い出したのなら、他のみんなも思い出しているはず。
     自然に笑みがこぼれる。
七瀬「…なによ…気持ち悪いわね…」
浩平「実は………」
     これまでの経緯を話す。
七瀬「そういう事だったの…通りで…」
浩平「どうしたんだ？」
七瀬「沙夜香さんが東京タワーに入っていくのを見かけたんだけど…」
浩平「見かけたんだけど？」
七瀬「誰に言う気だったのか、すっかり忘れちゃってたのよ」
浩平「なるほどな…ってことは、母さんはあそこにいるんだな？」

     ビッ

     浩平の指は、東京タワーを指す。
七瀬「そうよ」
浩平「わかった…東京タワーにはオレが行く…」
七瀬「じゃあ、あたしも…」
浩平「………」
     浩平は首を横に振る。
七瀬「なんで……」
浩平「相手はあの住井だ…たぶん、いや、絶対オレとお前だけじゃ勝てない」
七瀬「うっ…それはそうだけど…」
浩平「だから、七瀬はみんなを集めてくれないか……？」
七瀬「…わかったわよ。ただし！」
浩平「…？」
     七瀬は不意に微笑む。
七瀬「絶対に無茶はしないでね…約束よ…」
浩平「七瀬…ああ、約束だ」
七瀬「じゃ…また後でね！」
浩平「おう！」
     七瀬は町中に消えていった……
浩平「さて…と」
     東京タワーを見る。
浩平「行くとするか…待ってろよ、住井！」


                                            ＜続く＞


ももも「う〜みゅ………」
ちびみさき「どうしたの？」
ももも「いや、このＳＳのヒロインが、どうも七瀬のような気がしてきて…」
ちびみさき「あれ？七瀬さんじゃなかったの？」
ももも「うみゅ。そのつもりはなかったんだが…どう見てもヒロインだな…」
ちびみさき「どれどれ……あ、ほんとだ。この後の展開でも、七瀬さんが目立ってる気が…」
ももも「な？そうだろ？」
ちびみさき「じゃ、ほんとは誰がヒロインだったのかな？私かな？」
ももも「残念。ヒロインは、全員のつもりだったんだ」
ちびみさき「その割には出番の差が激しいね」
ももも「うっ…ちびみずかなんかほとんど出番無しだもんな…」
ちびみさき「なんか、七瀬さんに思い入れでもあるの？」
ももも「いや…なんというか…一番使いやすいキャラだから…なんでもできるし…」
ちびみさき「もっと、私の出番も増やしてよ〜」
ももも「大丈夫。多少の見せ場は用意してある」
ちびみさき「多少じゃ、やだよ〜〜〜」
ももも「（無視）では、アデュ〜」
ちびみさき「ひどいよ〜〜〜………」