第九話 『嵐の前…』 七瀬「ん〜…いい朝ね〜」 みさき「そうだね」 今日は団体行動の日である。 詩子「では皆さん、行きますよ〜」 もちろん詩子は変装しているが… 生徒一同(あれ?昨日のバスガイドの人じゃ…他人の空似か?) あまり、意味がないようだ… まあ、当人はまったく気にしていないようだ。 七瀬「ところで里村さん?」 茜「…何でしょう?」 茜の顔はどこかスッキリしていたりする(笑) 七瀬「昨日の夜、折原君の声が聞こえた気がしたんだけど?」 みさき「あ、私も聞いたよ〜」 茜「…気のせいでしょう」 七瀬「でも、あの声はただ事じゃなかった気が…」 茜「…なんなら浩平を呼びましょうか?」 みさき「呼ぶ?」 茜「…はい」 スッ… 茜は小さいベルを取り出す。 チリン… チリン… 七瀬&みさき『……?』 タッ タッ タッ 足音が響く。 ザザ〜〜〜〜〜〜ッ!! 浩平「お呼びでしょうか!?茜様!」 茜「…呼んだら三秒で来るように言ったはずですが?」 浩平「すみません!茜様!」 七瀬「…里村さん…やっぱり昨日なんかあったんじゃ…」 茜「…もういいですよ。帰ってください」 浩平「はい!茜様!」 スタタタタタタ…… みさき「なんか変だよ〜」 詩子「まあいいじゃないの。誰かに迷惑かけてるわけじゃないし」 七瀬「まあ、そうだけど…」 そうしている内に目的地に着く。 詩子「え〜、ここが有名な『あさくさでら』です〜」 茜「…『せんそうじ』です」 詩子「…え゛…」 生徒一同(やっぱり昨日の人なんじゃ…) 詩子「茜!でもここにほら!」 ガイドブックには『浅草寺』と書かれている。 茜「…せんそうじと読むんです。ちゃんと勉強してください」 詩子「うっ…」 詩子「え〜、ここが有名な『せんそう』です〜」 茜「…ここは『あさくさ』でいいんです」 詩子「…う゛…」 生徒一同(絶対昨日の人だ!) 詩子「茜!でもほらっ!ここ、ここ!」 ガイドブックには『浅草』と書かれている。 茜「…これはあさくさでいいんです。横に読み方書いています」 詩子「…あ゛…」 七瀬「はぁ…やっぱりこうなったわね…」 みさき「うん…そうだね…」 沙夜香「あなた達、あの二人と知り合い?」 七瀬「まあ…ね」 沙夜香「あのガイドの人、里村先生と仲いいの?」 七瀬「どうして?」 沙夜香「う〜ん…親しそうに話していたから…かしら」 七瀬「親しいっていえば親しいわね」 留美「何?何の話?」 沙夜香「あっ、留美。実はかくかくしかじかで…」 留美「…これこれうまうまってことね」 七瀬&みさき『通じたの…?』 留美「ん〜…そう言われてみれば親しそうな雰囲気ね」 沙夜香「でしょ?」 留美「これは…アレね」 沙夜香」「アレ?」 留美「そ。全てを許し合った熱い仲ってヤツね」 七瀬&みさき&沙夜香『……(カァ〜)』 沙夜香「る、留美…!な、なにいきなり…!」 七瀬「よくそんな事サラッと言えるわね…」 みさき「……(カァ〜)」 留美「あははっ。冗談よ、冗談」 沙夜香「そ、そうよね〜。あの二人に限ってそんなわけ…」 沙夜香が茜と詩子の方を向くと… 詩子「……(じ〜〜〜)」 茜「……(じ〜〜〜)」 無言でじっと見詰め合う二人の姿が… 沙夜香「え…まさか…」 留美「嘘から出た真実ってヤツかしら…」 七瀬&みさき『ちょっと、二人共!目立ってるって!』 茜「…あ…」 詩子「…え…」 バッ! あわてて離れる二人。 茜「……(カァ〜)」 詩子「ちょっ…私達はなんでもないのよ!ほんと、なんでもないって…!」 留美「あらかさまに怪しい反応してるわね…」 沙夜香「思いっきり否定してるところが特にね…あせってるし…」 七瀬「救いようないわね…あれじゃ…」 そのころ… 澪『右手上げて』 浩平「……」 バッ 右手を上げる。 澪『右手下げないで左手上げないで右手下げて』 浩平「………」 バタッ 浩平が倒れる。 澪『難しい事は無理みたいなの』 浩平「……」 バタバタバタッ 起き上がろうともがいている… 澪『何か面白いの』 楽しそうだ。 沙夜香「あ、留美」 留美「なに?」 沙夜香「明日の自由時間はやっぱり幼なじみと?」 留美「まあね」 沙夜香「…そう…」 留美「それと、沙夜香と耕治」 沙夜香「え…でも私がいたら邪魔じゃ…」 留美「私とあいつはただの幼なじみ。それだけよ」 沙夜香「留美…」 <続く> ももも「ふぅ…やっとシリアスになってきたか…」 ちびみさき「そうかな?今回はそうでもないよ?」 ももも「大丈夫。次回はシリアス(だと思う)だから」 ちびみさき「ほんとに?」 ももも「たぶんな。ここに原稿ないから良くわかんないな」 ちびみさき「なんか…テンション低いね」 ももも「まあ、病み上がりだからな」 ちびみさき「じゃ、そろそろ」 ももも「アデュ〜」