雨の後で輝くモノ 投稿者: ももも
※注:このSSは茜エンディングの数日後の話という設定です。

     4時間目終了のチャイムが鳴る

浩平「茜、帰りに商店街でも寄って帰るか」
茜「・・・はい」

     オレが帰ってきてから、茜はオレが消える前以上に笑顔を見せるようになった・・・
     まるで、それまでの悲しみを取り返すかのように・・・

浩平「ほら」
     茜の靴をだしてやる
茜「・・・ありがとうございます」
浩平「さ、いくか」
茜「・・・はい」

     言葉のペースこそ変わってないが、どこか嬉しそうに聞こえる・・・

     ポツ・・・      ポツ・・・
                 ザァーーー・・・

浩平「あ・・・降ってきたか・・・」
茜「・・・入りますか?」

     見ると茜は、いつものピンクの傘をさしている。

浩平「入れてもらう」
茜「・・・・・・」
浩平「どうした?」
茜「・・・こういう時、傘ぐらい持ってくれるものです」
浩平「あ、すまない」

     茜から傘を受け取る

     ザァーーー・・・

     雨は止む気配が無い

浩平「今日はこのまま帰るか?」
茜「・・・少し、あの公園に行きたいです」
浩平「この雨の中をか?」
茜「・・・はい」
浩平「なんでまた?」
茜「・・・話したいことがありますから」
浩平「わかった。行こう」
茜「・・・ありがとうございます」

     オレと茜は、公園に向かう道をゆっくりと歩いていく・・・

浩平「で、話したいことってなんだ?」
茜「・・・・・・」
浩平「・・・ま、気が向いたら言ってくれればいいさ」
茜「・・・・・・」
浩平「・・・・・・」
茜「・・・私は」
浩平「?」
茜「・・・私は雨が嫌いでした」
浩平「茜・・・」
茜「・・・昔の幼なじみも、そして浩平も・・・雨の日に消えてしまったから・・・」
浩平「・・・・・・」
茜「・・・浩平が消えた日から涙が止まりませんでした・・・
      ・・・涙が枯れても心は泣いてました・・・
        ・・・そして気づきました・・・浩平が誰よりも大事な人だって・・・
          ・・・そのことに気づいた後の一年間、私の時は止まって・・・周りの時だけが過ぎていきました・・・」
浩平「でも・・・今は動いているだろ?」
茜「・・・はい。浩平と同じ時を歩んでいます」

     学校を出てから、初めて茜が笑顔を見せた
     しかし、すぐ深刻な顔になる・・・

茜「・・・どうして、1年もかかったのですか?」
浩平「・・・・・・」
茜「・・・どうして、もっと早く帰ってきてくれなかったのですか?」
浩平「オレは・・・」
茜「・・・・・・」
浩平「オレは迷ってた・・・オレは、茜をまた泣かせてしまったから・・・だから・・・迷ってた・・・」      
茜「・・・どうしてですか?」
浩平「オレは、茜のそばにいたらいけないんじゃないかって思った・・・茜のそばにいる資格は無いんじゃないかって思った・・・」
茜「・・・浩平」
浩平「1年間、ずっと迷い続けて・・・オレは逃げてるだけなんだって気づいた」
茜「・・・逃げてる?」
浩平「ああ。茜を昔のように泣かせてしまったことから逃げてるだけなんだって気づいたんだ・・・
        そして、ひとつの出口にたどり着いた・・・もう茜の前に姿を見せないっていう出口・・・」
茜「・・・でも浩平は帰ってきました」
浩平「その出口で・・・ひとりの男に会ったんだ・・・」

     男「君は、この出口から出るつもりかい?」
     浩平「ああ。そのつもりだ」
     男「逃げてるだけなんだよ。それでも・・・この出口から出るつもりかい?」
     浩平「分かってる・・・俺は臆病な人間なんだ・・・」
     男「そう・・・でも彼女はずっと泣き続けることになるよ?」
     浩平「いや・・・茜なら、涙を止めてくれる奴が現れるさ」
     男「本気で言ってるのかい?」
     浩平「ああ・・・」
     男「君は知っているはずだよ・・・大切な人を失った痛みを・・・」
     浩平「・・・・・・」
     男「そして、その痛みが消えることはないってことも・・・」
     浩平「分かってる!分かってるけどどうしようもないじゃないか!ここからは出られないんだ!」
     男「・・・君は・・・彼女のことが好きかい?」
     浩平「ああ」
     男「なら、好きな人の涙くらいは自分の手で止めてみたらどうかな?」
     浩平「・・・・・・」
     男「君の涙は瑞佳さんにしか止められなかったように、彼女の涙は君にしか止める事ができないんだよ」
     浩平「でも、ここから出れないとどうしようも・・・」
     男「ここは君の心の中なんだ。君が迷いをもって進めば、道は無限に広がるんだよ。
           でも、君が彼女のことを本当に好きなら・・・ここから出られるはずだよ」
     浩平「そうか・・・しかし、なんでおまえはそこまで?」
     男「僕じゃ彼女の涙を止めることはできそうにないからね・・・」
     浩平「え・・・?」
          
          フッ・・・
          
          男はそこから姿を消した・・・

浩平「すごく簡単なことだったんだ・・・もうひとつの出口を見つけることは・・・
        ただ・・・ずっと茜のことを想っていればよかったんだ・・・しばらく歩くと光が見えて・・・気づくと自分の部屋だった・・・」
茜「・・・その男の人は?」
浩平「さあ・・・ただ、オレや茜のことをよく知っているみたいだった」
茜「・・・そうですか」
浩平「でも、なんでいきなりこんなことを聞くんだ?」
茜「・・・今が・・・浩平のいる今が幸せすぎて・・・夢みたいだったから」
浩平「茜・・・」

     空いた手で茜の肩を抱き寄せる・・・

浩平「夢じゃないさ・・・こうしてお互いの温かさを感じられるからな」
茜「・・・浩平」
浩平「1年間、待たせてごめん。でも、これからはずっと茜のそばにいる」
茜「・・・私もずっと浩平のそばにいたいです」
浩平「離せって言っても離さないからな」
茜「・・・はい」
浩平「お、雨が止んだか・・・」

     いつの間にか雨は止み、空は青い顔を見せはじめていた

茜「・・・浩平。私は雨が嫌いでした、と言いました」
浩平「ああ、確かにそう言ったな」
茜「・・・でも今は嫌いじゃないです」
浩平「へぇ、どうしてだ?」
茜「・・・雨はいつか必ず止むモノだから・・・止んだ後に、光り輝くモノを残してくれるから」

     茜がオレの顔を見上げる

茜「・・・だから、雨が好きになりました」
浩平「茜・・」

     そういう茜の笑顔が、オレには輝いて見えた・・・

浩平「じゃ、オレと雨、どっちが好きだ?」
茜「・・・いじわるです」
浩平「ごめん」

     オレは茜を抱きしめていた・・・
     今、茜といる時間を確かめたくて・・・

茜「・・・はずかしいです」

     だが、オレはまだ茜を離すつもりはない
     まだ離したくない

浩平「なぁ、茜・・」
茜「・・・はい」
浩平「オレも・・・雨が好きになりそうだ」
    (あんな茜の笑顔を見させてくれた恩人だからな・・・)
茜「・・・浩平」

     互いの存在を確かめ・・・
       互いの想いを感じ・・・
         言葉を交わさなくても分かり合える・・・
           そんなかけがえのないひととき・・・
             そのひとときの中にいるオレたちを見守るように・・・
               雨上がりの空には、七色の光る橋が腕を広げていた・・・
             
                                                                     〜Fin〜

ももも「ついにこんなの書いてしまった・・・」
ちびみさき「初めてだよね。シリアス書いたの」
ももも「うみゅ。うまくできたようなできてないような・・・」
ちびみさき「なんか、どっかで聞いたような台詞も多数あるしね」
ももも「言わなきゃ分からないんだから言うなって」
ちびみさき「もう言っちゃったよ〜」
ももも「まあいいや。そうそう、作中に出てくる『男』はよく分からない人です」
ちびみさき「?」
ももも「以前、茜の消えた幼なじみがシュン君じゃないかって思ってた時期がありまして・・・」
ちびみさき「?」
ももも「そこで、茜の幼なじみと氷上シュン君を足して2で割ってみました」
ちびみさき「茜の幼なじみの設定は?」
ももも「皆さんのSSを読むうちにできた独自の解釈ってとこだな」
ちびみさき「浩平に会っちゃうとことか?」
ももも「うみゅ。それと永遠の世界にも独自の解釈を入れてしまいました」
ちびみさき「見逃してあげてね〜」
ももも「お願いします」
ちびみさき「浩平無用!は?」
ももも「うみゅ。明日かその次ぐらいには・・・」
ちびみさき「そっか。じゃ、そろそろ感想だね」
ももも「そうだな」

秀さんさま>
ももも「浩平ってやっぱり忘れっぽいな」
ちびみさき「だね」
ももも「美味いレストランってラーメン屋?(笑)」
ちびみさき「七瀬さんもそれを楽しみにしてたりして(笑)」

E−Lincさま>
ももも「あ!なんか浩平の母親が聖職者のような輝きを!」
ちびみさき「天使が降りてきても似合いそうだね」
ももも「フラ○ダースの犬の最終回のような?」
ちびみさき「そんな感じだね」

Percomboyさま>
ももも「主題歌がほしいな」
ちびみさき「それでテレビ化して?」
ももも「うみゅ。ある種のマニアが喜ぶぞ。最近その手の少ないから」
ちびみさき「勇○王シリーズもテレビでしなくなったしね」

将木我流さま>
ももも「今日はみさきさんの裏キャラだ」
ちびみさき「うわ〜ぜんざい食べたいよ〜」
ももも「浩平無用!が終わったらな」
ちびみさき「早く終わらそうね」

偽善者Zさま>
ももも「隠形の術か!?」
ちびみさき「忍者だね」
ももも「しかし、ついに激甘団子まで・・・」
ちびみさき「激甘商品ってこれで何個目かな?」

ももも「とりあえず今日はここまでです」
ちびみさき「他に言うことは?」
ももも「感想書けなかった皆さんすみません。感想がらしくなくてすみません」
ちびみさき「それと?」
ももも「みんな僕が悪いんです・・・」
ちびみさき「まあ、時間もないしね」
ももも「土日祝日の次の日はどうしてもこうなってしまいますので」
ちびみさき「ゆるしてあげてね」
ももも「それと、感想をくれた皆さん。ありがとうございました」
ちびみさき「ありがと〜」

ももも「さて・・・次回作が難航を始めた・・・」
ちびみさき「ネタが尽きちゃったからね」
ももも「うみゅ。ま、なんとかなるだろ」
ちびみさき「大丈夫かな〜」
ももも「たぶん。さ、そろそろだな」
ちびみさき「じゃ、みんなまたね〜」
ももも「アデュ〜」