〜絆〜「カエリビト」 投稿者: もうちゃん@
『・・・だから忘れます!!』

『あなたの名前も顔も声も温もりも・・・』

『思い出も・・・全部忘れます』

彼女は確かに自分の大切な人に言い放った。

しかし それを忘れる事はできなかった。

そして 彼が消える時に自分でも改めて気付いた事が有った。

幼なじみの時よりも涙は激しく流れた 絶え間なく。

自分の中で彼の事が幼なじみを超えた証でも有った。

そして 彼は帰ってきてくれた 自分の為に戻ってきてくれた。

そして 彼女たちは幸せになったはずだった ある出来事がくるまでは・・・


これは 折原浩平が帰ってきた後の里村茜の物語である。
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最近よく夢を見ます。
誰かが私に手を差し伸べてこう言うんです。

「茜 僕と二人だけの世界を作ろうよ」

私はなぜかとってもなつかしい感じがしました。
そして 私に手を差し伸べるんです。
そうして 手を掴もうとすると毎回目が途中で開きます。

ボォーとしてから改めて考え出しました。

「なぜですかね?私・・・あの人の事知ってる気がします」

外を見てみると雨が降っていました。
あの時浩平が消えた時と同じ
そして・・・
私の『好きだった』人が消えた時と同じ雨の日でした。



私も一応短大生になった訳ですが、浩平は留年しました。

『ぐはぁ 澪と同じ学年になっちまったぞ』

といって喜んでいましたけど。

最近は私が長森さんの代わりに起こしに行ってるんですよ。
最近 少しは起こすのも慣れてきました。
『少し』ですけど。

浩平と私のお弁当の準備を済ませて家を出ていきます。
浩平の家に向かう途中詩子に会いました。

「やっほぉ〜茜 おはよう!」
「おはようございます」
「な〜に かたっくるしい挨拶してるの」
「これが朝の挨拶です」
「まぁ そうだね」

一応詩子は大学生になったようですが遅刻ばかりしているようです。
上月さんに会うとよく

『あのね 詩子ちゃんが来たの』

などと書いて教えてくれますからね。
浩平の事とかも良く教えてくれますし。
安心です。

「ところで折原君の家に行くの?」
「そうです」
「私も行っていい?」
「別に良いですよ」
「折原君と『普通』に会うのも久しぶりだなぁ〜」

と 傘からたれてくる雫を見つめながら呟く。

「上月さんがこの間 詩子が学校で浩平と言い合ってたって言ってましたよ」
「だって あれは学校で折原君が私に文句いってくるから」
「なんて言ってました?」
「『お前だってあんだけ休んだら普通は留年だろ!!』って私に言うんだよ ひどいよね」

なんて昔の学校の事を聞いていると楽しかったです。
それにしても詩子の家って私の所からだと遠いと思うんですが・・・

浩平の家に無事着きました。

ドアを開けて家に入ります。

「おっじゃましまぁ〜す!」
「お邪魔します」

詩子はまず リビングへ向かいました。
その間に私は浩平を起こしに行きました。

トントントン・・・

ゆっくりと階段を上り浩平の部屋に付きました。
ドアノブに手をかけると

ジリリリリリリリリリ!!!

心臓が思わず少し飛び跳ねた気がしましたが気を持ち直してドアノブを回しました。
そして 中に入ると・・・誰もいませんでした。
時計を止めて改めて周りを見渡しました。

「おかしいですね・・・クローゼットの中でしょうか?」

浩平はなぜか変な所で寝るみたいですからね。
昔は屋根から落ちて骨折もしたらしいですし。
そして探している内に下から詩子が私を呼ぶ声が聞こえました。

「たいへ〜ん 大変だよ 茜 はやくはやく!!」

どうしたんでしょう?
私は上ってきた階段を今度は下へと
トントンとおり始めました。

リビングの中には詩子と浩平がいました。
浩平は床に倒れていたと言うべきでしょう。

「茜 茜!!これってサスペンスかな?事件かな?」

目を輝かせて私に言い寄ってきました。

「ただ 寝てるだけです」
「だって 普通の人はこんな所でねないよぉ〜」

ぷぅと顔を膨らませて意地でも事件にしたがっていました。

「浩平は普通じゃ有りませんから」

ちょっと考えて詩子がうなづきました

「それもそうだよね! だって茜の彼氏だもんね」
「・・・ひどいです」

その後詩子はちゃんと誤ってくれました。
さて これから起す訳ですが・・・どうしましょう?
詩子がいてはいつもの起こし方は恥ずかしくてできませんし・・・

「早く起さないと遅刻しちゃうよぉ〜 茜!」

ちょっと考えた後 私は右手にフライパンを持ってきました。

「えっ?まさか 毎日それで起してるの?」
「はい」

本当にこれで起していたら浩平は頭の形が変わるでしょう
と言う事を考えつつ 振りかざしました。

予定ではスパカーン!と言う音に期待していたんですけど聞こえた音は

ゴスッ!

でした。

「ねえねえ なんか今 鈍いおとしなかった?」
「気のせいです」
「なんか 折原君白目向いてるよ」
「起きる前兆です」
「そうなんだぁ〜」

・・・・・・・時は無情に過ぎるものですね・・・・・・・

「ねえねえ もう遅刻確定だよ」
「もうそろそろおきます」

そしたら浩平がもそもそ動き出しました。

「いててて・・・寝違えたのか?」
「おはようございます」
「おはよ〜」
「ん・・・?ああ おはようってなぜ柚木がここにいる!」

と こんな会話していたら学校が終わってしまいます。

「浩平 浩平 もう遅刻してますから早くしましょう」
「ぐわぁ〜 一時限目おわる寸前に起きるとは・・・」
「さっ!はやくいこ!」
「お前学校はどうしたんだ 学校は!?」
「ちゃんと 行くよ」

笑いかけるように答える詩子 相変わらずですね
それから 浩平が着替えて家を出ました。

「もう 遅刻だし急がなくても良いんじゃない?」
「そうだなぁ〜・・・もう ゆっくり行って良いか・・・」
「あっ!」

浩平の家にお弁当を忘れてしまいました。

「どうした?茜」
「浩平の家にお弁当を忘れました 取りに行ってきます さきに行ってて下さい」
「ん・・・そうか ワルイな茜」

私は浩平達と別れた後 家に行ってお弁当を持って出てきました。

「雨・・・浩平達といた時は振っていなかったんですけどね」

一度はたたんだ傘をもう一度広げました。
さっきまで着いていた水滴が綺麗にパァッとはじけました。

「今日はもう 学校に着くのは遅くなりそうですね」

空の雨雲を見上げてそう考えました。

横目でフト空き地が目にはいりました。
私に色々な事が起きた場所でもあります。

久しぶりに幼なじみの事を色々思い直してみました。
浩平とは違う性格をしていたけど優しい所は同じだったり。
よく三人で遊んでいたり。
私が失敗した料理も文句も言わずに食べてくれたり。
小さい頃の記憶が蘇ってくるようでした。
夢の様な日々でしたね。
ゆめ? 私の最近良く見る夢のあの人は誰なんでしょう?

それよりまずは学校にお弁当を渡しにいかなくちゃ。
少し 早歩きで学校へ向かいました。

・・・・・その夜・・・・・・

自分の意識がはっきりして回りを見渡してみるとそこは空き地でした。
確か私は自分の家で寝ているはずなんですが・・・

「雨ですか・・・待ってる時を思い出しますね」

ポツポツと只降りしきる雨の中に人の姿が見えました。
いつもは彼の声が聞こえて起きてしまうのですが今回は違いました。

「茜 さぁ 僕の手を取って迎えに来たよ」
「迎えに来た?」
「そう 君と僕とで二人の世界を作るんだ 他の誰もいない」
「でも 私には浩平がいます」

私はそういうと彼の差し伸べた手を拒絶した。

「所であなたは 誰なんです?」
「君は僕の事を忘れてしまったのかい? よく遊んだじゃないか」

遊んだ? よく・・・

「小さい頃とかにも詩子とかと良く遊んだよね」

小さい頃・・・それに私の事を茜と呼ぶ人はそんなにいない・・・

「あなたは まさか・・・帰ってきたんですか!?」

思わず声が裏返る

「思い出してくれた? それじゃあ 僕の手を取って」
「・・・・・・・・・・・はい」

私はこの時手を取ってしまった。
これが私の新しい世界の始まりになってしまった。
私は浩平を裏切ってしまったんでしょうか?
誰か教えて下さい 誰か・・・

続く・・・・・・・・・・・・・・・・・
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私(裏)「おーなんか 最後の部分でおわらしても良い感じ♪」
浩平「おっ俺の出番・・・」
私(裏)「おみゃ〜はホントに出番ないと愚痴るな」
浩平「まぁ にしても次には出ばんあるんだろ?」
私(裏)「・・・ほとんど無いと思うと言っておくよ」
浩平「それにしても 強引にもっていったな」
私(裏)「まぁ 強引が私の取り柄でっから」
浩平「次にはまたみさおだすんだろ?」
私(裏)「う〜?難しいからねぇ〜 どうやって出そうか悩んでるよ」
浩平「また 強引にやるんだからいいんじゃないのか?」
私(裏)「まぁ どうせそうなるんだろうけどね」
浩平「茜 飛び立つのか?」
私(裏)「そりゃあね あれだけ書いたんだから飛ぶさ」
浩平「くれ〜はなし・・・」
私(裏)「でも 一応ハッピーエンドにしますんで そこんところよろしく!」
浩平「それではぁ〜 また次回で」
私(裏)「それでわ 読んでいただければ幸いです!」
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