他が為に鐘は鳴る 投稿者: もうちゃん@(裏)
『鐘を鳴らそうよ』

『私が鳴らしてあげるね』

『奇麗な鐘の音を・・・』

彼女は鐘を鳴らす。

一人の少年の為に。

幸せの鐘の音を。

だが・・・

彼女の鐘は誰が鳴らすのだろう?

彼女の為に鐘は鳴るのだろうか?

彼女の鐘の音は・・・まだ 鳴りかけだ。

この物語は折原浩平が永遠の世界へと旅立った後の長森瑞佳の物語である。
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バサバサバサァァァァ・・・・

風で髪の毛が舞い上がる。
木の間からの木漏れ日が暖かい。
今 私は浩平に膝枕をしているの。
浩平は眠いのを無理して私とのお話を楽しんでいる。

『浩平・・・どうして何処かへ行っちゃうの?嫌だよ 私そんなの嫌だよ』

私はそんな事を思っても口を出さない。
口に出したら浩平に心配させちゃうもんね。
木漏れ日の中 森の中は風の音と葉っぱの重なり合う音しか聞こえない。

ガサガサガサァァー!

浩平は喋りつかれたのか 瞼を閉じちゃった。
急に風が強くなる。
思わず眼をつむった。
次の瞬間 私は閉じた目を開けれなかった。
違う 開けたくなかったの。
だって だって・・・浩平の重さがなくなっていたから・・・

「うっこっ浩平・・・帰って・・・帰って来てくれな・・・きゃ嫌だよ・・・」

ただ 私はその場で眼を開けれないまま泣きつづけた。
あの日の空はとても奇麗で晴れわたっていた。



あの日から・・・彼女の鐘の音は音を出さなくなった。



私はあの日から浩平を待ち続ける事にしたんだよ。

「みずかぁ〜!!猫達に餌あげたのぉ!?」

台所から声が聞こえる。

「まだだよ お母さん言われなくても私だってちゃんとできるもん」
「なんて言いながらボォーと人形を見てたのはどなたかしら?」
「いいだもん!毎日これをやらないと不安なんだよ」
「あら?そんなまじないなんてあったかしら?」

『私が浩平からもらったんだよ お母さん』

私は心の中でそう喋った。
誰に言っても無意味だと分かってるから。

「・・・・そんな おまじないなんてないよ お母さん・・・」
「そうなの その袋の中に餌はいってるから持っていってあげなさい」
「うん」

私はスーパの袋に入っている猫缶を取り出し
大きなお皿にその猫缶から出したものを入れる。
知らず知らずに猫達が集まっていた。

みぃ〜 にゃ〜 にゃ〜 にゃ〜ん

「ほら 御飯だよ みんな」

みんな一斉に食べ始める。
おいしそうに食べる姿は見ていて幸せ気持ちになる。
でも。
今は幸せをくれる人がこの世界にいない・・・
そう思うと涙が出てくる。

「おかしいね・・・笑顔でいるって浩平と約束したのにね」

私はお母さんにばれる前に自分の部屋に帰った。
もちろん浩平からの人形も持って。

・・・カチャン
ドアノブを回しドアを開ける。
暗い部屋に入るとまだ眼が慣れてないのか 何も見えない。
自分の記憶にある場所の電気のスイッチを押す。
電球は点滅しそしてはっきりと光りを放つ。

『まだ・・・まだまたなきゃいけないの?』

彼女は自分の思いとは裏腹に無情な時をまだ過ごさなければならない。
その待つ間こそ『永遠』にも思われる。

『ながいよ・・・長すぎるよ 浩平』

シャッ!
おもむろにカーテンを開ける。
外は奇麗な星空が見える。
目の前の浩平の部屋にはあかりは灯っていない。
それは分かってる。
分かってるけど・・・

みぃ〜

ハッと気付き声のある方に視線を動かす。
さっき開けた時に一緒に入ってきていたみたい。

「ほら おいでおいで」

素直に私の手の中に乗る。
喉のあたりをくすぐってあげると
ゴロゴロと声がする。
リラックスしてるみたい。

「お前は下のみんなから仲間はずれにされちゃったの?」

頭をなでてあげる。
猫の毛がふわふわしてて気持ち良い。
私は淡い期待を持ちつつそのまま浩平の部屋を見続けた。
私は待つ事しかできないから・・・

にゃ〜

私の手の中から離れていく。
フと気が付くともういつもだったら寝てる時間。

『もうこんな時間・・・明日は早いからもう寝なくちゃ』

いつもの寝間着に着替えて。
はみがきをすませ。
私はいつもの通りに事を済ませる。
布団へ入る時は枕元に人形を置く。

「御休み・・・浩平 私・・・絶対に忘れないんだよ」



・・・・小さな女の子がいる
誰だろう まだ小学生・・・くらい?
何か言っている・・・

「お兄ちゃんは渡さない!お兄ちゃんは私の為に来てくれたんだもん」

お兄ちゃん・・・ 誰の事だろう?

「このままじゃお兄ちゃんは私の元からいなくなっちゃう・・・そんなの絶対やだ!」

自分のお兄ちゃんがいなくなるの・・・どうして?

「お兄ちゃんの事思ってる人がまだいる・・・お兄ちゃんはその人の事が好き・・・」
「このままじゃ連れて行かれちゃう どうすればいいの?・・・」

女の子は頭を抱えて考え込んだ。
声をかけようとしても私は動けない。
只 私は見てるだけ。

女の子は何か思い付いたようにハッと頭を上げる。

「なら・・・その人がお兄ちゃんの事を忘れれば良いんだ・・・その人がいなくなれば良いんだ・・・」

私は背筋がゾっとした。
この子の言ってる事は・・・

急に私の方を見つめる。
まるで私の事が憎くてたまらない人の様に。

「お姉ちゃん・・・お兄ちゃんは渡さない! たとえお姉ちゃんが犠牲になったとしてもね」
「私が犠牲になるってどういう事なの?」
「お姉ちゃんの鐘の音は私が鳴らして上げるよ・・・ 破滅の鐘をね」

破滅の鐘?

「お兄ちゃんと私は結ばれているの。でも私は・・・私はもう生きて・・・」

首をブルブルと振り改めて言葉を発する

「だから 私はお兄ちゃんとずっと一緒にいるの 誰にも邪魔はさせない!」

結ばれてる・・・一体誰となの?

「お姉ちゃん・・・近い内にまた会おうね・・・私の名前はみさお」

みさおなんて聞いた覚えが無い。
私そんなにボケてないと思うんだけど・・・

から〜んから〜ん〜・・・

鐘の音が聞こえる。

すごく奇麗な音。

いままでの聞いた事のある中で一番奇麗な鐘の音色。

私はその音色を聞いている内に目の前がボヤける。

それから先の事は覚えていない。


「お姉ちゃん・・・どうしてこんなに奇麗な音色か教えて上げようか?」
「この鐘の音はお姉ちゃんの命そのものだからだよ」
「お姉ちゃんの命が無くなるまでこの鐘は鳴りつづけるの」
「そしてこの鐘が鳴り止んだ時には・・・お姉ちゃんはもういない」

そのみさおの顔は人を殺すという凶器に満ちた顔ではなかった。

自分の大好きな兄と一緒にいたい。

そんなまだ幼い子供の顔だった。

少女はその鐘に視線を向ける。

鐘は揺れるスピードを音を徐々に速めていく。

まるで自分から破滅を望んでいるように。
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私(裏)「最近シリアス書いても苦痛がなくなり快感が私を支配する」
浩平「俺 出番無し・・・」
私(裏)「そしてその快感の奥に潜む『ギャグ』」
浩平「話を聞けよ」
私(裏)「そう なんどこの話の途中に『ギャグ』を突っ込もうとしたか!!」
浩平「お前は何を言っているんだ・・・」
私(裏)「といいつつ 今回の作品もシリアス一色で書いてみました」
浩平「みさおと長森ねぇ〜 なんかよぉ〜分からんが」
私(裏)「2人とも浩平君の事を思っているんですね たとえ違う人間同士だとしても」
浩平「俺の事か? 出番無しの?」
私(裏)「しかもなんで『鐘』なのか?それは」
浩平「それは?」
私(裏)「GBの「カエルの為に鐘は鳴る」をプレイしたからだぁぁぁ〜〜!!」

ガス!!・・・ガスガス!!

私(裏)「あうぅぅ・・・びどいでずぅぅ」
浩平「急にマルチになるとは・・・」
私(裏)「という訳で 次回は予定のめどさえも経ってないけど早め早めにかくから」
浩平「はやめはやめろと・・・」
私(裏)「駄文を読んでくれた方ありがとうございます!!それでは☆ミ」
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