星に願いを 投稿者: まてつや
「今日は……クリスマスなのよっ……」
「え、あ。そうだったな?」
「そうだった……? あなたにとっては、それだけのことかもしれないけどっ……
 あ、あたしにとってはすごく大事な夜だったんだからっ……!
 クリスマスよ、クリスマスっ!!」

そう、すごく期待してたのに……、瑞佳たちの約束まで断ってまで来たのに……
それは……ないよっ!!

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出会いは、突然だった。

ズド――――――ン!!
「うわ。これじゃあ、まるで俺が悪いみたいじゃないか……」
「当然でしょうが、どこをどう見てもっ!!」


あれが……、すべての始まり……
とまどいとトキメキがクラッシュしたクロスロードだった。


「わたしの……いいところ……?」
「たとえば……、根性がありそうだ」
オンナのコに対する誉め言葉かっ!!
「女の子にはもっと気をつかうべきよっ!」


「明日から……、折原と帰る理由が、なくなるんだ……」
「そうなるな……」
あれ……? 当たり前なのに、なんでこんなに胸が痛いんだろう?


「このクッキーいけるぞ」
「あー! そんな落ちたやつ食べなくても……」


あなたに……、わたしの全てを、見透かして欲しい。
ねえ、この想いに気づいてよ……、わたしだけの王子様……

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「誘われたとき……、嬉しかったのにっ!
 なんだかんだ言っても、あたしのこと気にかけてくれてるって……
 大好きな人と、2人で過ごせると思ったのにぃ……
 わたしバカだっ! う、う、うう……」

わたしにとっての、憧れなのに……、
初めて、普通の女の子みたいな幸せが欲しいって思ったのに……
楽しみにしてたのに……今年のクリスマス……

「よし、七瀬。踊ろう」
「えっ……」
「ほら、手を出して……」

クリスマスの夜、誰もいない公園。
衣装は、毎日見なれた制服。
ライトは、月明かりだけ、そんななかで、わたしたちは……
初めてのキスを……した……

星が綺麗だった。
とても不器用なわたしたちのダンスだったけど……
心は……鳥の羽をつけて、高く飛んでいるみたい……
大きな背中……、あたしの名を呼ぶ声……、
綺麗な瞳……、あたしの肩を抱く手……、全てが心地よかった。

こんな幸せがいつまでも続きますように……

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あれから2年が、たった。

「お待たせ。お姫様」
「うん」
いつもの自転車に乗って、浩平が現れた。
「今度こそ、やり直してよね。わたしのクリスマス」
「ああ、なんなりとお申し付けください」
浩平がわざとらしく、手を掲げてお辞儀をする。


「じゃあ、またあそこにつれてって」
わたしは浩平の自転車に飛び乗る。
「またあの星の下で、踊ろうよ。あたしたちだけのダンスを……」


はぁぁぁぁ……、白い息を吐く。
「浩平……寒い?」
「ん、ああ。まあな」
「プレゼントがあるんだ」
あたしが、編んだマフラー。
「さすがに、セーターは間に合わなくて……」
「いいよ。ありがとうすごくうれしい。あったかいよ」
「そう? うれしいな。あなたを暖めた数だけ、わたしの心を暖めてくれそうで」

ぎうぅぅぅ……

浩平がわたしを強く抱く。
「ずっと、こうしていたいな」
「あたしも・・・…」
あたしたちは、2年前と同じように、熱く深いキスをした。

星に願いを……
いつまでも、この想いが愛を忘れてしまわないように……
いつまでも。この想いが愛を壊してしまわないように……
大好きだよ。浩平。

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あとがき
どうも、まてつやです!
最近、七瀬のことを猿だとか、レ○だとかいじめすぎていたので
今回はなんと、世にも珍しい(?)
七瀬<s>9歳</s>救済SSです!
とりあえず、終わりました。
あとは、藤井さんたちのも期待してるですよ(爆)

いちごうさん、いけだものさん。
究極のSS(爆)、期待してますよ〜(笑)
ではまた〜〜〜。