始まりはいつも最終章 Vol.1b 投稿者: 瑞希
あらすじ

 壊された現実世界…浩平との時間を取り戻そうとしたその矢先、何者かの手によりその希望は
砕け散ってしまった。いったいここはどこなのか…現実かそれとも幻想か…元の世界を取り戻す
ために浩平達はついに立ち上がった。長い戦いの末、ようやく敵の本拠地へと潜り込むことに成
功した。そこで出会った男とは……

「ひ、氷上…シュン……」
「やぁ、君たちもよくここまで来られたね……」
「ち、ちょっと!どうしてあんたがここにいるわけ!?」

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◎本文

 いきなり地上が盛り上がったかと思うと、この世のものと思えない者が浩平達に向かって突進する。咄嗟
に左右に別れるが、その時にどうしても片方に力が偏ってしまい、残りの方は当然弱くなってしまう。ちょ
うど、今は七瀬、澪、繭側の方である。餓鬼達は一斉に3人を襲おうとした。その時、繭は突然に右の手を
天に向けて祈った。

「みゅみゅ みゅみゅみゅ みゅ みゅみゅみゅみゅ〜〜〜〜!!
  (我は水 我は聖界の守護神 わが威信をもって敵を押し流せ 爆狩霊消!!)」

 彼女の周りに幾つもの水柱が立ち上がり、それと同時に七瀬も気合いを入れ始める。膝に力が入らないら
しく片膝を立てたまま目を閉じる。

「風守の太刀……」
「よせっ!まだ回復していないだろうがっ!!」
「伍型 暴加慧斬!!」

 太刀の切っ先から発生する見えない風の龍が、その発生源である太刀を破壊しながら水柱を飲み込んでい
く。水と風の乱舞による渦が、餓鬼達を土へ返していく。力を使い果たしたかのように、七瀬はゆっくりと
倒れていく。そして、あわや地面とその誰もが思わず見つめてしまいそうな顔がぶつかる瞬間に浩平は彼女
を支えた。

「七瀬さん!」
「七瀬ぇ!!」
「みゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!(目を閉じちゃダメ〜〜!)」
「くっ……繭……頼むから今髪掴むのはやめて……うっ…」
「おい!しっかりしろ!!」
「大丈夫です…彼女は力を使い果たしただけですから……」

パチパチパチ

 浩平達が再び目を前に向けると、氷上は楽しそうに拍手していた。浩平の腕に力が入っていくのを瑞佳は
感じていたが、もはやどうすることも出来なかった。

「さすが僕が見込んだだけのことはあるね。まぁ、召還した者たちが君たちに勝てるとは思っ
てはいなかったけど、まさかこんなにあっさりと倒されるとはね。やっぱり僕自らやらなくて
はいけないということか。」
「きさま…」

 浩平の周りに白い壁が浮かび上がったかと思うと、急激に台風のように浩平を中心として回転し始める。
その様子に、氷上はさらにうれしそうに微笑んだ。静かに片手を浩平へを向ける。それに対し浩平は何もせ
ずただひたすら彼を睨み続けている。

「我が身に仕えし精霊よ 我が刃となり その威力を示せ… 光牙瞬走!!」

 彼の手にと持った光の球体が突如、狼の形となり予測不可能なフェイントをかけつつ6方向から浩平に襲
いかかる。だがそれでも浩平は微動だにしない。その牙がまさに彼の各急所をめがけて飛びかかろうとした
その瞬間彼は両手を前に差し出す。

「消えろっ!」

バシュッ!!

 すさまじい光の渦に巻き込まれ、瑞佳達は完全に彼らをロストした。

「浩平!!」
「……かわしました…」

 やがて目が元の明るさになれてくると、そこには先ほどと同じ距離を保ったまま対峙する二人を見つける
ことが出来た。自分の攻撃がかわされたにも関わらず、彼はますます嬉しそうに微笑む。それに対し浩平は
今にも飛びかからんとする程の怒りを露にしていた。

「今度はこっちの番だ!
   我が身に仕えし精霊よ 我が刃となり……」
「我が身に仕えし精霊よ 我が盾となり……」
「「 その威力を示せ…」」
「光竜波!!」
「双竜壁!!」

 光と光が再びぶつかり合う。瑞佳達は再び彼らをロストした。いや、ロストしない方がおかしい。やがて
二人を飲み込んだ光の競演はまるでリズムを刻むかのように、やがては彼女たちに潜む疲労感を食い尽くす
ような勢いで彼女たちをも飲み込んでいった。このときみさきだけは、その先で何が起こっているのかを感
じることが出来た。氷上が作り出した二つの壁をものともせずに浩平の元から解き放たれた巨大な竜は確実
に彼の体を浸食していった。にもかかわらず、彼は笑っていたのだ。思わず涙がこぼれる。ここに来てよう
やく彼女は彼の真意に触れることが出来たのである。やがて、好き放題暴れ狂っていた光は過ぎ去っていっ
た。氷上は片膝をつかざるを得なかった。

「さ、さすがだよ……折原君……」
「………」
「君たちならば……この…世界を……壊すことも……できる…かもしれ…ない」
「なに!?」
「君たち…にもう一度……かけさせ……てもらう…よ…」
「どういうことなんだ!氷上!!」
「我が…身に仕えし…精霊…よ………我が…刃とな…り
    その…威力を…示…せ 光牙瞬走!」

 氷上の手から再び狼が飛び出す。しかし今度は円を描くかのように回り、彼の心臓を貫いた。彼はスロー
モーションのように地面に倒れ伏せていく。

「なにを……馬鹿なことを…………」
「僕の血が…この先の…扉の…鍵なの……さ……ふぐっ……」
「おい!しっかりろ、氷上!」
「君たち…ならこの世界…を…こ、壊せる……と……信じて……ぐっ…」
「氷上ぃぃぃ!」

 浩平は動かなくなった彼の肩を掴み強く揺する。しかし、彼の体はすでに魂が解き放たれたかのように何
の反応も返さなかった。それでも浩平は彼の体を揺すり続けている。瑞佳はその様子に耐えきれず、目を背
ける。茜でさえ、彼になんと声をかけて良いか分からなかった。繭はあまりにも必死な浩平におびえ、澪と
ともに気絶している七瀬の腕にしがみついていた。そう、誰一人彼に手をさしのべることは出来なかったの
だ。ただ一人、彼女を除いて。彼女は彼の近くに歩み寄ると、彼の顔を強引に自分へ向けさせた。彼の目が
彼女の瞳を捉えた瞬間に彼の頬を張った。

パンッ

 やけに軽い音が回りに響く。浩平はようやく自分を取り戻すことが出来たようだった。

「仕方がなかったんだよ……浩平君。」
「……」
「もしも、彼が倒れていなかったのなら、先には進めなかったんだよ。」
「…分かっているさ………」
「氷上君って言ったっけ?彼がもし自分自身で自分を倒さなかったら、浩平君は本当に彼に攻
撃できた?」
「…分からない、そうなってみなければ……」
「彼、本当は浩平君に倒されたかったのかもしれない……だからわざと挑発してきたんじゃな
いかな?
「そうかもな。」
「浩平君が今やるべき事……分かるよね…」
「あぁ……」

 彼は静かに氷上の体を地面に横たえた。そして、自分の首にかけていたお守りを彼の手にしっかりと握ら
せる。ゆっくりと振り向くと、七瀬の元へと歩み寄る。

「…椎名、澪、悪かったな…その……驚かせちまってよ…」
「みゅ〜〜」
『大丈夫なの』
「う、ううん……」
「七瀬……気がついたか?」
「あれ……そうだ!あいつは!?」
「……死んだよ…」
「…そう……」

 彼女は、澪に支えられながら上半身を起こし、横たわっている彼の方に目をやる。彼と実際に会ったのは
この世界が出来る前に浩平が消えた時。浩平は自分の意志で彼女たちの前から消え去った。七瀬の周りでも
一人、また一人の浩平の存在を忘れていった。今一緒にいる彼女たちも例外ではなかった。彼女は不安で仕
方なかった。いつ自分も他の人たちと同様に浩平のことを忘れてしまうのか。彼女はひたすら悩んだ。その
時彼女に力を与えてくれたのが“氷上 シュン”であった。彼は、浩平へと通じる唯一の扉をこじ開けてく
れた。そして……彼女は浩平を元の世界へと連れ戻すことに成功したのだった。それのなのに……かれは敵
となって現れ、敵として死んでしまった。何とも言えない、やるせない気持ちが彼女の記憶を通り過ぎてい
く。呆然としている七瀬を浩平は手を引いて立ち上がらせる。

「進しかないんだな…留美…」
「…そうだね、そうなんだよね……浩平……」
「進もう!シフトは先ほどと同じで良いだろ?」
「問題ないよ、浩平。」
「みゅ〜〜〜!!(大丈夫!!)」
『まだまだ力は残ってるの』
「……いけます…」
「私も、だいじょ〜ぶだよ〜」
「そっか……七瀬は?」
「もちろん!もう半分は回復したわよ。」

 再び浩平達は進み始める。氷上の開けてくれた扉をくぐって。この先に何があるのかは知らない。だが、
もう半分は過ぎた。

(もう少しだ……もう少しで元の世界に戻せるんだ……)

 彼の表情に固い決意が見える。その時、みさきと瑞佳の間を通り越して七瀬が浩平の近くに来た。

「浩平……絶対一緒に帰ろ……」
「当たり前だろ?もう2度と留美を残して俺は消えない…約束しよう。」
「ありがとう……」

 それだけ伝えると七瀬は元の配置に戻った。

(そうさ…みんなで帰るんだ…みんなで……)

続く(?)

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まだ続くデスか?
タイトルは何デスか?
最終章のわりには書きたいことがあり過ぎて、すぐに終われないです

感想
>だよだよ星人さん
  なんかラブラブですね…俺もなんか彼女欲しくなってきたです(爆)
 車でのドライブ〜〜横を見れば君の寝顔〜〜♪

>もうちゃん@さん
  浩平と南君が女役ですか(^^;;
 見たいようで見たくないような見たい(苦笑)

>藤井勇気さん
  女の子の友情って堅いんですね
 何となく茜って男には冷たいけど女にはかなり優しそう
 本性はやっぱ優しいんだろうな〜〜 くぅ〜!

>よもすえさん
  広瀬屋から七瀬屋に変わってたんですね(^^;;;
 とろくてすんません、気づかなかったので、途中????でした
 なかなか七瀬さんは良い技もってマスねぇ
  私の七瀬も強力な技を持ってます!
   1.とりあえず脚がロケット
   2.とりあえず腕の中に仕込みロケット砲(無反動バージョン)
   3.ファイナル兵器 自爆装置(半径100キロ射程)
 すみません……全部嘘です(苦笑)

自分は感想書くの下手ですね…参ったなぁ〜〜
じゃ、逃げます!!
でわでわ

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