【94】 『みお』 |
「そういえば、以前(まえ)から聞きたかったんだけど……」 夕暮れの公園のブランコにいるのは折原浩平と上月澪だった。 浩平は澪のがんばりを見て、自分も演劇部に入っていた。 自分では意識していないのだろうが澪のことが好きになっていた。 『なんなの?』 澪はしゃべることができない。 小さなとき浩平から貸してもらったスケッチブックに文字を書き相手に伝えるのだ。 「澪は……その、どうしてしゃべれなくなったんだ?」 それはしてはいけない質問だったのかもしれない……。 そんなことは浩平にだってわかってはいた……が、 彼は澪の想いをわかってやりたかったのだ…… それがツライことでも。 沈黙が続いた後……。 澪は……告げる。 自分の過去を…… ☆★☆★☆ 私の両親は女の子が欲しかったの。 そこに私が生まれたの。 キレイな顔の可愛い私が…… わたしは女の子として育てられて、 私自身、当然の如く、自分が女の子だと思っていた。 両親に 「人前で声を出してしゃべってはいけない」って言われて、それを守ってた。 何かを使わないでいるとそれが退化してできなくなるように 私もいつしか声がでなくなった…… まさか、両親が私の声変わりを恐れてそんなことしたなんて思わなかった。 もともと顔立ちとかキレイだった私は それから今まで、女として生きるようになった。 美男(びなん)……美男(みお)……澪。 それが私の名前…… ☆★☆★☆ 『こんな私でも愛してくれますかなの?』 ぴきぃぃぃぃぃ〜〜〜ん!!(爆) ちゃ〜ら〜、らららら〜(BGM・遠いまなざし) Fin ☆★☆★☆ (どっきりおまけ) あれから3ヶ月……澪の姿みないな…… 仕方ないか……俺は、あいつの想いに応えることができなかった…… やっぱり、男とは、ちょっと…… 学校にも来なくなった。 噂では海外に行ったと聞いたが…… 『お久しぶりなのっ』 「澪!?」 『もう大丈夫なのっ、身も心も女なの』 ま……まさか。 海外って…… 「モロッコで手術でもしてきたのか!?」 『違うの、中国に行って来たの』 「中国ぅ?」 中国でいったい何をしてきたって?? 『女溺泉(ニャンニーチャン)に入ってきたの』 呪泉郷ぉ!? 『水をかぶれば女なのっ、万事解決なのっ』 「ちょっと待てぇ〜!! それは違わないか〜〜!?」 『めでたしめでたしなのっ』 〜完〜(爆) ========================================== ☆あとがき☆ 皆様、お久しぶりです。 『るみ』『さわぐち』に続く、ひらがな名前タイトルシリーズ(勝手にシリーズ化すなっ)の 第3弾、『みお』でございます。 裏澪シナリオ(ギャグ)としてとっていただけるとありがたいッス。 では今日はこの辺で〜 http://www.geocities.co.jp/Playtown/1331/ |