「浩平。あーん、してください」 そう甘い声で言ってくるのは我らがスーパーヒロイン里村茜ちゃんである。 ただでさえ可愛いのにこんな声で言われたら、思わずはにゃーん、ってなってしまいそうな場面であるのだが茜の対面に座っている男の子は即答する。 「嫌だ」 ああっ、せっかくの茜の行動を、断るなんて! 「ヒドイです。せっかく食べさせてあげようとしているのに……」 茜の表情が少しだけ変化する。 対面の男はその微妙な表情の変化でさえ、茜が残念がっているのがわかった。 わかってはいるのだ。が……、 しかし、彼が断るにも理由はあるのだ。 「おいしいのに……」 「甘すぎる……」 そう、彼には甘すぎたのだ。 もう、凶悪なぐらい甘いのだ。 はちみつと練乳をふんだんに使った山葉堂の新わっふる。 「わたしとしては、これにチョコレートソースでも加えて欲しいんですけど」 激甘党の彼女は里村茜。 彼女はとてもこれがお気に入りだ。 好きな相手にもおいしくいっしょに食べてもらいたかった。 そこで彼女は考えた。 ☆★☆★☆ 「今日、浩平の家に行っていいですか?」 「ああ、別にかまわないぞ」 俺がそう答えると、茜はにこやかに返す。 「帰りに山葉堂のワッフルを買って行きますから」 ……ぐあ。 「浩平があのワッフルをおいしく食べてくれないので、昨日考えました」 帰りに50個ものわっふるを買って、俺の部屋へ来た。 何を考えてるんだろう。 「……浩平。野球拳しませんか?」 「……はぁ!?」 「……わたしが負けたら1枚ずつ脱いでいきます」 少し頬を染めて言う茜。 あうー、ちょっと可愛いかも。 「でも、別にわたしは浩平を脱がせたいなんて全然思わないので、わたしが買った場合は……」 「場合は……?」 「ワッフルを1つずつ食べていってください。……あっ、食べた分の値段は浩平持ちですから」 ぐはぁ……。 し、しかし。 茜を脱がせることができるのだぞっ!? ここでやらなきゃ漢じゃないっ! 「よしっ、茜! 男に二言はないなっ!?」 「……わたしは女です。七瀬さんじゃないんですから」 そういうこと言うようになったか茜(^^; 「……ぐあっ。甘い……」 本日5つ目だぞ……くそっ。 「どこぞの甘くない謎ジャムを食べるよりはいいでしょう」 「なんだそれ……?」 「いいえ、他社のことですから気にしないでください」 「?」 し……しかし、改めて言うが相当甘い。 俺自身、結構甘いもの好きなほうなのにも関わらずだ。 「な、なんだかいつも食べるやつよりもさらに甘い気がするんだが……」 「はい。前日から店の人に頼んでスペシャル版にしてもらってますから」 ぐはぁぁぁああああああああああああ……っ!! 「しかも、いくつ食べても甘さに慣れなくて広がってくだけだし……、あうー」 しかし、それにしても……まだ一枚も脱がせてないし……。 うー、5連敗……。 「まだ45回は挑戦できますから」(にっこり) 俺の金の方が先に尽きるかもな。 「あきらめていいか?」 もう、口の中も限界だ。 コーヒーを3杯も飲んでいるのに…… 「最後まで脱がせたら……あげちゃってもいいですよ」(ぽっ) ぴしぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいっ……!!! 「くっそー、こーなったら脱がすー、脱がすー、脱がす〜〜〜〜〜〜っ! 脱がすまでやめれるかぁーーーーー!」 5つ目のワッフルを流しこむと、俺は顔をたたいて気合を入れる。 「アウト! セーフ! よよいのよいっ!!」 はぁ……はぁ……。 つ……ついにここまで来た。 食べたワッフルの数は47個……。 さすがにこれだけ食うと甘さにも少しは慣れてきた。 これで今月は財政がヤバイ……が、しかしぃ! もう茜が身につけている物は、ブラとパンティのみ! 失敗はあと2回まで……3回終わったら、ワッフルが切れてしまう。 負けるかァァァァ! 「よよいのよい! とりゃあああ、グーだぁあああああ!」 「……うっ」 茜がチョキのポーズのまましばらく硬直する。 「さぁ、脱げ脱げ〜〜。なんなら脱がしてやろーか? いっひっひ」 「浩平……、目がいやらしいです……」 と、真っ赤になりながら、ゆうくりと薄ピンク色のブラジャーをはずす。 はらりっ…… ぷるるんっ♪ ぽとりっ…… ごくり……っ。 って、 「手で隠すなぁあああああああ!」 「……隠します」(真っ赤) でも、隠しきれてない腕の間からこぼれている部分がまたそそるかも(爆) 「さー、もーいっちょーだ! ヤるぞーーー!」 「アウト! セーーフ! よよいの……っ!!!」 とそこに、 ばたむっ!と戸を開ける音。 「茜〜、折原くぅーーーん。遊びに来たよーーーっ……」 ずびしぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ……! 「きゃー。な……何してるのよっ!?」 くぅぅぅぅぅうううううう、せっかくいいところで邪魔がぁぁぁあああああ…… 「詩子〜〜〜っ……!」 茜がおよよ、と詩子の胸に泣きつく。 「わたしは嫌だって言ったのに、浩平が……浩平が、無理やり……うっ……ううっ……」 ちょっと待たんかぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ! 「ヒドイよ、折原君。信じてたのに……。よしよし、茜」 「ううっ……初めてだったのに……」(ぐすんっ) 「ちょ……! 俺は無実だァァァァーーーーーーーーー!!!」 「見苦しいわね。容疑者はみんなそんなこと言うのよ」 「慰謝料は50万円でいいですから」 ほろりと泣きまねしながら、茜が言う。 って、演技派ーーーーーー!? 「茜は心が広いわねー。わたしだったら415万は請求してるわよ。良かったわね、折原君」 サギだぁああああああああああああああああああああああああああ………… ===================================== ☆後書き☆ うーん、なんつーか最近の俺らしいSSだなぁ(笑) こんなんばっか(^^; シリアス書けなくなってるかも…… http://www.geocities.co.jp/Playtown/1331/