『浩平くん、繭が……繭が……、とにかく家に来てくださいっ……。わたしの手にはとても……!』 ガチャン、と繭の母親からの電話は切れた。 よくわからないが、手におえない事態が繭におきたらしい。 だから、俺は全速力で椎名家に走った。 「どうしたんですかっ、華穂さん!?」 「ああっ、浩平くん。繭が……繭が……」 「うわぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ん」 繭は床にしゃがみこんで大声で泣いていた。 「みゅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜っ!」 ていうか鳴いていた。 一体、繭の身に何が起こったんだ〜!? 「うわ〜〜〜〜〜ん。粉薬なんて飲めないも〜〜〜〜んっ!!」(大泣) そんだけかいっ! 「この子、風邪ひいて、病院に連れて行ったんだけど、注射も嫌がって……」 と、華穂さんは困り顔だった。 「ごめんなさい……。お願いします、浩平くん……」 と華穂さんが頭を下げる。 「わかりました」 「うわ〜〜〜〜〜ん。飲み薬じゃないと嫌だも〜〜ん。甘いのがいいのーーーーっ!」 おまえは幼稚園児かいっ。 「てりやき味がいい……」(ぐすっ) それはさすがに無理だ、繭。 「良薬、口に苦しって言うだろ? 我慢して飲まないといつまでも治らないぞ?」 「いいも〜ん。繭はずっと風邪でもいいも〜〜ん」 はぁ……。 「わかったよ、俺が飲めたらおまえも飲むんだぞ?」 俺はコップに水を入れ、粉薬を口に含み、水で流しこむ。 「ほら。一瞬だろ。繭もさあっ」 「嫌だもん」 ぐはぁ。 俺にどないしろと……(涙) 仕方ない、最終手段だ! 「なあ、長森がなんで語尾に『だよもん』ってつけるか知ってるか?」 「ほえ?」 「子供のころ、あいつ今の繭みたいに風邪で薬飲むの嫌がってさぁ、その後遺症なんだよ」 「うーっ」 繭がすごく困ったような顔をする。 「な、怖いだろ?」 「うー……。薬……飲む」 こうして繭はしぶしぶ薬を飲んだ。 その後。 「あっ、繭ー。久しぶりだねーっ」 「おねえちゃん、語尾……」 「んっ? 語尾がどうかした?」 「……なんでもない」 おねえちゃん……。 繭に対しては『だよもん』言ってない……。 みゅーのうそつき……。 〜完〜 ===================================== ☆あとがき☆ お久しぶりです(汗) いい加減、忘れられそうなまてつやです(大汗) クッキーも残ってなかったし(激汗) 本人が風邪ひいてるから 最近こんなネタばっかりです(滝汗) 次回の投稿は、いつになるんだろう……。 雀さんのさっか道も次はわたしだから 忘れらないようにしないとなぁ……