「いつになったら、泣きやんでくれるのかな?」
「ずっとだよ、僕は泣いて過ごすんだ……」
「どうして?」
「悲しいことがあったんだ……永遠に続くと思っていた幸せなんて、なかったんだ」
「永遠はあるよ……わたしがずっと、そばにいてあげるよ」
そう言って、少女は泣いていた少年の頬にそっと口付けた……
『髪を伸ばして、リボンをつけろ。そうすれば、新しい幸せがお前を待っているよ』
……新しい幸せ……
自分にできるだろうか?
鏡に映る姿を、覗きこむ……笑ってみる。
にこっ……
大丈夫、笑顔の練習も自己紹介の練習もした……
さあ、新しい私の朝の始まりだ。
「きゃっ……」
ずっどぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!
「うわ、これじゃまるで、俺が悪いみたいじゃないか」
「当然でしょ!!」
がばぁっ!
「そこの人見てたでしょ?」
乙女を夢見る彼女の第一歩はそうして始まる。
「司! 司! 司!!」
彼女は夢の中で何度も叫ぶ。
しかし、結果はいつも変わらないのだ……
最後に目の前の彼は『消える』
ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……
憂鬱な雨。
彼女は雨が振ると、いつものようにピンクの傘を指し。
例の空き地へ行く……彼が消えてしまった、最後の場所。
いつもと同じように、彼が現れることもない。
ただ、自分は待つのみだ……
ただ、その日は……いつもと違ったのだ……
「よお?」
「……誰?」
「クラスメートの名前くらい覚えとけよ」
「……何の用ですか?」
彼女はいつもそこにいた。
彼女自身はそこが気に入っていた。
彼女が望む世界に一番近いためだ。
今日の空は75点というところ……
でも……
「そっか夕焼けなんだ……」
あなたに会えたから……
今日の空は……
「95点くらいあげてもいいかな」
「私ね、人を見る目はあると思うんだ。目は見えないけどね」
少女にとっての唯一の『お友達』が死んだ。
少女は泣いた。
「みゅー、みゅーーーーーーーーー!」
しかし、それが彼女の大人への旅立ちの道。
「みゅーは死んだんだ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーん……」
泣いてばかりの彼女だが、
はじめて『人と接しよう』とがんばり始めていた。
みゅーが最後にもたらした、彼との出会いにより……
彼女は声を発することが出来ない。
そんな彼女の伝達方法は『スケッチブックに文字を書く』だった。
彼女には伝えたいことがいっぱいあった。
その方法を教えてくれた彼のことを思い……
『こんどあったとき返せよ』
彼との約束を、ずっと胸に秘め……
あ……
そんなことを考えていたら、彼女は転んでしまった。
しかも、トレイに乗せていた、うどんをぶちまけてしまった。
彼に……
それは、ひとりひとり誰もが持っている輝く季節への始まり……
あなたの日常にも……
無数に存在する輝く季節が……
きっと存在するはず……
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☆あとがき☆
みんなが1周年記念SSを書くと言うので、わたしも書きました。
構想時間&制作時間合わせて、1時間くらいなので
内容はないです、はい。
ONEと言う素晴らしいゲームと
それを通して、皆様と知り合えたことに心から感謝して……http://www.geocities.co.jp/Playtown/1331/