茜の写真 投稿者: まてつや
「ねえねえ、南くん」
などと、いきなり親しげに話してきたのは、他校の制服を着た女の子だった。
俺はその子の、名前を知っていた。……というか彼女は結構頻繁にこのクラスに来るから、俺以外だって名前くらい知ってるやつもいるだろう。
「えっと、俺に何か用かな、柚木さん」
そう、柚木さんだ。
こんな時間にこの学校に来るぐらいだから、当然サボリだろうなぁ。
しかし、ウチの担任の髭(本名なんか忘れた)は、
制服の違うヤツが1人まぎれこんでようが気づかない、
それどころか、ペンギンと入れ替えてもきっと気づかない(折原談)そんなやつなのである。
柚木さんのほうも、まったく堂々としていて、最近なんかいないほうが不自然に感じるようになってきてるんだから、すごいことだ。
彼女がたびたび、ここに来る理由は良くわからないが、悪い気はしない(折原はいやがるかもしれないが)
まあ、彼女は誰とでも親しく話してくるのだが、今日の彼女の一声は……

「あなた、茜のこと好きなんでしょう?」

ぶひゅ〜〜〜!!

俺は飲みかけのコーヒー牛乳を思わず吹き出してしまった。
教室内に、たまたま里村さんがいなかったのは幸運だろう。

「な……ななななな何を旧に……」
「漢字を間違えてる時点で図星ね」
妙に冷静に柚木さんが言う。
「だ……だれだって、そんなことを言われれば驚くよ」
と。一応反論してみるが、柚木さんはあっさりと

「見てればわかるわよ……誰だって」
「え?……」
そうなのか?
確かに正直に言えば、里村さんと席が近くなってうれしいし、
去年から、かわいい子だなぁ、って思ってた。
好きだな、って思ってた。
でも、表に出したつもりはまったくないのに……バレバレ!?

そんな俺の心の中を読んだように、柚木さんはこれまたあっさりと、
「あの子、こういうことには鈍感だから気づいてないと思うわよ」
ホッとした反面なにか、ガッカリした気持ちになるのは何故だろう?

しかし、そんな俺にはおかまいもなしに、柚木さんは話をすすめる。
「そんな南くんに、『いい話』を持ってきたのよ」
と、やたら笑顔で言う。なんとなく俺の中で警戒信号が出ていた。
この話には乗らない方がいい、と。

「茜の恥ずかしい写真見たくない?」

ぶぶ〜〜〜〜〜!!

またもや、コーヒー牛乳を吹き出してしまった……




「わたしと茜って、知ってると思うけど、
 幼なじみで小さなころからすっごく仲がいいのよね。
 だから、茜のいろんなこと知ってるのよ〜。
 それで、小学校のころの夏休みに茜のウチでふざけてとった恥ずかしい写真があるわけ」
柚木さんは、小声で俺にそっと耳打ちした。

里村さんの恥ずかしい写真? 
幼なじみとふざけあって夏休みに撮った恥ずかしい写真?
どんなのだろう??

入浴シーンか?(ぉぉ)
はたまた、今SS作家の中で話題の裸エプロンか!?(ぉぉぉ)
それともアレとか、果てはあんな格好の写真とか(爆爆爆)

い……いけない、も……妄想が膨らんで止まらない。

お……俺の里村さんへの想いはそんなんじゃない……はずだ
もっとこう、純粋ななんていうか……

「い……いや、俺はいいよ」
「ふ〜〜ん、じゃあ住井くんに言ってこよ」


ぴしぃぃぃいぃぃぃいぃいいいい!!


そ……それは、まずいぞ!
あいつに渡ったら最後、ヤツがたっぷり鑑賞したあげく
(果てはアレとかコレに利用して)
最後に前のようにオークションにかける気だ……
そうなったら、まずい、まずすぎる。

いいか、南。
これは、里村さんのイヤン♪な写真が見たいわけじゃなくて
小学校時代の里村さんがみたいな〜、なんて言う邪な気持ちはまったくなくてだな。
住井の魔の手から、里村さんを守るための……
決して、住井のオークションで高くなると困るとかそんなこと思ってないんだからな、
うん、そうだ。きっと、そうだ。

「用件は?」
柚木さんは別に親切で言ってるわけではないだろう……
何か報酬を求めて、俺に話を振ってきたはずだ。
そう考えて、極力冷静に答える。

「そうね〜、とりあえず今月厳しいから、5000円と
 あなたが持っている折原の情報を全てね」

……?……俺が知っている折原の情報全て??

ま、まさか……柚木さんがここに頻繁に通ってる理由っていうのは……

「よ……余計なことは考えないで、この話、受けるの? 受けないの?」
柚木さんがちょっとほおを赤くしているのを見て、なんとなくかわいいなと思った。

「ああ、頼む」




俺はその日、学校が終わると速攻で家に走った。
『学校では空けないで……茜にバレると怖いから』
と柚木さんが言っていたのでまだ例の写真を見ていなかったりするのだ。

家の扉を開け、バタンと閉め、階段をマッハの速さで(大げさ)駆け上がり、
自室に素早くすべりこんで、封筒に入った、例の写真を取り出す……


そこには……
里村さんの恥ずかしい写真があった。
「国語2、算数1、社会1、理科2、音楽2、体育2、図工2……」

た……たしかに恥ずかしいかも……
などと一瞬でも思ってしまった、俺が悪いのか……

確かに、里村さんの恥ずかしい成績票の写真だった。

(おわり)


ちょっぴりおまけ

その後、それが茜にバレた詩子と南は
山葉堂のわっふるを彼女に1ヶ月おごることになったらしい(合掌)



☆あとがき☆
いろんな意味で、この話は失敗しています(TT)
なんか自分の表現レベルの低さが現れてて、少しヤになります、ふぅ。

この話を書いた理由すらも
GTOと茜っちが、つまっているから、という情けない理由からです。
あと、感想書くどころか、読めてもない作品もあります。
すいません。
わたしに感想をくれる方々、本当にありがとうございます。
それでは、次こそ予定通りGTOか茜っちが書けることを祈りつつ……