マーメイド 投稿者: まてつや
『わたし 人魚なの』
…………はぁ!?…………

いつもの帰り道だ。
2人で並んで並木道を歩いている……
そんないつもと変わらない景色の中で、澪の顔だけは違っていた。

唐突に出された言葉を、頭の中で反芻しながら……俺はなんとか答えを導きだす。

「そうか〜、演劇部の次の舞台は、『人魚姫』なのか〜……」
しかし、澪が人魚姫の役というのは……ある意味ではぴったりなんだけど、
なんだかイメージが違う気がするし……大変な役じゃないんだろうか?

それに……澪は、人魚姫のように、何かを望んで、その代償に声を失ったわけじゃないんだ……

『違うの』

ぶんすか!と澪は可愛い顔をふくらます……
左手の人差し指で自分を指しながら、スケッチブックをめくる……

『海から来たの』

「……!?」

『声を捨てて、人間になったの』

…………澪の瞳は、まっすぐに俺のほうを見たままだった。
…………その瞳が潤んで見えるのは夕焼けのせいではないはずだった。

「あのな、澪。
 別に俺は、澪の元が、半漁人だろうと、宇宙人だろうと、
 そんなことはどうだっていいんだ……
 俺が好きなのは今のおまえなんだ……
 上月澪っていう、世界でたったひとりしかいない……おまえっていう存在が好きなんだ」


………………
………………………………
………………………………………………

たっぷり3分ほどの沈黙の後……澪がうつむきながら、スケブを見せる

『ウソなの』

……おいっ……あのなぁ……

俺が何かを言う前に、澪は俺の背中にしがみついた。

『でも 本当なの』

んくっ……と澪が軽い嗚咽を漏らしたのが聞こえた。

『声を失ってなければ、浩平と会えなかったから』

「……澪……」

『でも、言葉以上のものにめぐりあえたから』

ぎゅぅぅ、と澪の抱きしめた。

『でも、やっぱり……違うの』

浩平が……いるから……

『わたしは、人魚姫の何倍も幸せなの』

今度は俺が何か言う前に……澪が俺の唇に……やわらかなフタをした……


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あとがき
あう〜、この話を書いたのは、GTO4のネタがつまっているから、
ということは実は秘密ですよ〜〜(TT)

さて、今回の話ですが……

澪……って書くの難しい!!ってことでした……トホホ

留美とか瑞佳とか結構つかいやすいんですが……

澪とかみさきは難しい〜〜〜(TT)

みんなはどんなキャラが書きやすいですか?

ではまた♪