GTO・レッスン3 投稿者: まてつや
「よし、じゃあ、まず。出席とるぞ〜」
浩平は学級の名簿を開き次々と名前を呼んでゆく。
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「よし、男子は全員いるな。次は女子だ」

「井上」……「はい」
「上原」…「はい」
「遠藤」「はい」
「加藤」…………「はい」
「河合」「はい」
「上月」………………………………
「ん〜〜、上月は休み……っと」
浩平が欠席をつけようとしたとき、クラスの誰かから抗議の声が上がる。
「先生ぇ〜〜、上月さん、ちゃんといますよ〜〜」
「ん? どこだ、上月?」
『ここなの』
浩平の正面、教室の最前線の席に、スケッチブックを掲げる少女がいた。
「……そうか。しゃべれないのか……悪かったな、上月」
浩平がそう言って、頭(こうべ)を垂れると上月澪は……
『そんなことないの』と笑顔を向けた。
(この笑顔……どこかで……)
浩平は何かを思い出そうとしたが、今は出欠を確認している最中だと思い出し、かぶりを振った。
(まさかな……)




「それじゃ、次、佐藤」「はい」
「里村」……「……はい……」
「椎名」…………………………………
出席簿を見てみても。椎名繭の欄は、昨日も、おとといも、三日前も、一週間前も、ずっと欠席だった。
「う〜〜ん、誰か椎名が、ここのところ休んでる理由……知ってるか?」
し〜〜ん……と教室が静まり返る。
確かに、すすんで言いたい話題ではないだろう。
「まあいいか、欠席と……」
続けて出席をとる。
「鈴木」「はい」
「瀬川」……「はい」
「七瀬」…………「はい……」
……浩平はその顔に見覚えがあった。
「今朝の子じゃないか、同じクラスとは奇遇だな」
クラスの視線が留美の方に集まる。
「ちゃんと保健室行ったか? 足痛めてただろう?」
「誰のせいよっ!!」
と言い返したい気持ちを抑え、留美は言葉を紡ぎ出す。
「今朝は失礼しました……せ・ん・せ・え」
「それで、制服のことだけど……」
(来た!……)
このクラスで留美だけが違う制服を着ていた……
この学校に転校する前の制服なのだが、ここに転校してきたのは1年以上前のことで
最初の数ヶ月はなんとも言わなかったが、
最近は生徒指導の先生にも会う度に注意されている……
しかし、留美はこの制服の方が気に入っていたのだった。
(やば……コイツにも言われる……)
しかし、浩平の応えは、留美の良そうに反したものだった。
「なかなか似合ってるぞ。個性が出てていいんじゃないか?」
(……はぁっ!?)
留美の両ほほは、朱に染まっていた。



「つぎは……内藤」「はい」
「野上」…「はい」
「浜野」……「はい」
「樋口」……「はい」
「広瀬」……「ふん……いるよ!」
あきらかに嫌悪の込められた返事だったが、浩平は笑顔で
「おお、やっと『はい』以外の答えが聞けたな〜
 みんな、もっとおもしろい返事をしていいぞ」

やだ〜〜……くすくす……何アレ〜〜……アハハ……

クラスのあちこちで、いろんな笑いが起こる。
別に狙ったわけでもなんでもなく……これが浩平の地なのだった。

「……フン……、気に食わないね。アイツ」
「……真希」
「絶対……あの野郎の化けの皮を剥いで、つぶしてやる……折原浩平……」




初日の教師生活もなんとか無事に終わった浩平は、
他の教師たちと同じく、帰り支度をしていた。
そこへ……
「浩平〜〜〜、今日いっしょに浩平の歓迎会やりたいんだけど、いいかな〜〜」
「長森……悪いな。今から、用事があるから……」
「……え……」
まさか断られると思っていなかった瑞佳は少なからず驚いていた。
「なぁに〜〜、あいつぅ〜〜」
瑞佳の横にいた、佐織が顔をぷう、とふくらます。

「ちょっと、『家庭訪問』してくる……」
『えっ!?』
瑞佳と佐織の声は見事にハモった……

(続く)

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レスとか

>偽善者さん
はいです。血反吐を吐いて書きます〜〜(笑)
まあ、たいした話でもないんでね……

>ぺるそなさん
今回のベストオブまてつやはあなたです!!
別に特典とか何もないんですが(ぉぃ)

検定……って出た時点で……留美は剣道?
などと安直に思ってたら、予想もしない笑える展開が(笑)

『乙女転び』……やられました〜〜、次はどんな技を見せてくれるんでしょうね〜〜(笑)

では近いうちに、GTO4で……