茜様がゆく2! 投稿者: まてつや
夜11時……折原邸……

南3局……
茜は2萬を切った……

「ロン!タンピン、ドラ1」

そう言ったのは茜の対面に座る、住井護だった。
これで……オーラス南4局……

「茜……大丈夫か?」
浩平の心配する声。
「わたしは……、あきらめは……悪い方ですから……」
闘志をまるで失っていない目で茜はつぶやいた……

親は茜にまわってきた……

現在の状況は住井が38000点でトップを走っていた……
茜は、現在4位で20000点もなかった。




………勝負の前に………
『レートは点5にしよう』と住井は提案していたが……
茜が『……倍にしましょう。わたしは速く稼ぎたいんです』と言ったので
点10……つまり100点10円でやっていた……



南4局3順目……トップの住井は10枚の萬ズと白2枚と北1枚……
ホンイツのイ─シャンテンだった。

上家の南が2萬を捨てる……

「チ─!!」

住井が鳴いて、テンパイする……さっさとトップで逃げ切るつもりだ。
ホンイツ、一通、白が来ると……、マンガンだ……


住井は不要になった北を捨てる……

ぱたん……と、誰かがハイを倒す音……アガリの合図だ。

「……それです」

茜だった……

綺麗に並ぶ……1萬、9萬、1ソ─、9ソ─、1ピン、9ピン、東、南、西、北、白、発、中。
マージャンで、最強手の1つ……国士無双13面待ち……

ダブル役満……64000……
いや、親だから1.5倍……96000点……

「あう……」

住井は妙なうめき声を上げながら……後ろに倒れた……

ハコテンである……




「……まだ、夜は長いですから……」
3人には、茜の笑いが……悪魔に見えたという……






チチ……チ……チチ……

朝。
小鳥の鳴き声……風が重い窓をたたく……七色の光が大地を包んでゆく……
3人は……どれだけ朝を待ったことか……
長い……とても長い……夜だった……

「やっほー、みんな元気ぃ〜〜?」

その声は……詩子だった。
朝になって、茜の様子を見に来たらしい……

「あんたら……茜に脱衣マージャンみたいなことさせてないでしょうねぇ?」

「んな……わけ……、ある……か……」
浩平はげっそりとして、たいした言葉も返せない。






昨夜……あのあと……

「……大三元です……」

「……四アンコですっ………」

「……字一色です……」

「……緑一色です……」

「……九連ポウトウです……」

「……小四喜……」

「……リーチ1発ドラ16です……」

茜は……ひたすら勝ち続けた……




3人とも気力、体力、ともにボロボロだった……
「……134800円勝ちました……」
「すごいじゃない、茜!」
「でも……、3人とももう、わたしとやる気はないそうです……」
少し残念そうに茜が言う……。
「……別の稼ぎ口を探さないといけません」
「なんなら……、わたしが怪盗ウルトラC子になって、盗んできましょうか?」
うれしそうにC子…。いや、詩子。
「……それは……、違う話です」
「……あうっ……」
茜の一言で……詩子の出番が増える可能性は断たれたようだった……





1週間後……
そこらじゅうの賭場を荒しまくった茜は、ついに500000万円を貯めることに成功した。
「……やったです……」
「さっそく、あの店にゆこうよ」
詩子と2人で、茜は店へ駆け出す。




「消費税を含めて……502500円です」
『……えっ……』
茜と詩子は声をハモらせ、硬直した。
50万ちょうどしか持っていない茜は詩子に聞く。
「……いくら持ってますか?詩子……」
「……672円……」
足りない……




……2人は瑞佳にお金を借りるために、走った……。


「ごめんなさいね……、まだあの子、帰ってきてないのよ」




……浩平の元へ走る。


「あの夜の負け以来……、金がないんだが……」




繭ちゃん。


「テリヤキば〜が〜買っちゃったよぅ」




「なんで。こういうときにみんな都合がわるいのよっ!」
「……作者の陰謀です……」
「身も蓋もないこと言わないでっ!」




1時間後……なんとか、お金を借りて
もう1度、店の前まで……来る。

「ああ、さっき売れてしまったよ」

『えええええええぇぇぇぇ!!!』





「……一体誰が……」
「ぼくだよ」
声の主は……シュンだった。

「なんで、こんなことすんのよ!」
「……これで、ぼくのこと忘れないだろ?」
「……憎くて……忘れられません……」
「それなら、ぼくがもう1度この世界に戻ってこれるかも知れないからね……」

そんなことを言いながら……シュンは消えた……
目の前から……この世界から……




えぴろ〜ぐ

……1年後……
シュンは再び、この世界に帰ってきた……
茜との……憎しみという名の……絆のために……
「……忘れてなんか……あげませんっ……」
茜の憎しみの瞳……
「……そのまま、永遠の世界にいた方がよかったと思うくらいの報復を考えました」
茜が凶悪な笑みを浮かべ……

「あなたが……戻ったということは……、他の人もあなたのことを思い出したということです」
「そうなるね」
「1年前……あなたがヤクザから借りた50万……、1年返してないことになってるんですよ……金利は1年120%で……」
シュンの顔が……みるみる青くなってゆく……



「さっき、電話で……ここに来るように言っておきました……」
茜はくるりときびすを返し……

「……さよなら」
と、つぶやいた。



次の日の朝刊には、少年の死が……


(……おわりです)

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あとがき
うわわわわわ、すげえ変な終わりになってしまった……
やっぱり、後先何も考えずに書き出すと……ろくなことないです。

感想
奈伊朗 さん 繭のとくべつなみゅー (1)
頑張れ、フェレットみゅ〜、繭のために浩平のハートをゲットだぜ!

KOH さん 二人のしいこ −2−
そうか……北川さんだったのか……
なるほど〜、です。

小さな1つの奇跡とケンカしよ?の感想サンキューです。

4日連続書いてる……でも、来週はあんまり書けそうもないから……
これぐらい飛ばしてても……いいよな……